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無農薬で雑穀 収穫できました
オルター通信1058号 記事
◎無農薬の雑穀作りが始まりました
 やまがた有機雑穀推進協議会発足記念の講演会から、早いものであっという間に半年が経ちました。会の発足を現実のものに出来そうになったのは、西川栄郎さん山本朝子さんの力強い後押しと、実におおくの人の情熱が講演会にみなぎったからでした。はじめて出会う人々を交え、山形に雑穀を取り巻く新たなネットワークが芽吹こうとしています。
 雑穀を通して、都市の消費者と交流したいという情熱を感じながら、地域の生産者と交流を何度となく図ることとなりました。雑穀のみに留まらず、直売所のこと、農産加工のこと、協力関係のことと、地域の元気を掘り起こしてゆくような1年でもありました。それぞれが、これまでの人生経験を雑穀栽培というか、会の将来のために奔走してくれました。元普及員の方・県職員だった方など、来年のために移植機の実演や栽培マニュアルの作成に向けて尽力してくださいました。白鷹の元祖雑穀栽培翁の元助役の方は、交流会に自分の雑穀で黍餅をふるまってくださいました。「白鷹人ふるさと交流協会」なる農村農業体験を企画する会も発足するなど、人的交流密度の上がった1年となりました。
 やまがた有機雑穀推進協議会は、まだ歩き始めたばかりでこれからの会ですが、先進地の小国町の生産者「五穀の会」の皆さんの指導と協力をいただきながら前進しています。白鷹の生産者が小国の生産者を訪ねて交流を図り研修をしてきました。別の組織で交流があったりすると、町議仲間や農協役員の仲間や県職仲間など楽しそうに報告してくれることに感動をおぼえる年でした。とはいえ、白鷹の生産者は有機栽培1年生と雑穀栽培1年生の会です。植え付けの手伝いをしたり、有機肥料の提供をしたり、栽培圃場の確認をしたり、手弁当の作業をしながら来年につなげる営みでもありました。 今年は、みんなの希望もあって黍の栽培に偏ることになりました。品種の統一や栽培・収穫の体系化など、実際の運営や経営に課題を残しながらも確かな一歩を歩めたと感じています。 組織的計画生産へと努力して行きたいと思いながら、白鷹農産加工研究会が穴埋め的に補うことになりました。


◎ヒエ栽培にも取り組みました
 白鷹農産加工研究会は、今年はヒエの力を注ぎました。小国の渡部さんから提供していただいたヒエの種子を50アール栽培しました。見事に成長し、草丈2メートルとなりました。そして、倒伏しました。しかし、穂首だけは、また立ち上がりました。毎日の天候に一喜一憂しながら、「ヒエは風雨に弱い」とか粟はもっと植栽本数を増やすべきとか高黍は播種でいいとか、コンバインで刈り取れるものとそうでないものなど実に多くのことを経験した1年でした。人海戦術も限界があり、雑穀総面積1ヘクタールを管理するのに、80歳のおばーさんに手伝いをさせてしまいました。話は前後しますが、今年は育苗というか播種というかに苦労した年でした。今年は、委託された苗も含めて苗箱600枚ほどを並べて管理することになりました。勢いこんで播種したのは良いけれど、なぜか芽が出ません。「あのせいだ」「このせいだ」といいながら、育苗用土や種子や種の播き方にまで議論百出の大騒ぎをしてしまいました。もしかすると、雀が早起きだったからかも知れません。 何度も播き直しをしているなかで、ようやく来年の方針が決まりました。 来年は、米沢郷牧場の完熟発酵鶏糞を畑に寝かしたものを主体に配合して育苗培土にしようと思っています。 鹿沼土の細粒が、種子の粒に良く似ていることから鳥よけに効果があることも確認できました。よかった、よかった。
 夏の間は、天候に恵まれ梅雨時は空梅雨となりました。新しい管理機を購入し、除草のために3台で中耕しました。当会にも、新たな会員が入り畑仕事が順調に推移しました。空梅雨にも助けられながら、ヒエと高黍は雑草のまったく無い畑を守りました。有機大豆1.3ヘクタールと和辛子15アールのおまけ付きの栽培が出来ました。来年は、辛子粉とか粒マスタードに加工する方法を考えながら「これも雑穀か?」などと勝手に喜びを感じています。
 10月初め、いよいよ待望の収穫をいたしました。ヒエと高黍を仲間の汎用コンバインで収穫してもらいました。 倒伏したヒエでしたが、少しのロスで済みました。高黍は、あの大きなコンバインでさえもやっとの刈り取りでした。落穂拾いや刈り取れなっかた穂を手刈りして、100kgほどになってしまいました。ヒエは体積の割合に重量のない雑穀で、その分殻が綿ぼこりのようになっています。高黍は、小国の渡部さんにお願いして火力乾燥していただきました。なんと、収穫直後の水分が35%もあったそうです。ヒエは、ハウスに広げて乾燥させることとなりました。毎日、朝晩の撹拌をして乾燥を待ちました。担当者は、手で撹拌するものですからゴミが舞い上がり「鼻の中が真っ黒だ」とこぼすことしきりでした。乾燥したものを、こんどは篩いにかけて大きな藁くずを取り除き、唐箕にかけて小さなゴミを風選します。 この唐箕かけが手回しのためきつい作業です。丸二日掛かりの作業で選別収納が終わりました。ヒエは、これに外殻のわたを脱皮して唐箕をかけてようやく他の雑穀と同じような状態になります。ところが、高黍を精白しようとしたら、みんな粉々と砕け散るではありませんか。市販の高黍をみつめながら、どうしたらこうなるのかしらと首をかしげることしきりです。ヒエは普通の精米機では剥けないし、いろいろと課題のある今後でしょうか。


◎地域で仲間が拡がっています
 惣菜の加工施設を建設しようと準備を始め、今年はその場所に事務所を併設するつもりで大改造を企てました。 金も無いのに工事するものだから、赤字経営だと代表から報告されています。切実ではありますが、明日を夢見る仲間が集まれる場所としては最善の場所となるはずです。直売所をその地域に作ろうとする動きにも参加して行きたいと思っていますが、雑穀生産活動の有機的広がりを感じる想いがいたします。米価の下落とともに、力強く生きることへの主体化もこの雑穀事業の重要な課題と感じながらネットワークを広げて行きたいと思っています。

 白鷹農産加工研究会 鈴木雄一


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