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終わっていないBSE問題 アメリカ産牛肉また輸出条件違反
オルター通信1021号 記事
終わっていないBSE問題 アメリカ産牛肉また輸出条件違反
 (消費者リポート2008年2月7日発行 第1393号より転載)


  アメリカ産牛肉の輸入が2006年に再開されてから6例目となる輪出条件違反があったと、農水省が08年1月12日に発表しました。


●すでに過半数食べた?規制緩和より輸入禁止
 
 違反したのはアメリカの大手食肉加工業者のスミスフィールド社で、日米政府が合意した輸入に関する「月齢20か月以下」に違反する21か月齢の牛肉やタンが輸入されていたのです。丸大食品とシンワオックス2社が輸入した1264箱中549箱以外は、すでに流通し消費者が食べてしまった可能性があります。このようなずさんな管理しかできないアメリカ政府に対しては日本政府も輸入禁止措置をとるべきです。
 しかし、BSE対策としては、国内外で逆の規制緩和の動きが進んでいます。国内対策では、政府は08年8月から20か月齢以下の弱齢牛の検査を不要とするとしています。これには北海道や三重県など多くの自治体が消費者・生産者の意向を受けて反発していますから、現実には全頭検査が続くでしょう。


●OIEもアメリカの飼料や検査の甘さを指摘

 国際機関のOIE(国際獣疫事務局)は07年アメリカを「管理されたリスク国」として承認し、自由に牛肉製品の貿易ができるとしましたが、08年5月の同機関の総会では、イギリスなど23か国を同様のグループに入れようとしています。さらには「コンパートメント」という概念を作り、BSEのため輸出禁止とされている国であっても、一定の基準を満たすと畜・牛肉加工工場などから輸出できるようにしようとしています。
 アメリカはこのOIE基準を錦の御旗にして、日本に月齢条件の撤廃など輸出条件の緩和を迫っていますが、昨年来、OIEもアメリカの飼料規制が甘いこと、BSE検査の充実の必要性を指摘しているのです。
 日本の省庁や食品安全委員会は、アメリカの主張を認める環境づくりでもあるBSE対策の緩和を行なおうとしています。そのようなことは止めて、世界でも一番厳しい日本のBSE対策を世界基準にするよう努力すべきです。

 (山浦康明)




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