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国産パイナップルを守り続けて...
カタログ“2007年6月2週”
国産パイナップルを守り続けて...
適度な甘味と酸味のバランス、香り高いジューシーなトロピカルフルーツ。
特別栽培のパイナップルです。

●沖縄のパイナップルを守ろう

 (有)真南風代表の夏目ちえさんは、琉球孤のいのち、自然、くらしに深い眼差しをもっていた真南風創業者の故・魚住けいさんの言葉「島にいのち孕ませる」をキーワードに、沖縄の島々からパイナップルなどの農作物やもずくなどの海産物を私たちに届けてくださっています。その活動は、オルターカタログ表紙2005年3月3週〜4月3週に5週連続でご紹介しました。今回はその続編でパイナップルのご紹介です。
 オルターと真南風の最初のパイナップルの提携は1995年、故・魚住けいさん(真南風の前代表)から届いた声が始まりでした。「沖縄のパイナップルが壊滅しそうなの。外国産に押されて、沖縄のパイナップル缶詰工場の業績が悪くなり、産業が立ち行かなくなってきている。生食用、缶詰、ジュース、どんな形でもいいので応援してほしい」。
 当時はまだ慣行栽培でしたが、何よりまず栽培者を守ることからしか何も始まらないと判断し、無農薬栽培を前提としてきた私たちでしたが、取り組みを開始したのでした。


●安全なパイナップル作り
 あれから12年経ち、石垣島グループ代表平安名貞市さん(他5名)、西表島グループ代表池村英勝さん(他6名)の仲間は、すっかり安全性を向上させた技術で、特別栽培のパイナップルを私たちへ送り続けてくださっています。
 今では生協など多くの団体の協力を得て、かつてのパイナップル缶詰工場の下請け的栽培から、おいしい国産生食用パイナップルの供給基地へと大きく発展し続けています。

●台風被害を乗り越えて

 強酸性土壌にしか生育しないパイナップルは、台風、干ばつ、病虫害に強く、沖縄にとって宝のような作物といえます。昨年2006年9月16日、超大型台風13号が石垣島と西表島を直撃、観測史上最強の風速69.9メートルを記録し、農作物に甚大な被害をもたらしました。台風に強いといわれるパイナップルも流石にこの被害を免れることはできませんでした。石垣島名蔵地区と西表島上原地区は猛烈な吹き返しの潮風にあたり、一時は植え付けたばかりのパイナップルがすべて枯死したかと思われるほどの被害を受けました。
 パイナップルは植え付けから収穫まで1年半〜2年かかります。今年出荷用だった被害当時植え付け1年目の株は葉先が塩害により茶色く変色。とくに圃場が海岸に近いほど被害割合が高く、塩害を受けた外葉が枯れてしまったため、株全体が小さくなり生育の遅れが心配されました。また、植え付けたばかりのパイナップルは芯部を残して真茶色に変色し、一時は全滅の心配までしました。
 幸いにしてこの冬、沖縄では12月〜2月にかけて夏を思わせる高温が続き、その後の旺盛な生育によって、ようやく出荷のめどが立つほどに回復してきました。来年出荷用の株も芯部の緑色の部分から復活を果たし、ゆっくり持ち直しつつあるようです。
 しかし、台風通過後に植えた圃場の方が先に植えたものを追い越して成長しており、被害株の欠株を埋める作業が追いついていないなど、来年まで影響が続きそうです。またいつ台風がやってこないとも限りません。
 今期のパイナップルは全体に小玉で推移すると予想されます。外国産と比べてはるかにジューシーで香り高い沖縄のパイナップルをおすすめします。


真南風の特別栽培パイナップル
●生産者
 八重山フルーツクラブ。石垣島・名蔵地区グ ループ代表:平安名貞市さん(他5名)、西表 島・上原地区グループ代表:池村英勝さん( 他6名)。共に親の代に宮古島から入植し、 大変な思いで荒れ地やジャングルを開墾し パイナップル畑を切り拓いてこられました。

●品種
 ピーチ種(品種名:ソフトタッチ)…生食用早 生品種。香りが強く、果肉は乳白色で柔らか い。桃のような香りがあることから、ピーチ パインと呼ばれる。玉が小さく反収が上がら ないため出荷量は限定されていますが、そ の甘さと香りが人気。5月〜6月限定出荷。

 ボゴール種(別名:スナックパイン)…沖縄 県が生食用として開発した早生品種。糖度 が高く酸味が少ないため、春先の気温があ まり上がらない時期も安定した味が人気。 口の中に甘さが広がり、酸味が苦手な方に 特に人気。葉先にギザギザがあり、草取りや 収穫で圃場に入るのは大変。縦割りにカット した上でウロコから引きちぎるように食べ ることができることから、スナックパインと 呼ばれています。5月〜6月の出荷。

 ハワイ種(品種名:N67-10)…戦後、加工 用(缶詰・ジュース用)として導入された沖 縄の主力品種。糖度と酸味のバランスがよ い。畑でギリギリまで熟度を上げる為、その 濃厚な味は絶品。6月上旬〜8月が最盛期。

●栽培方法
 パイナップルは株(冠芽)の植え付けから収 穫まで、春植え2年、夏植えで1年8〜10ヶ 月を要します。
◎農薬
 パイナップルは硬い果皮に守られており、比較的病虫害に強い作物です。2年間の栽培期間中、国産の他の果物と比べて防除回数を圧倒的に少なくすることが可能です。パイナップルコナカイガラムシ防除に殺虫剤(今期スミチオン乳剤MEP)1回、植え付け時期(収穫2年前)の除草剤DCMU1回の使用です。
 パイナップルは栽培1年目の生育が非常にゆっくりなため、作物が圃場を覆うまで半年以上、場合によっては1年近くかかります。その間、背丈の低いパイナップルを雑草が追い越さないよう絶えず除草をします。本土のように冬に草が枯れる状態ではなく、年中蔓延する草の管理は大変な労苦です。そのため、植え付け時期(7月〜9月頃の高温期。この時期、株は小さく裸地の面積が広い上、収穫時期とも重なり人手が不足する)に除草剤の使用を一度だけ容認しています。手取り除草が原則ですが、人手だけで除草するのは限界がありますし、高齢化、きつい作業も原因で人手も集まりません。ビニールマルチは根腐れの問題や経済性、処分が問題で利用していません。
 その他、農薬ではありませんが、収穫前年の秋に花芽にアセチレン水溶液を垂らし、カーバイト処理と呼ばれる花芽調整をします。

◎肥料
 化学肥料窒素24kg/反(沖縄県慣行基準116kg/反の7割減)。収穫1年前には化成肥料を切り、その後は自然に任せた栽培をしています。
 化学肥料を使い続ける慣行栽培では1株から2玉どりですが、1玉しかとっていません。素晴らしいパイナップルを収穫するため、収量減にもあえて取り組んでいます。その為、味も良くなり、熟度を上げても日持ちがよいのです。

◎収穫
 畑で十分熟したものを収穫します。朝ていねいに収穫し、打撲しないように慎重に箱詰めします。追熟はしていません。

●食べ方
 生食が一番のおすすめです。肉との相性がよいので肉料理の添えもの、またお菓子、ゼリー、ジュースなどもお楽しみください。パイナップルは繊維質が豊富で栄養価も優れており、ダイエットにも向いています。


市販のパイナップルの問題点
 外国産はプランテーションで農薬を使用して栽培され、さらにポストハーベスト農薬もあります。十分に熟さないうちに収穫され運ばれてきますので、熟度も大きく異なり、おいしくありません。
 沖縄のパイン産業保護政策の中にTQ制度があります。TQ制度とは、国産パイン缶詰1缶に対して外国産缶詰9缶が無税となる、いわゆる抱き合わせ関税です。また加工用原料名目の補助金も各種あります。スーパーマーケットで販売されている危険で有害な輸入パイン缶が極端に安いのは、原産国の安価な労働賃金・加工賃に加え、このような優遇措置がとられているためです。国は私たちの税金を、消費者を傷つけるために使っていることになります。
 国産パイナップルの中で比較すると、沖縄における慣行栽培の農薬の使用回数は15回、真南風は2回です。慣行栽培の化成肥料窒素量は追肥9回で116kg/反、真南風はその7割減で追肥3回のみです。慣行栽培では1株2玉どりが一般的で、真南風は1玉どりで収量半減です。この差が当然、味の違いとなります。


―文責 西川栄郎(オルター代表)―


  
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