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風で織るタオル
カタログ“2006年6月4週”
風で織るタオル
●使う人と環境への徹底した配慮
 愛媛県今治市は、100年以上の歴史をもつタオル産地です。日本におけるタオルの歴史は、明治5年頃、英国から輸入されたのが始まりとされます。江戸時代から白木綿の産地であった今治では、明治19年にタオル生産を開始。以来、今治は全国一のタオル産地として知られてきました。池内タオル(株)は1953年創業、現社長の池内計司さんは2代目です。
 池内タオル(株)では、オーガニックコットンの原糸をもとにタオルを作っています。またその製造工程でも合成界面活性剤を極力控え、漂泊は塩素系ではなく酸素系漂白剤を使い、糊は化学糊をやめ澱粉糊を使い、染色は重金属を含まない反応染料を使うなど、化学薬品の使用を可能な限り避け、使う人の安全性と環境に配慮しています。また、染色を担当する協力工場、Yグループ協同組合のタオルラボインターワークスの排水は、それが注ぐ瀬戸内海の海水より透明感のある排水という徹底ぶりです。

●安全なタオルは、安全な電力で織りたい
 池内さんが今日のような安全性、環境にこだわったタオル作りを始めたのは、カタログ2002年11月3週でもご紹介した「グリーンコットン」のデンマークの繊維会社ノボテックス社のライフ・ノルカード社長との出会いがきっかけです。
 1996年、ノルガード社長はグリーンコットンの講演のために来日し、同社自慢の廃水処理技術の必要性を説いていたところ、人づてに「ノボテックス社の廃水設備よりもすぐれた設備をもつ企業が今治にある」と聞き、それを見ずして帰国はできない、と池内さんに申し込んでこられたのです。
 瀬戸内海の環境規制は世界一厳しく、前述のタオルラボインターワークスの廃水処理技術は文字通り世界一でした。その創設者は吉井久さん、時代の先を見つめておられた立派な方で、池内さんも協力してできた工場です。染色工場といえば、通常は汚い工場のはずなのですが、工場内をスリッパで見学できるほど清潔でなんの薬品臭もない工場です。ノルガード社長はこの設備の優秀さに驚くと同時に、こんな素晴らしいものを作っていながら池内さんが環境に対してあまりにも無知なのを厳しく指摘され、諄々と講義をされたのでした。
 一念発起した池内さんは1999年、国内のタオルメーカーでは初めての環境ISO(品質管理の国際規格)のISO−14001を取得、2000年にはISO−9001を取得。ノルガード社長は「グリーンコットン」の技術を池内タオルに提供されました。
 環境対策は生半可な気持ちではいけない、と考えた池内さんは、2002年1月から、外注部分を除く製繊・検品など池内タオル(株)の自社工場と事務所の使用電力を100%風力発電で賄うことにしました。いつしかそのタオルは「風で織るタオル」と呼ばれるようになりました。
 同年、全米最大規模の「ニューヨーク・ホームテキスタイル・ショー2002スプリング」に日本企業としてただ1社参加し、来島海峡の流れをモチーフにした「ストレーツ・カラーソリッド」シリーズが最優秀賞に選ばれました。日本製品として初のグランプリでした。
 こうした取り組みがNHKの番組「21世紀塾」で紹介されました。2003年、小泉首相の施政方針演説の中でも名前こそ伏せられていましたが取り上げられ、さらに「ニュースステーション」で紹介されました。私が池内タオルに注目したきっかけは、その「ニュースステーション」の報道でした。

●柔らかな風合い、心やすらぐ使用感
 池内さんは、環境にやさしくというコンセプトを大切にするだけでなく、タオルを使う人にもやさしく、タオルの風合いや使用感を大切にして、使う人の気持ちが明るくなるたいへん美しいタオルを作られています。
 現在国内で販売されているタオルの65%は輸入品で、その多くは硬くて肌触りがゴワゴワしています。それに対して池内タオルは、綿本来がもっている柔らかな風合いにこだわりました。通常タオルに使う太くて丈夫な糸ではなく、ワイシャツ用の細くて柔らかい糸を2本より合わせ、ループと呼ばれる起毛部分も従来の2倍の長さにしています。
 池内タオルの代表的なタオルは、ヨーロッパの繊維業界で権威のあるスイスの認証機関エコテックスのクラス1、すなわち「乳幼児が口に含んでも大丈夫なもの」という認定を受けています。ちなみにクラス2は「肌に触れても大丈夫なもの」、クラス3は「部屋に置いても大丈夫なもの」です。
 日本一のタオル産地・今治も、他の地場産業と同様に、安価な中国産、ベトナム産に押され、地盤沈下しています。そんな状況の中、メーカーとしてきっぱりとした生き様を選択し、世界的なファッションの中心地ニューヨーク・ソーホー地区へも進出した池内タオルは、伝統的タオル産地を守るホープとして期待されています。

池内タオル(株)のオーガニックコットンタオル
●原糸
 「オーガニック・カラーソリッド1」シリーズと「タオルオリガミ」シリーズは、オーガニックコットン100%です。パイルと下糸はKRAV(スウェーデンの認証機関)認定のペルー有機栽培綿、横糸はBIOINSPECTA認定のインド有機栽培綿。
 「RIMA FUJITA ハピネス」シリーズは、オーガニックバンブー75%、オーガニックコットン25%です。パイルは東レ製のバンブーヤーン(竹繊維。吸水率が綿の1.7倍あります)、下糸はKRAV認定のペルー有機栽培綿、横糸はBIOINSPECTA認定のインド有機栽培綿。
 市販の綿製品の中でも、特にタオルと靴下には一般的に安い糸が使われています。これに対して、認定紡績工場で糸を紡いでいるオーガニックコットン糸は、一番安くても通常の木綿糸より5倍は高くついています。

●製造工程
@原糸…KRAV、BIOINSPECTA認定のオーガニックオーガニック綿及び、東レ製のバンブーヤーン
A原糸加工…外注
精錬(綿ロウを必要最少限に除去。合成界面活性剤を最低限に)→漂白(酸素系の過酸化水素を使用。塩素系漂白剤は不使用)→糊(澱粉100%。ビニール糊は入れません)
B製織…自社工場
ISO−14001、ISO−9001認定工場。日本自然エネルギー(株)より秋田県能代風力発電所の電気を購入し、100%稼働。タオルの面積当たりの糸使用密度は、インチ当たり縦55・横55・パイル55と、織る密度を細かくして耐久性をもたせています。
C後加工(糊抜き・染色)…Yグループ協同組合タオルラボインターワークス
糊が残ると柔らかさの妨げになるので、洗浄水は石鎚山系の良質な地下水を使って徹底的に洗っています。染色には、染料の中では比較的安全性が高く、微生物による廃水処理も容易で堅牢度の高い木綿用反応染料を使用。染色助剤としてアルカリ剤(芒硝)使用。界面活性剤は最低限使用。見せかけの為の柔軟剤は使いません。微生物を活用した廃水処理技術で、世界一厳しい瀬戸内海排出基準をクリアしています。

市販のタオルの問題点
 現在世界中の綿花栽培では農薬が使用されています。殺菌剤、殺虫剤、除草剤、生育調整剤、薫蒸剤など多種多様で、害虫駆除剤に至っては綿だけで全世界の農薬使用量のじつに25%、一説には45〜70%が使用されていると言われています。
 これらの農薬は栽培従事者に危険であるだけでなく、栽培地域の井戸水、他の植物などをも汚染し、生地にも残留して、それを身につける消費者をも冒しています。農薬の種類によっては接触しただけでも毒性を発揮するものがあるのです。
 綿は繊維だけではなく、食品(お菓子の原料などになっている綿実油、家畜の餌)、石けん、グリセリン、紙、医薬品、断熱材にも使われており、その農薬汚染は深刻です。また遺伝子組み換えの種子も使われてきています。しかし、安全な繊維、安全な綿製品を供給すべき有機綿の収穫量は世界で約9300トンに過ぎず、全体の0.05%にも満たないのです。
 綿は紡績・紡織で糸や布に加工されていきますが、このとき、洗浄に多量の合成界面活性剤が使用され、また漂白にはチクチクする原因となる塩素系漂白剤が使われます。その他、発ガン性のあるワックスや蛍光増白剤など様々な化学薬品が使われます。また、染色に使われる化学染料にも、発ガン性など毒性の強いもの、ニッケル、クロム、コバルトといった重金属が使われているものがあります。化学薬品で糸をコーティングする防縮加工は、せっかくの繊維の吸水性を損ないます。
 これらはアトピーや化学物質過敏症などのアレルギーの原因となります。そして、これらの工場排水は多額の処理費用を嫌って垂れ流しにしているのが現状で、中国の沿岸部では染色後の水によって海の色が変わってきているのです。これらの薬品が生態系に深刻な影響を与えるのが必至な状態です。
 市販品(生協も含め)のペラペラで使用しているとすぐに破れてくるタオルは、安く見せかけるために、織るときに面積当たりの糸数を縦横とも2〜3割減らしているものがあり、耐久性に乏しくなっています。オーガニックコットンについても、EU基準では綿花栽培と綿糸加工をセットで認定していますが、アメリカでは綿花栽培のみで認定しています。


  ー文責 西川栄郎ー
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