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世界一フルーティーな有機胡椒
カタログ2015年7月5週号
カンボジア国再建の応援に。
◆高品質の有機栽培胡椒
 カンボジアのプノンペンにあるKURATA  PEPPER社、倉田 浩伸代表は、内戦で荒れたカンボジア再建の一助にと、かつてイギリスの百科事典で世界一の香りと評価されたカンボジア特産の胡椒復活を夢みて、自園(5.8ヘクタール)や仲間の農園で有機農業で胡椒を栽培し、さらに自社で加工し、輸出するまで、胡椒一筋に取り組んでいます。オルターにとってはかつて見たこともない高品質の胡椒です。
 倉田さんの自園の胡椒農園はプノンペンから車で3時間半ほど離れたコッコン洲スラエアンバルドーンベン村にあります。栽培方法は伝統的な方法で、肥料として牛糞堆肥を使うだけです(オルターとしては、さらに牛糞堆肥の使用も低減した方がよいかもと提案しています)。農薬や化学肥料を使いません。カンボジアの農作物の有機認定品第1号となりました。
 倉田さんの胡椒農園の近くに胡椒の契約農家がもう1軒あります。農場スタッフの実兄マオ ターさんの農場です。栽培方法は倉田胡椒農園と同じ栽培方法です。

◆発芽毒の心配ありません
 胡椒は水はけのよい傾斜地の砂地を好みます。木は塔のような形に剪定して育てます。収穫は乾期の最後3月です。一般では、花をなめて実りを妨げるシュモクバエに対し、農薬を使っています。倉田さんのところでは安全のため農薬は使いません。
 胡椒の実は熟すと甘くなって鳥や虫に食べられますので、未熟果で収穫します。未熟果ですので、種子で問題となる発芽毒の心配はありません。

◆ミルでフルーティーな香りを楽しみましょう
 収穫した胡椒の実は天日干しすると黒くなり、黒胡椒となります。料理に使う直前にミルで粉末にすると、たいへんフルーティーな素晴らしい香りが楽しめます。
 白胡椒も今年の10月以降出荷予定です。半熟の胡椒の実を発酵させ、皮をむいて、果肉と実だけにしたものが白胡椒となります。色味を気にするレシピに使います。倉田さんのところでは、白胡椒にする技術がありませんので、技術のある別の農家に栽培と加工を依頼しています。

◆難民支援がきっかけ
 倉田 浩伸さんは、亜細亜大学経済学部の学生のとき、語学研修のためアメリカに留学した経験があります。そのときアメリカ人から、日本人は人的国際貢献をしていないといわれたことをきっかけに、1992年4回生のとき、内戦で疲弊した和平直後のカンボジア、プノンペンに、NGO(非政府組織「JIRAC」)による難民支援のボランティアとして入りました。難民保護センターで食事の準備や定住に向けた支援をするうちに、生活の底上げには、人々が自立できるよう、何か産業の育成が必要だと考えるようになりました。

◆戦火に残った3本の在来種の木が出発
 いったん日本に戻り、大学を卒業したあと、再び現地に入り、南国の果物などの日本への輸出を試みましたが、失敗続きでした。
 ヒントは意外なところで見つかりました。商社マンとして内戦前にカンボジア滞在経験のあった大叔父から、内戦前にカンボジアで年間1500トンもの胡椒が作られ、英国の百科事典で世界一の品質だと紹介されていることを知らされました。
 そこで、胡椒を栽培している人を探し、内戦の戦火に残った3本の在来種の胡椒の木を見つけました。1995年、その木を少しずつ増やし、栽培面積を拡げ、1997年には自社農園を作りました。しかし胡椒を作っても買い手を見つけることができず悪戦苦闘が続きました。

◆カンボジア人の自助、自立の助けに
 転機は2003年、由紀さんとの結婚。「こんなダサいパッケージじゃ売れない」「日本で売れないなら、アンコールワットに来る外国人に売れば」。由紀さんのアドバイスに従っていくと、事業は軌道に乗り始めました。
 2006年に会社を設立、2010年カンボジアオーガニック協会副議長に就任。現在では自社農園に夫婦6組を雇っています。秋篠宮殿下やJICA緒方 貞子理事長も買い求めたアンコールワットでの土産をはじめ、ドイツ、フランス、デンマークへも輸出し、日本国内での認知も高まり始めています。2003年4月にはテレビ東京系列「なぜそこに日本人」に出演しました。ようやく、カンボジア人の自助自立の手助けができる端緒につきました。
 KURATA  PEPPER社のオルターへの紹介は、藤井 まりオルター顧問からです。倉田 由紀さんが、オルターの三河みりんの生産者、角谷文治郎商店の娘さん・文子さんと知り合いで、その娘さんが藤井 まり先生の娘さん、藤井 小牧さんと知り合いだったことからでした。


KURATA  PEPPER社の 胡椒
●生産者
KURATA  PEPPER社の自社農園(カンボジア)5.8アール
マオ ター

●栽培方法
有機認証・CORAA認定 ATC(タイのオーガニック認証)
有機JASは取得していません。

●防除
農薬の使用なし
花をなめにくるシュモクバエ対策として
はシナチクを一晩水に漬けてできる
アクを散布します。

●肥料
完熟牛糞堆肥

●保管
20s袋でガスバリヤーをし、酸化を防ぎ、フレーバーを守っています。
放射線照射をしていません。

●製造工程
@直営農場または契約農場にて収穫
A天日干し乾燥
B一次選別(送風)
C二次選別(手、目視)
D温水(60℃)にて除菌
E天日干し乾燥
F包装

●召し上がり方
胡椒のフレーバーは皮にありますので、香りを楽しむため使用直前でミルを使うことをおすすめします。KURATA  PEPPER社の黒胡椒は一般の実より約5.5mmと大きいため、ミルによっては使えないことがあります。


市販の胡椒の 問題点
 世界の胡椒大国はインド、マレーシア、インドネシア、スリランカ、ブラジル、ベトナムの6カ国です。これらの国では国を挙げて強力に胡椒産業を管理しています。そのため、安全、品質を追求する小規模な取り組みはできない構造にあります。幸いカンボジアは小規模な取り組みが自由にできています。
 胡椒の最初の問題は、放射線照射です。中国、アメリカで義務化されていることです。日本は私たちの照射食品反対の運動で、義務化されていません。しかし現実的には加工、混入などの過程で、トレーサビリティーの維持は困難だと思います。
 一般的に粉胡椒には小麦粉やそば粉でカサ増し増量されています。そのため肝心の香りも全く期待できません。「ゆずこしょう」のように辛ければ、胡椒の呼称を使っても問題にされていません。
 栽培時には農薬が使われていることが一般的です。1年保管、2年保管のように古い胡椒も一般的です。



―文責 西川榮郎(NPO法人  安全な食べものネットワーク  オルター代表)―



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