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ウィンドウファミリー農場の放し飼い鶏卵
カタログ“2004年5月2週”
ウィンドウファミリー農場の放し飼い鶏卵
 いくつかの食の活動でご一緒させていただいてきた東京の健康を守る会の山中和子さんから、ウィンドファミリー農場のたまごが余って困っているので何とか応援してもらえないかという連絡がありました。事情をお聞きしたところ、出荷先だった栃木県のある生協から、鳥インフルエンザ対策として、たまごを合成洗剤で洗卵し、次亜塩素酸ソーダで消毒するというガイドラインが出来たので、これに従うようにとの指示があり、ウィンドファミリー農場がその指示に従わなかったところ、取引を突然、一方的に打ち切られたとのことでした。
上田正さん、和子さん
 ウィンドファミリー農場が指示を拒否したのは、合成洗剤も次亜塩素酸ソーダも有害な化学物質であり、たまごの殻から中へ容易に浸透するものであること、たまごの殻には天然の抗菌性物質クチクラ層があり、これが洗卵によって溶け去ると、サルモネラ菌汚染などの心配が出てくるためで、当然のことです。鳥インフルエンザ騒ぎの真因は、経済合理主義優先の品種改良、多数羽飼育、劣悪な飼料、化学物質の乱用などのため、鶏の抵抗力が低下したことです。その反省もなく、行政からの化学薬品を使う安易な指示を鵜呑みにして、生産者に誤った強制措置を行い、食べものの安全性を大切にする生産者に対しては、突然取引を停止するという暴挙を行った生協があったということです。ちなみにオルターでは、鳥インフルエンザ対策としてこのような行政指導が生産者にあった場合、相談をいただいており、紫外線照射にとどめるなど安全な代替方法を提示し、行政に対しても教育的に指導してきています。ウィンドファミリー農場で余らせているたまごは週400〜500個程度であり、現在は松田マヨネーズの原料として緊急避難しており(このマヨネーズも応援したいと思っています)、この企画からはとりあえず週50パック限定(注文が多い場合は、他の生産者の平飼いたまごと代替します)で応援させていただくことにします。
 ウィンドファミリー農場の代表の上田正さんは、1977年にここに入植して27年。大学で畜産を学び、企業養豚に勤めておられ、その企業養豚のひどさに耐えられなくなって独立なさったとのことです。上田正さんご夫妻は、数人の研修生とグループホームなどの知的障害者のスタッフとともに、約5haの広大な農地で、鶏800羽、豚100頭、少々の羊、七面鳥、ガチョウ、ウコッケイの家畜とその他、野菜、ブルーベリー、栗、カキ、キウイ、あんず、梅、原木しいたけ、なめこ、クリタケ、ヒラタケなど年間100種類以上の農畜産物を作る自給的な有畜複合農業を営んでいます。通常は鶏も豚も開放型の鶏舎、豚舎から広い放牧場で放し飼いにしていますが、鶏においては鳥インフルエンザの件で、野鳥との接触を避けるために、今のところ鶏舎に止めておられます。今回のことで、急遽ご訪問した栃木県の農場は、「新しい種や文化を運ぶ風」と「無償の集合、家族」のテーマにふさわしい、とっても絵になる素敵で美しい農場でした。まるで映画「ベイブ」の世界のようでした。農場では有料で農場体験民泊もでき、たまご取り、給餌、畑仕事、陶芸、池での魚釣り、採りたて農作物での食事などを楽しむことが出来ます。
ウィンドファミリー農場のたまご
*品種
ゴトウ種、ハイブラウン種初生ビナから飼育しています。
*飲水
 地下50mよりポンプアップした地下水。スタッフの飲用水と共通です。
*飼料
 輸入穀物や人間と競合するものは避けています。地域のクズ小麦、くず大豆、米ヌカ、残飯(パンの耳、米飯)※など。 (※印はオルター仕様ではありません)
 ミノリ式菌体飼料製造機を使って加熱、殺菌、乾燥、混合し、ミノラーゼ(ミノリ産業の酵母菌)を種菌にして、3〜4日好気性発酵したものに、カキガラまたは寒水石(カルシウム源)を2%程度混ぜたものを使用。野菜くずなどの緑餌は、毎日ふんだんに与えています。

鶏舎風景
飼い方
 陽の光がたっぷりあたる、風通しのよい丘の上に立っている開放型平飼い鶏舎に、坪当たり7〜8羽飼っています。雄も一緒にしています。床にはふわふわのモミガラがたっぷり敷いてあります。鳥インフルエンザ騒ぎの間は鶏舎にとどめていますが、通常はその日の産卵をほとんどの鶏が終えた時間になると、鶏舎に隣接する広大な放牧場(山、雑草地)に放牧し、自由に草や虫を食べさせています。夕方、薄暗くなると、自分で鶏舎に戻ってきます。放牧場などから流れ出す廃水は、敷地内の小さな池に入り、微生物や植物で浄化し、さらにその隣の大きな池で草魚などが藻などを摂食して処理しています。ウィンドファミリー農場では、農薬はもちろん、抗生物質、サルファ剤、ホルモン剤、着色剤など飼料添加物を一切使用していません。このような飼い方ですので、たまごによって黄身の色が濃かったり、薄かったりします。こうして、箸で黄身がつかめるたまごが生まれています。大切なクチクラ層を落とさないよう、無洗卵です。汚れがひどいときは、サンドペーパーで落とすなどしています。自然の状態では鶏は約2週間かけて1つずつたまごを生み、それから温め始めてヒナをかえします。すなわち、2週間は確実に生きているという理由から、生食の場合の賞味期間は産卵日より2週間としています。それ以降は加熱して下さい。


  −文責 西川栄郎−



放牧場
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