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甕仕込みの黒糖焼酎「龍宮」
カタログ“2001年6月3週”
 奄美大島、富田酒造所、専務の富田恭弘さんと出会ったのはオルター代表の西川栄郎が「ばななぼうと」(市民運動の洋上サミット)を準備していた1986年でした。「ばななぼうと」のテーマの一つは琉球孤の自然や生命を脅かす核再処理工場、石油備蓄基地、白保空港など巨大プロジェクトに対して、亜熱帯の自然を生かした農業や島の特産品を活かすなどの「島おこし」でした。富田恭弘さんはそんな奄美の島おこしを目指すグループのお一人だったのです。
   奄美大島では黒砂糖を原料とする黒糖焼酎が伝統的に作られてきました。黒糖焼酎はさわやかで、切れよく香りよしの焼酎で、さつまいもを原料とする芋焼酎の多くのような臭みはありません。
   とくに富田酒造所の黒糖焼酎はうまみを引き出す甕仕込みで、味のきれがあって、風味がよくなるよう黒麹を使ったり、蒸留方法を工夫しているため、最高品質のものです。他の大量生産をしているメーカーの黒糖焼酎と比べて、たいへん香り高いもので、高級洋酒ビンに入れて飲ませると何万円もする蒸留酒だと、信じさせることのできるお酒なのです。   富田恭弘さんはこの甕仕込みの素晴らしい焼酎を兄弟4人で力を合わせて守っておられるのです。


富田恭弘さん(背景は仕込み甕)
富田酒造所の「龍宮」
梅酒用には…………龍宮30度。
     まろやかで気品の高い龍宮は、梅の香りをそのままに贅沢なハーモニーを醸し出します。
食前、食中酒には…龍宮20度
               (現在、リニューアル中で後日企画させていただきます)。
さらに度数の高い焼酎をお好みの方には…龍宮40度がお勧めです。

<原料>
*沖縄の黒砂糖
  黒砂糖の等級は特等、一等、二等とあるうち、一等以上を使うことにしていますが、今年は特等のみを使っています。黒砂糖は焼酎用の原料としては、一番高価なものです。
*米…タイ米(白米)を使っていますが、ポストハーベストが心配なので再度精米を行なっています。今秋からは国産米に切り替えていただくことになりました。
*黒麹…黒麹の種麹を購入して使っています。
<作り方(甕仕込み)>
  蒸し米に黒麹を植付けて麹を作り、水とともに3石甕に仕込みます。3石甕は人が立てるほどの深さがあります。約1週間してから、溶かした黒砂糖を使って2次仕込みします。これがアルコール発酵する酵母の餌となります。黒砂糖を使っているからといって甘いお酒になるわけではありません。仕込後は毎日櫂で攪拌し、約2週間でお酒になります。甕を使っているから、そのセラミックの力でよりおいしいお酒となるのです。黒糖焼酎を作る奄美大島の醸造所の中にあって、昔ながらの甕仕込みはこの富田酒造所ただ1軒です。いい酒を作るためにはこの甕仕込みは止めないと心に決めておられます。
甕仕込み風景
 香味成分フーゼリウスは他の常温蒸留を行なっている酒造所のように多いと重たい酒となり、口にからむような切れ味の悪い酒となります。減圧低温蒸留のように少ないと、さっぱりはしますが味わいはなくなります。また、フーゼリウスは分解してケトンやアルデヒドになって悪酔いの原因ともなります。したがって、香味成分のバランスが大切です。富田さんは、個々の甕の個性を出したり、その年の農作物の特徴を生かすように香りを感じながら蒸留方法を工夫されています。とくに幅のある味を出すこと、切れがあって風味がよい酒になるよう、常温蒸留の蒸留塔の高さを高くしたり、黒麹を使ってクエン酸を生かすなどの工夫をされています。歩留まりは落ちてもよりいい酒になります。こうして得た蒸留酒を半年から一年熟成させると黒糖焼酎となるのです。
  酒作りは夏場3ヶ月は休みます。春と秋は発酵微生物が活発に働くので、酒の出来もよいのです。発酵温度を適度に保つために、甕は土中に半分埋めています。たくさんある甕もひとつひとつくせがあり、味も違うのだそうです。

市販の焼酎の問題点
  焼酎はさつまいも(芋焼酎)、小麦(麦焼酎)などの原料を発酵させ、お酒にしたものを水蒸気蒸留して作る蒸留酒です。したがって元の原料の香りが、風味にそのまま出てきます。大量生産を行なう一般のメーカーでは少しでも安くと、劣悪な原料を使い、回収するアルコールの歩留まりも最大限にしようとしています。それなりの原料からはそれなりの香りのものしかとれません。その点、黒砂糖は香りのよい焼酎づくりに向いています。
また、根こそぎアルコールを回収しようとする余り、香りのバランスが悪くなります。また、廃棄物のような原料から安く作られるいわゆる醸造用アルコールの添加、あるいは白砂糖の添加なども行なわれており、とかくまずい焼酎が出回ることとなっているのです。


   ―文責 西川栄郎―
  


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