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日本一の味噌作りの村
カタログ2010年10月4週号
過疎の山村の村おこしの夢をのせた、安全な味噌作り。


◆村を挙げての安全な味噌作り
 島根県浜田市弥栄町(旧・弥栄村)は中国山地にあり、村の85%が森林という自然豊かな村です。昔の山村の風情を今もそのまま残しています。標高550mに位置し、冬は雪に埋もれる豪雪地帯です。
 一見どこにでもあるような村なのですが、ここには村おこしのお手本ともいうべき、やさか共同農場があります。やさか共同農場では町を挙げて安全な味噌作りに取り組んでいます。
 冬の寒さが厳しく、夏でも冷涼な気候は、味噌作りにおける微生物の働きや熟成によく適した環境です。起伏に富んだ山地の谷間には広葉樹が育んだ清水が豊富に湧き、ワサビが自生する湧水地帯です。その水は水温も一定していて、ミネラル分も多く、味噌の仕込み水に適しています。
 また、微生物を絶えず供給してくれる森の中で長期に自然発酵を行うことで、上質の味が醸し出されます。森と水と土、そして少しだけの人の力、これがやさか味噌をおいしくする秘訣です。

◆農産加工へ広がる夢
 やさか共同農場は1989年に法人化し、14名の職員・研修生が働いています。2000年12月には大豆、水稲、野菜の有機農作物の認証を、2001年2月には味噌とジュース工場の有機農作物加工食品の認証を取得しました。
 共同農場として有機栽培による米、大豆、野菜、しいたけ作り、手作り味噌の加工、販売などを行うほか、町内のいくつもの生産者グループと協力して、地域をあげての有機栽培、米、大豆作り、さまざまな農産加工に取組み、今や弥栄町の地域おこしにはなくてはならない中心的存在として、行政からも厚く信頼され、活躍なさっています。
 ここには中山間地定住化にもつながった、まさに農村共同体の再生と復元のお手本のような活動が展開されています。そして安全な食べものの産直や県外研修生によって、都市との交流ができており、日本一の味噌作りの村となっています。

◆味噌作りとの出会い
 やさか共同農場の代表・佐藤隆さんは、高校を卒業した18才の1973年に「人間性が生かせる有機農業の里づくり」の夢をもって、仲間4人とこの弥栄村に棚田の休耕田を借りて入植し、前身の団体「弥栄之郷共同体」を旗上げしたのです。
 夢をもって入植したものの、いざ暮らし始めると当然のこととして、過疎の村の厳しい現実が目の前にありました。開墾作業に汗を流す日々の中で、翌年には農家の庭先野菜を広島などへ産直販売する活動を開始なさいました。よそ者だからこそ地元の人にはできない発想・工夫ができたのでした。赤字続きの中でも出荷農家に対してきっちりと支払いをすることで、地元農家と共同体の間で信頼が生まれていきました。豪雪地帯の厳しい冬を、出稼ぎをしないで乗り越えることも課題でした。その答えが味噌作りでした。
 味噌との出会いは、購入した廃屋にあった杉樽の味噌。空家になって4〜5年経つのに、いい香りがしていたのです。数年後、たまたま渓流釣りで知り合った工業試験所の堀江修三氏が「弥栄は水がうまいし、冬は雪に覆われるから、きっとよい微生物が住んでいるはず」と冬場の味噌作りを勧めてくれたのでした。
 当時、村の多くの農家で自家消費用の味噌作りが行われていました。原料となる米も大豆も村内で作られていました。また、村の女性たちは味噌作りの経験者だったのです。村のおばあちゃんから味噌作りの手ほどきや協力を受け、共同体として味噌作りに取組み始めました。
 当初はお世辞にもおいしいとは言えない味噌だったのですが、1997年からは原材料もよくなり、またすっかり技術レベルも上がり、安定しておいしいものができるようになりました。寒冷地の気象条件にも恵まれ、今では味の面でも好評な「やさか味噌」ブランドとして、全国の共同購入団体へ出荷されるようになっています。


やさか共同農場の味噌
■原料
●大豆・米・大麦
 やさか共同農場が中心となって、弥栄町の有機農業の里作りを推めています。大豆や米、大麦は共同農場の栽培している有機認証を取得しているものだけでなく、町内の「森の里工房生産組合」を中心に、北海道・青森など全国の協力農家の有機農作物を使っています。
 有機栽培にあたって、病虫害防除、雑草の抑制、追肥などに米酢、焼酎、糖蜜、大豆の蒸煮汁、米のとぎ汁、味噌、麹くずの7種類の材料を発酵させた独自の葉面散布剤を工夫して使っています。有機栽培の大豆は作物のもつ元々の生命力で育つために、収量は多くありませんが、中まで柔らかい状態で生育しています。そのため水の吸収もよく、より柔らかくおいしい味噌に仕上がります。
 この有機大豆100%、もしくは地域内大豆100%自給の味噌作りが理想なのですが、この無農薬の大豆だけで全てのアイテムの味噌作りを行うにはまだ量が不足しているため、有機以外の味噌にはやむをえず地元浜田市の国産大豆を使用しています。

●塩
 有機味噌には赤穂化成(室戸)の海洋深層水使用の海水塩「天海の塩」を使用。その他の味噌には赤穂化成の天塩を使用。

●種麹
 創業以来三百有余年の京都の「菱六」の種麹を使っています。用途に合わせて構成された感性と技術、バランスのとれた種麹は、その安定した高品質とあいまって「やさか味噌」作りの源の一つです。

■製造方法
大豆を、1)洗浄 2)浸漬 3)蒸煮 4)冷却 5)擂砕(らいさい)する。
米と大麦を、1)洗浄 2)浸漬 3)水切り 4)蒸し 5)冷却 6)種着け 7)製麹する。
 上記の大豆と米麹に塩を加えて、味噌を仕込みます。一次発酵→切返し→熟成発酵。味噌の熟成は森の中の冷涼な保管倉庫内で、アイテムごとに必要な熟成期間をかけます。
 やさか共同農場の味噌は、原料から製造工程まで充分にすばらしいものですが、残念ながらこの熟成段階での容器にはポリエチレンの容器が使われています。オルターとしては、この容器を木製の容器に改善していただければ、より完璧だと考えています。現在、森林組合山村振興財団と協力して、杉の中木を使用した「ログ樽」の製作を計画されています。
 大豆、米、大麦、塩、麹、水以外、防腐剤・防沸剤・調味料・水アメなど一切有害なものを使用していません。


市販の味噌の問題点
カタログ2010年3月1週号をご参照下さい。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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