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未来世代のために考えたい! 
オルター通信1054号 記事
海外ゲスト迎え「生活用品中の有害化学物質」シンポジウム
 合成ムスクやパラベンの入った化粧品、ビスフェノールAが含まれるポリカーボネート製品(哺乳びんなど)、合成洗剤、殺虫剤など、私たちの周りにあふれている有害な化学物質の問題を考えようと、9月20日、東京でシンポジウムがあった。

 「生活用品中の有害化学物質 次世代のために知っておくべきこと」と題されたシンポジウム(主婦連合会、WWFジャパンの共催)には、家族で参加した人などを含め、約70人の参加者があった。

 最初に、有害化学物質の汚染問題に取り組むイギリスのNGO「CHEMtrust」事務局長のエリザベス・ソルター・グリーンさんの講演があった。
 WWF(世界自然保護基金)イギリスの有害化学物質プログラムの元責任者だったエリザベスさんは、WWFが2003年から行っている血液検査プロジェクトにかかわった。この検査は、欧州に住む人の血液中の化学物質の存在を調べたもので、「調査した全員が汚染されていた」というショッキングな結果を報告した。高齢者よりも子どものほうが、危険な化学物質の血中濃度が高いなど、調査結果は欧州中に大きな反響を呼んだ。
 エリザベスさんは「母親にたまっていた有害化学物質は、胎盤を通して胎児に、産んだ後は母乳を通して乳児に移行する。 様々な化学物質はカクテルのように混ざり合い、それが私たちにどのような影響を及ぼすかは解明されていず、専門家は、複合的な影響を危惧している」と警告した。
 現在、EUには、事業者にリスク評価を義務付けるなど、予防原則をベースとした、化学物質の登録評価、認可、制限を定めた規制「REACH」がある。エリザベスさんは、「REACHを最低限の目標として、各国で法整備をしていくべきだ」と語った。

 次に講演したのは、「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」事務局長の中下裕子さん。「市販製品では、表示が義務付けられていないため、成分が分からないもの、成分が分かってもどんな毒性があるか不明なものが多い。毒性が問題になると、企業は密かに知られていない成分に変えている」という産業界の実態を報告した。
 中下さんは「日本は公害先進国なのに、その教訓が生かされていない。政策がなければ、私たちの健康は守れない」と、政策提言の重要性を訴えた。

 エリザベスさんと中下さんに、村田幸雄さん(WWFジャパン)と茂木なほみさん(主婦連合会)が加わったパネルディスカッションでは、日本における規制の問題が提起された。パネリストたちからは「バラバラの法律で化学物質のリスクの管理はできない。総合的な枠組みをつくることが必要」と発言があり、化学物質政策基本法を求める市民の新たなネットワーク(ケミネット)の立ち上げも紹介された。
 地球全体が化学物質に汚染されている現実に目を向け、政策の転換を求めるのはもちろんだが、危ない物は買わない、メーカーに質問をするなど、一人ひとりがリスク回避のための行動を始めることが重要だ。

 (栗原順子)

*ケミネット
 (化学物質政策基本法を求めるネットワーク) 
 連絡先 TEL03(5836)4359 
 有害化学物質削減ネットワーク

 (ふぇみん 2008年10月15日第28871号より転載)


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