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沖縄来間島からの 有機マンゴーの便り
カタログ2015年6月4週号
島人が生態系を信じて貫く有機栽培
◆沖縄の離島で有機の果物作り
 沖縄県宮古島のすぐ隣、マリンブルーの海に浮かぶ小さな島(橋でつながっている)来間島で、(有)楽園の果実の砂川 重信・智子ご夫妻は、農薬や化学肥料を使わず、有機栽培でマンゴー(アーウィン種、キーツ種)、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツ、パイナップル、レンブ、パパイヤ、ハーブ(バジル)、野菜(トマト、キュウリ、インゲン、オクラ、ニンジン、ピーマン、カボチャ、アロエベラ、ベビーリーフ)、島バナナ、黒小豆、オオタニワタリなどを栽培しています。また冷凍マンゴー、ジャム、ジェラートも作っています。
 それらを智子さんの経営するおしゃれな島カフェ「楽園の果実」でも提供しています。
 砂川さんは特にマンゴーの香りが他産地とは全く違うと胸を張ります。
 有機栽培だけではなく、果樹栽培によく合った水はけの優れたアルカリ土壌で栽培していることもおいしさの理由です。宮古島のマンゴーは一般的にも国内では最も高級なブランド品となっています。

◆何もしないでいると生態系自らがバランスをとる
 亜熱帯の気候での無農薬のため、どうしても害虫が発生することがあります。砂川さんが無農薬栽培を始めた当初は、殺虫剤の安全な代用品を探すという考えでした。
 そのため、唐辛子入りの泡盛、木酢液、牛乳、あげくは賞味期限切れの醤油や焼き肉のタレまでいろいろ試してみたことがありますが、結局活路を見出せたのは、それら害虫に対し根負けしたときでした。害虫や病気にもっとも効果があったのは、島の太陽の光、風、空気、雨水でした。
 同じように栽培しているつもりでも、ビニールハウスの1棟ごとに虫の発生や木の状態が異なります。ひとつのハウスで虫が大発生し、壊滅的な被害を与えることがあります。年を変えてまた別の虫が大発生するということはありますが、一度大発生した虫は、そのハウスではその後、一度も大発生はしないのです。それはきっと、その虫を食べる役割の虫が適度に生息するようになっているか、マンゴーの樹が学習し、虫に強い樹になっていくのではないかと考えるようになりました。
 そのような年月の積み重ねと、観察の日々が27年続くなか、ようやく自然の生態系に近い環境のハウスの中で、健康なマンゴーの樹木が育ち、実をつけてくれると感じるようになりました。カマキリやテントウムシ、カタツムリ(カイガラムシを食べてくれます)をその辺で見つけては、ハウス内に入れているぐらいで、この6〜7年、何もしないで観察だけで、自然の成りゆきに任せていると、虫と虫とが生態系のバランスをとり、鳥(メジロ、ハエを食べてくれます)も活躍し、害虫の大量発生がなくなりました。宮古島の他のマンゴー農家が害虫に対し、農薬がどんどん効かなくなって困っているのとはまさに対照的な姿です。

◆野生育ちの島人
 砂川 重信さんは来間島の農家の長男として生れました。子どもの頃は海で魚を釣り、野山を駆けまわり、島の自然を遊び場に、まさに野生児として育ちました。宮古島の農業高校から沖縄本島の大学へ。卒業して宮古島のリゾートホテルで働いていたときに、東京から来た大学生の智子さんと知り合い、結婚、来間島に戻りました。
 1985年に戻った当初は、父の手伝いである畜産(黒毛和牛の繁殖)、葉タバコ栽培をしていました。全てが管理され、農薬や化学肥料を大量に使う葉タバコ栽培は嫌でした。偶然マンゴーを口にして、世の中にこんなにおいしい果物があるのかと衝撃を受け、一大決心して、マンゴー栽培にチャレンジすることにしました。

◆無農薬栽培を貫いた信念
 当初は農薬を使う慣行栽培を行っていましたが、次々に強い農薬を使っても虫の方がすぐに農薬に耐性がついてしまいます。ある日、ハウスの中でヘビが死んでいるのを目の当たりにして、これはもういけないと、農薬をやめることにしました。1988年のことでした。1994年には自然栽培を実践している人から学び始め、肥料低投入型の農業をめざすようになりました。
 この無農薬のチャレンジに対し、まわりから虫がつきやすいマンゴーのような果物の無農薬栽培はあまりにも無謀な試みだと反対されましたが、それ以来頑として有機の道を貫いてきました。農薬の乱用で島の生態系がどんどん崩れていることや、地下水を水道水にしている宮古島の水の問題などの改善につながっていくはずだとの信念もあります。
 無農薬栽培に完全に切替えたのは1995年です。2002年には JAS有機の認証を取得しました。現在は宮古島亜熱帯有機農業生産組合の組合長も務めています。20年間、有機農業に取り組んできて、虫で果実が穫れない、青果で出せない果実の割合が高いというような失敗をたくさんしてきましたが、土のこと、虫のこと、鳥のこと、生物の共生など自然の微妙な世界を垣間見ることができて、本当に良かったとおっしゃっています。
 1年中虫がいる沖縄では難しい有機農業ですが、ようやく農業に自信を持ち始められたといいます。一定の収穫量や高い品質を目指し、収益が見込めれば、必ず次に続く人が出てくると考えています。夢は来間島を有機の島とし、自然豊かな楽園にすることです。
 オルターへのご紹介は、黒糖蜜の生産者である沖縄リサイクル運動市民の会の古我知 浩代表からです。


楽園の果実の マンゴーなどのフルーツ★★★
■栽培品目
●マンゴー  
アーウィン種(代表的なマンゴー)
キーツ種(緑色のマンゴー、希少種)
台農マンゴー(黄色のマンゴー、希少種)
夏小紅(ピンク色のマンゴー、希少種)

●その他   
パッションフルーツ、ドラゴンフルーツ、
パイナップル、島バナナ、パパイヤ、
ハーブ、野菜(トマト、ニンジン、ピーマン、
カボチャ)、黒小豆、オオタニワタリなど

養蜂もしています

■防除
とくに行いません
JAS有機認証(JONA 認定)

■肥料
●牛糞      
地元産 黒毛和牛 約1〜2年発酵して使うND
●米ぬか     
滋賀県産
●マンゴーの種   
自家製
●ブラドミン    
川合肥料(株) 
ぼかし有機肥料ND、微生物資材、鰹節煮かす、家きんふん、うずら生体、うずら卵、米ぬか、カニガラ、コンブかす、落花生類、好気性微生物群、光合成細菌群
●アイアンパワー  
日本ジャパンバイオファーム 水溶性鉄、JAS有機適合資材 



―文責 西川榮郎(NPO法人  安全な食べものネットワーク  オルター代表)―



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