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自家採種にこだわった生命力の強い有機野菜作り
カタログ“2005年12月2週”
自家採種にこだわった生命力の強い有機野菜作り
野菜の苗でおなじみの
キッチンガーデンは、
種の自家採取にこだわり、
野菜の有機栽培に取り組んでいます。
今回はにんじんのご紹介です。

野菜苗でおなじみのキッチンガーデンは、
熊本県の野菜生産者20名で構成しているグループです。
その主たる畑は
阿蘇の外輪山に面した
標高400〜600mの高原にあり、
昼夜の寒暖差が大きく、
夏場でも日中は30℃以上になることは少なく、
30℃を越える日でも夜間は涼しくなります。

 風通しがよく日当たりがよく、ミスト(霧)が降る里でもあります。水源は豊富な湧水、地下水。風・光・水・土に恵まれ、すぐれた野菜育成の条件が備わっている山間地にあります。
 このような恵まれた自然環境もあって、熊本県のこのあたりは日本の有機農業運動の中でも先進地のひとつです。キッチンガーデンの生産者の顔ぶれは、1975年以来有機農業を続けてきた人たち、有機農業の流通団体から生産者に転身した人たち、大手企業から農業を志望した人、水産業から兼業農家になった人など多彩です。
 キッチンガーデンの圃場は、有機農産物JAS認定の取得をしているか、取得を前提としています。
 その最大の特徴は、有機圃場での種の自家採取、有機農家間の種子の交換、在来種・伝統固定種を基本としていることです。「自家採取の種を使うことを繰り返すことで、それぞれの農産物が生産地に適応し、よりよい野菜の生産が実現する。安全安心の野菜作りは、生命力の強い種子採取から」と考えています。

人参の自家採種の打ち合わせをしているキッチンガーデンの生産者のみなさん
種の自家採取
 一般の購入種子は品種改良した親同士をかけ合わせたいわゆるF1(エフワン)です。キッチンガーデンの仲間たちが種の自家採取にこだわるのは、農薬で種子消毒している種を使う限り、農法をいくら磨いたり研究しても限界があることを痛感したからです。
 どうせやるならF1のような“一代限りの命”ではなく、その延長線上の遺伝子組み換えでもなく、健康でおいしい生命力のある野菜づくりを自家採取の種で、と思われたのです。
 しかし、実際に種採りを始めると、大変な手間、品質のバラつき、収量のダウンなど、コストを押し上げる現実にぶつかり、簡単なことではありませんでした。
 取り組んで3年目で、技術的にはやっと乗り越えられるようになったところです。今後はさらにこの自家採種の取り組みを、地域全体に拡げたいと考えておられます。
 現在、有機認証のルールとしては、種子レベルの有機はまだ努力目標の段階です。しかし数年内には海外との整合性からルール化される見通しです。その際、有機圃場での自家採種は決め手になるはずです。
 何より一番重要なカギとして、私たち消費者側が自家採種の安全性、おいしさ、品質などの価値を理解し、価格面でも買い支えていけるかどうかが問われています。それほど、自家採取の種で育てた野菜には現在の有機野菜以上の希少価値があるということを理解してもらいたいと思います。
 キッチンガーデンの元気な野菜は、自家採種のこだわりに加えて、山間地の寒にふれて糖度が増した甘くおいしい野菜、硝酸体窒素が少なく生でサラダで食べられる完熟野菜です。アクが少なく火の通りがよく、ビタミンCやミネラル分も豊富です。

 今回ご紹介するのは、佐藤勝六さんの無農薬有機栽培のにんじんです。

キッチンガーデンの野菜
●播種・育苗
  ソイルブロックを活用し、直播きしています。

 ■北海道産ピート…北海道のシダ、スゲなどの堆積物、泥炭です。ヨーロッパからのピートは放射能汚染があるため使用しません。
 ■堆肥…薬物を一切使用せずに飼育している養鶏場(大矢野原農場)の鶏糞とチップ、もみ殻などを混合し、BM活性水の活用によって生産した堆肥を3カ月以上積み上げ熟成したもの。
 ■赤土…熊本清和高原の赤土。
 ■竹炭…山都町の生産者によるもの。

 ※ソイルブロック:
 北海道産ピートと堆肥と赤土を混合し2.7cm立方体のブロックにしています。

●防虫対策
@マリーゴールドや防虫効果のあるハーブをハウス周辺に植えること。
A混植を進めること。
B不織布、防虫ネット、イエローガード(ヨトウムシ対策)、グリーンガード(トウ立ちしにくい)などの設置。
C還元活性水素水(電気分解によらないもの)の活用。BM生物活性水(バクテリアミネラルウ ォーター技術)、セラミックを活用しています。
D基本的には自然にまかせるだけです。

●伝統固定種の問題点と優位性
 伝統固定種の問題点は、発芽が不揃い、生育が不均等なことです。また、春から夏にかけてのトウ立ちの早さです。しかし、本質的な耐病性は伝統固定種にあります。例えば冬のほうれん草 はベト病にかかっても対抗する菌によって克服し、サラダで食べられる高糖度ほうれん草に変身します。この特徴を生かした栽培を進めています。

佐藤勝六さんの自家採種にんじん
 野菜の種採りのなかでも、にんじんの種採りは大変難しく手間がかかります。だから誰もやりたがらないのが現状です。佐藤さんも最初の2年は失敗しました。3年目からようやくうまくいき始め、今年から出荷できるようになりました。
 来年は、息子さんも地域の有機農家もにんじんの種採りに取り組みます。今年はまだ限られたものです。
 
■にんじんの種採りがいかに難しいか、以下紹介します。■
@11月〜12月頃、収穫するにんじんの中から選抜します。形がいいだけでなく、色づき・甘みが強いものを選んで雨よけハウスの中に植え付けします。−10℃の寒さにも耐えられるように敷きわらを敷いて冬を越します。
A3月頃から新しい葉が出てきます。葉と接触する部分の敷きわらをとります。
B5月中旬頃、茎の先端に花が、そしてわき芽が、わき芽から花がいっぱい出てきます。花の選定(剪定)作業をします。大きそうな花を残して花を落とす作業を2回くらい繰り返します。背丈が1mくらいになったら支柱をしてテープを張って枝が折れないようにします。
C6月中旬頃、真っ白な菊のような円形の花が咲きます。その間も剪定作業が続きます。花が終わって黒ずむ7月中旬〜下旬頃が種採りの時期です。秋にんじんの種まきが8月初旬〜中旬ですから、ギリギリ間に合うということです。
D種採り作業です。種の頭を切って箱に集め、2日間くらい天日乾燥します。手でもんで種とゴミの選別作業を3回くらいします。日陰で乾燥させて保存します。

生産者の佐藤勝六さんご夫妻
オルターの野菜は、スーパー・生協はもとより、他の有機野菜と比べてもおいしい
 いわゆる慣行農法で発がん性や遺伝毒性のある農薬を散布している野菜は論外として、無農薬や有機を標榜している野菜でも硝酸態窒素を多く含み、苦味を感じるものがあります。それは、有機農法といっても肥料の使い方が間違っているからです。
 化学薬品まみれの畜産廃棄物のような質的な問題はもとより、使用量、使用時期が不適切で多すぎる場合も問題になります。有機物をただ使えばよいというのでは、有機農業というより“有機物農業”といわざるを得ないのです。
 有機農業といっても、当然ピンからキリまであります。ぜひ、オルターの野菜と他の野菜の食べ比べを試みて下さい。おいしい野菜は葉脈がすみずみまでよく発達しており、根はよく張り、色は少し黄色く見えるほど若草色のはずです。
 また、一般の農家はもちろん有機農業を謳う農家でも、種子を自家採取しているところは1%にも及ばず、種苗店からF1という一代交配雑種購入して使用しています。それらの種子は薬品で消毒していたり、着色したりしています。有機農業は当然、種子段階の農薬にもこだわらなければホンモノではありません。


         ー文責 西川栄郎ー


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