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「養殖サケにPCB」
通信806号 資料記事
世界の環境ホットニュース(GEN)250号ー別処珠樹さん8月配信ーより転載


養殖のサケに天然物より5倍以上高い濃度でPCB(ポリ塩化ビフェニル)類が含まれていると、アメリカの消費者団体「環境ワーキング・グループ」EWGが7月30日に発表しました。PCBはダイオキシンと構造や作用が似ているため、ダイオキシン類として扱われることもある一群の物質です。
  EWGが各地の食料品店から養殖サケを買い集めて検査したところ、ダイオキシンに換算して平均で1グラムあたり0.33ピコグラム(0.33pg-TEQ/g)のPCBを含んでいました。一回に食べる量を170グラムとして EGWでは計算していますので、これにならいますと、一回で56ピコグラムのPCB類をからだに取り込むことになります。これは多いのだろうか。少ないのだろうか。ピコグラムなどと聞くと途端にあたまが痛くなる、ややこしい話しはごめんだという方は、つぎの段落をとばして読んでください。
  いま日本では、体重1キログラムについて1日に4ピコグラムの摂取量がダイオキシン類の限度とされています。例えば体重50キログラムの人では 1日200ピコグラムが限度ですから、その4分の1を養殖サケ1切れで取り込むことになります。子どもの場合はさらに大きく影響を受ける可能性もある。またWHO(世界保健機関)は1日体重1キログラムあたり1ピコグラムを目標としていますから、これだと養殖サケを1きれ食べただけでだめだということになります。
 サケの養殖は盛んです。消費者の人気は、魚の中でアメリカ第三位、食料品の売上げの22%を占めるそうです。EWGの分析では、養殖サケはアメリカの食品の中でPCBによる汚染がもっとも高い。現状のデータを基にすると、80万人を超える成人が影響を受けることになるという。PCBには発がん性があるだけでなく胎児の脳の発育に悪影響を与え、とても分解しにくい性質を持っています。
 養殖サケは魚のすり身と魚油で太らせます。この魚油がPCBを高濃度に含んでいる。養殖サケは天然物とくらべて5割も脂肪が多く、脂がのっていると人気があるのでしょうが、そのかわりPCBがここに濃縮されていることになりますね。
 しかし天然物はPCB濃度の低い小魚を食べていて、脂肪分も養殖物にくらべて低い。連邦食品医薬品局(FDA)が基準を作った時には、こうなることを予想できなかっただろうが、その後の養殖産業の伸びはめざましい、人びとの健康に影響を与えるようになった―とEWGの責任者は語っています。
 EWGでは、養殖物よりも天然物のサケを選ぶこと、料理法としてはフライにするより脂肪分をできるだけ取り除いて焼くことをすすめています。皮の裏についている脂肪分などは食べないのが賢明ということでしょう。
 なお、この記事はすでに共同通信が流していて、次のところで読むことができます。ただし濃度はダイオキシンに換算する前の数値のようですので、注意が必要です。

▽熊本日日新聞  http://kumanichi.com/news/kyodo/science/200307/20030731000108.htm

▽EWGの論文
 http://www.ewg.org/reports/farmedPCBs/es.php

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