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乳幼児に髄膜炎や敗血症など重い感染症を起こす細菌エンテロバクター・サカザキが、国内で市販されている粉ミルクの7%から見つかった。低温の湯で溶いた粉ミルクを飲んだ乳幼児が感染し、死者も出るなど近年、世界各地で問題になっている。厚生労働省は菌が死滅する70度以上のお湯で溶くよう注意を促している。 麻布大学生命・環境科学部の大仲賢二助教が調べた。12日から広島市で開かれる日本食品微生物学会で報告する。 06年11月〜08年2月に、一般小売店で国産5社の18銘柄61品を購入し、分析した。その結果、3社の計4品から細菌が見つかった。そのうち1社は10品中二つという高い頻度だった。菌数は粉ミルク100gあたり0.4個だった。
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エンテロバクター・サカザキで汚染された粉ミルクによる乳幼児の感染は、欧米を中心にしばしば起きており、フランスでは04年に病院の新生児室で集団感染が起き、2人が死亡した。 世界保健機関(WHO)によると、患者はこれまで約70人報告されているが、報告の義務がない国が多く、実際の患者は報告を大きく上回っているとみている。厚労省によると、日本ではまだこの菌に汚染された粉ミルクによる患者は報告されていない。 この菌は乾燥状態でも長い間生き続けることができる。熱に比較的強く、70度以上に加熱しなければ死滅しない。菌量と発病の危険性について、まだ十分解明されていないが、WHOは「この菌はごく少量でも重大な病気を引き起こしうる」と警告している。 厚労省は05年と07年に都道府県などに通知を出し、70度以上のお湯で溶く、など注意を促している。07年の通知を受け、国内の各メーカーは「50度程度の湯で溶く」としていた説明書きを最近、70度以上の湯を使う、などと改めている。 大仲助教は「今の製造技術では、粉ミルクを完全に無菌にすることはできない。熱いお湯で溶かして、冷ます手間を惜しまないで欲しい」と呼びかける。
(編集委員・中村通子)
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1998年 ベルギー 感染源・・・粉ミルク 患者数(死亡者)・・・12人(2)
1999〜2000年 イスラエル 感染源・・・粉ミルクとかき混ぜ器 患者数(死亡者)・・・2人(0)
2001年 米国 感染源・・・粉ミルク 患者数(死亡者)・・・10人(1)
2002年 ベルギー 感染源・・・粉ミルク 患者数(死亡者)・・・1人(1)
2004年 ニュージーランド 感染源・・・粉ミルク 患者数(死亡者)・・・5人(1)
2004年 フランス 感染源・・・粉ミルク 患者数(死亡者)・・・4人(2)
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動物の腸管や土や水などの環境に広くすみついている細菌。乳幼児では肺炎や敗血症、髄膜炎などを起こす。WHOによると、死亡率は2〜5割に達する。特に、誕生から28日以内の新生児や、出生時に体重が少なかった子、早産児は危険度が高い。
(朝日新聞2008年11月5日より転載)
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