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『VOC とぜんそく』
通信849号記事
世界の環境ホットニュース[GEN]411号
発行:別所珠樹さん 2004年8月27日記事転載

VOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)は、ホルムアルデヒド、トルエン、トリクロロエチレンといった常温で揮発しやすい有機化合物のことを指しています。すでによく知られているように「シックハウス」などと呼ばれる室内空気汚染の原因となっている物質がこの中に含まれます。ぜんそくとの関連もすでに指摘されていますが、26日にイギリスの雑誌に発表された研究によると、この関連がさらに明らかになった模様です。
 たとえば、衣類をドライ・クリーニングに出しますと、「ゾール」と呼ぶ石油類でそれを処理しますから、出来上がった洗濯物を受け取って室内においておきますと、VOC が室内に漂うことになります。いまは、かつてのように有害性が指摘されているテトラクロロエチレン(通称パーク)を使っている例は減っているようですが、代わりに 石油類を使いますと VOC が出るのを避けられません。ドライの洗濯物が帰ってきた時の臭いは気になりますね。クリーニングの業界では、ウェット・クリーニングへの移行が進み始めているようです。
 この研究はイギリス医学協会の雑誌『ソラックス』に発表されたもので、高い濃度の VOC にさらされている子どもは、そうでない子どもと比べて ぜんそくを起こす確率が4倍になることが明らかになりました。VOC が出てくるのは洗濯物に限りません。この研究では、塗料などの有機溶剤、接着剤、洗濯物、ポリッシュ(磨き剤)、ルーム・フレッシュナー(臭い消しなど各種のスプレー)、新しいカーペットなどが挙げられています。
 研究に携わったのはオーストラリアの医師たちで、パースの病院でぜんそくの治療を受けた88人の子どもが調査の対象となりました。VOC 濃度は、喫煙者がいる室内、塗装した後の室内、新しいカーペットを敷いた室内で高いことがわかりました。研究に携わった医師たちは、VOC の一部に発がん性があること、ぜんそくの原因になる可能性が強いことから、何が室内空気の VOC 濃度を押し上げている要因なのか、さらに詳しい調査が必要だと述べています。


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