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減農薬で梅、柿を作っています
カタログ2010年6月2週号
オルター栽培基準は◆。
梅肉エキス作りにもチャレンジしています。


■減農薬栽培
 奈良県西吉野村の萩本農園・萩本了一さんは、減農薬栽培で梅、柿作りをしています。萩本農園は柿栽培に適した標高300メートルに農地があります。標高が高すぎたり寒冷地だと甘柿が渋くなり、標高が低すぎたり暖地だと病気や害虫の被害が多くなります。
 毎年のようにオルターで実施している梅狩りイベントで萩本農園を訪れている会員は多いので、その梅のおいしさはご存じの通りです。大量に出る規格外の梅の利用を考えて、梅肉エキスの製造にもチャレンジしています。

■健全な農地を子孫へ引き継ぎたい
 萩本了一さんは柿農家の長男として育ち、小さいときから当たり前のように柿の収穫作業をやってきました。奈良県農業大学校を出て当然のように就農し、3代目として慣行栽培で柿を栽培していました。梅も柿の裏作として栽培してきました。
 そんな25年前に、同じ地域で有機農業に取り組む亀田嘉さん(カタログ2004年12月5週号で紹介)との出会いから、「食の安全」「農地の保全」「農業者としての生き方、役割」を考えるようになりました。そして農地は「先祖から子孫へ」引き継ぐものであり、子孫が健全な作物を作れる土地を守らなければならない。農薬を減らし、化学肥料を使わず、除草剤を使わず、刈り取った草を土に返し、微生物の棲みよい土壌作りをして、安全な作物を育てられる環境を守りたいと考えました。
 当初はただ闇雲に堆肥を投入したり、的外れな栽培をしたことがあります。しかし徐々に経験を積んで、有機肥料を施すにも土壌分析器を活用し、より適切な施肥ができるようになりました。農薬散布も毎年確実に減らし続け、散布を適期に行うことで、現在は通常の半分以下で病虫害を抑えることができるようになりました。「14才の息子が将来、農業ってかっこいいなと思ってくれる農家、魅力ある農家に近付けている」と語っておられます。

■さらなる減農薬の努力を
 梅の場合は、問題となる化学農薬は残すところ1回のみとなり、オルター基準◆としては十分に合格となっています(慣行栽培では8〜10回)。一方、柿についてはまだ化学農薬5回(慣行栽培では13回)と、オルター基準◆としても多いので、さらに減農薬の努力を求めています。
 しかし近年の温暖化に伴う異常気象によって、農薬散布の適期が外れて病気が増える傾向にあり、ますます栽培しにくくなっている、と萩本さんはその対策に苦慮しています。


萩本農園のオルター基準◆の梅と柿
「梅」
●品種
鶯宿、白加賀、南高、小梅

●農薬
化学殺虫剤(ジノテフラン)1回、
水和硫黄2回(JAS有機で使用できる農薬)の計3回。
※参考:慣行栽培では化学農薬8〜10回

●肥料
ウズラ糞主体のボカシ肥料※、古代天然苦土、カキ殻、堆肥(友人作。牛糞※、鶏糞※、もみ殻、チップ、米糠を原料に発酵させたもの)、ミネラル酵素活性液(廃糖蜜、バイオアミノ酸、ミネラル液、活性キトサン、バイオ・イオン・バランス(発酵用種菌)、核酸、植物多糖物質(ステビア)※、酵母、ミネラル硅素プラスMを原料に手作り)
 ※印はオルターではおすすめしていません。
 

「梅肉エキス」
 大量に出る規格外の青梅を使って作っています。
 梅肉エキスはおなかの万能薬として江戸時代から民間で親しまれてきました。農林水産省食品総合研究所・菊地佑二博士(産経新聞1999年5月31日付)によれば、梅肉エキスは血液が血小板の凝集によりドロドロになる状態を防ぎ、血流をスムーズにする「ムメフラール」を含んでいます。また産経新聞(1997年8月25日付、1999年5月31日付)によれば、(1)食欲増進(2)疲労回復(3)整腸作用(4)殺菌・抗菌(5)血流改善(6)血圧改善に役立つと解説されています。

●原料
梅…自家農園

●製造工程
@洗浄
A粉砕
B圧搾(プレス機)して果汁を搾る
Cろ過、果実の種子を取り除く
D加熱
Eろ過
F加熱
Gろ過
H加熱(煮込み、仕上げ)
Iビン詰め
J蒸気殺菌(蒸し器にて)

●食べ方
少量をそのまま食べる/水に溶かして蜂蜜を加えて飲む/ヨーグルトに入れる/梅肉エキスゼリーとして/焼酎のお湯割りに


「柿」
●品種
富有柿、刀根早生、江戸柿、平タネ柿

●農薬
化学農薬5〜6回。(1)ストロビードライフロアブル(殺菌)(2)アルバリン顆粒水溶液(殺虫)もしくはオリオン水和剤(殺虫)(3)スコア水和剤(殺菌)(4)ダントツ水溶剤(殺虫)(5)サニパー水和剤(殺菌)。カメムシの嫌がるブラックミントを圃場に植えて忌避効果を期待しています。カメムシ発生時には醤油の搾り粕も使います。
※参考:慣行栽培では化学農薬13回(奈良県の防除暦は他府県より少ないです)

●肥料
アケボノ複合肥料(混合有機質肥料※、魚粉類、動物かす粉末類※、副産複合肥料※、骨粉質類※、副産りん酸肥料※、植物油かす類、副産苦土肥料)、キーゼライト(天然のハードザルツ鉱石から分離した硫酸苦土)、貝化石(ノトユーキ)、オルガペレ(魚節煮かすを主体に、とうもろこし焼成灰、パームアッシュを原料とする有機農産物の日本農林規格適合肥料)
※印はオルターではおすすめしていません。

柿の木に必要な肥料設計を心掛け、過剰な施肥をしていませんので、硝酸態窒素の流亡をなくし、環境にやさしい土作りをしています。ここ数年、柿の味が向上しています。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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