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こころの病にならないために
カタログ2009年8月4週号
こころとからだの健康にセロトニンが活躍
朝日、リズム運動、トリプトファン、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムがキーポイント。

 東邦大学医学部の有田秀穂教授によれば、人のこころを司る主な神経には3つ、すなわち「ドーパミン神経」「ノルアドレナリン神経」「セロトニン神経」があって、それぞれ脳内の「情報伝達物質」として「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「セロトニン」を放出しています。
 「ドーパミン」は快感物質として知られています。その過剰分泌は妄想、幻覚、幻聴をもたらし、統合失調症の症状をはじめ、アルコール依存、タバコ依存、薬物依存、ギャンブル依存、インターネット依存、ゲーム依存の原因となります。その過少分泌はパーキンソン病の原因となります。
 「ノルアドレナリン神経」は脳内にある危機管理センターというべきもので、「ノルアドレナリン」は生命の危機や不快な状態と戦うための脳内物質です。ストレスや低血糖症などでノルアドレナリンのバランスが崩れると、うつ病、不安神経症、強迫神経症、対人恐怖症、パニック発作で、怒りがおさまらない、イライラして落ち着かない、すぐキレる、なぜか不安で仕方がないなどの症状が出てきます。
 「セロトニン神経」は脳全体へ向けて指令を送るいわばオーケストラの指揮者のような神経で、「セロトニン」はこころとからだのバランスを調節する重要な役割を担っています。「ドーパミン神経」「ノルアドレナリン神経」の暴走を抑制し、様々な精神疾患を防いでいます。セロトニンは交感神経と副交感神経、すなわち自律神経のバランスも整えています。セロトニン神経を強くすることで、自律神経の不調による心臓神経症、過敏性腸症候群、反復性臍疝痛などの症状を抑えたり、予防することができます。
 セロトニンは抗重力筋という重力に逆らって動く筋肉にも働きかけています。立つ姿勢、背筋をのばす姿勢、笑ったとき口角が上がる、頬が上がるなどの筋肉です。セロトニン神経を強くすると猫背が防げ、からだや顔の表情が若々しく保てます。皮膚は柔らかくなり、血行のよい顔色をして元気です。
 セロトニン神経が強いと、脳も若々しく保ちます。認知症を予防し、元気に活動できる年齢「健康年齢」を延ばします。またストレスにも強くなります。そのほか朝の目覚めがスッキリする、朝に集中力やカンが冴える、朝のスタートダッシュがきくので残業が少なくなり自分の時間ができる、前向きで気力にあふれ落ち着いて過ごすことができる、などの効果もあります。
 セロトニンの欠乏は、ドーパミンやノルアドレナリンの暴走を招きます。気分が不安定になる、寝起き寝つきが悪い、何となく不安、ひとつのことが気になって仕方ない、ストレスに弱くなってキレやすくなる、摂食障害などの不調が出てきます。社会問題となっている自殺、凶悪事件なども無関係ではありません。


セロトニン不足は生活習慣から
 セロトニンは、太陽光の刺激と単純なリズム運動の繰り返しでその分泌量が増えることがわかっています。セロトニンが働いている場合、現代人の6人に1人といわれているうつ病や自律神経失調症とは無縁でいられます。逆に夜型の生活で日光を浴びず、運動不足の生活習慣はセロトニン欠乏をもたらし、こころのバランスが崩れ、うつになったりキレやすくなるのです。とくに長期的なストレスの継続は危険です。引きこもりは悪循環になります。
 子どもたちにとって安心して外で遊べない時代、電場を浴びながら単純なことを繰り返すテレビゲームに興じ、学習塾通いの生活で慢性的な運動不足に陥っている現代は、セロトニン不足の危険な時代というわけです。キレる子ども、引きこもりの子どもが増えているのも「体内時計の狂い=セロトニン不足」と無縁ではありません。
 このようにセロトニン不足による様々な精神疾患も生活習慣病なのです。


セロトニン神経は強化できます
 有田先生はセロトニン神経を強化するために「朝の5分間脳内セロトニントレーニング」(かんき出版)を提案しています。セロトニンは朝の目覚めとともに放出されて、体が動き出す準備を整えたり、気持ちを平静に保ちます。眠っている間は放出されません。セロトニンは睡眠物質のメラトニンの材料ですので、夜よく眠るためにも朝日を浴びる生活は大切です。
 また、セロトニン神経を鍛えるのに、筋肉の収縮と弛緩を周期的に繰り返す各種のリズム運動が効果的です。歩行(話しながらは効果なし、ひたすら歩く)、咀嚼(ガムは有害なのでスルメ、真昆布、ドライフルーツなどを噛む)、哺乳、腹式呼吸(腹式呼吸しながらアイウエオを繰り返す発声が効果的)、大笑い、笑顔を作る、号泣、ハイハイ、ラジオ体操、エアロビクス、ジャズダンス、ゴルフのスイング、バッティングの素振り、スクワット、水泳、自転車、テニス、フラフープ、貧乏揺すり、階段をトントン上る下る、ほうきで床掃除、草むしり、草刈り、雑巾がけ、洗濯物干し、カラオケ、打楽器、音読法、読経、座禅、太極拳、ヨガ、フラダンス、サルサ、阿波踊り、盆踊り、グルーミング(なでる、トントンタッチ、肩たたき)などです。


セロトニンを増やす食事
 体内でのセロトニンの合成の原料は、必須アミノ酸のひとつトリプトファンです。トリプトファンを含む食材をバランスよく食べている限り、不足することはありません。セロトニンの医薬品的投与は過剰投与による副作用があって危険です。またトリプトファンをサプリメントとして安易に摂取するのは、セロトニン症候群というトラブルが起こることがあるのでやめましょう。
 食物として自然に摂取されたトリプトファンは脳内に運ばれて、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムの助けを借りてセロトニンに合成されます。
 トリプトファンを多く含む食材は、大豆や大豆加工品の納豆、豆腐、湯葉、きな粉、味噌、醤油など、ごま、ちりめんじゃこ、鰹節、わかめ、バナナ、カシューナッツ、ピーナッツ、アボカド、牛乳、ヨーグルト、チーズ、たまご。
 ビタミンB6を含む食材は、サンマ、イワシ、カツオ、サバ、タイ、ニシン、マグロなどの魚、玄米、大豆、小麦胚芽、バナナ、ニンニク、唐辛子、ショウガ、豚モモ、牛レバー。
 ナイアシンを含む食材は、イワシ、アジ、サバ、サンマなどの魚、スルメ、肉類、海苔、わかめ、もずく、アオサ、しいたけなどキノコ、落花生、唐辛子、ぜんまい、わらび、エゴマ、玄米、小麦、大麦。なお、ナイアシンは体内でトリプトファンから合成されます。砂糖はナイアシンを奪うので要注意です。
 マグネシウムを含む食材は、海藻、ニガリ、ニガリ豆腐、海産物です。


セロトニントレーニングで脳のキズも治ります
 「心の病は脳の傷」(西村書店)で紹介されている財団法人脳神経疾患研究所付属総合南東北病院高次脳機能研究所長 兼 PET総括・研修医臨床教育部長の松澤大樹先生によれば、引きこもり・自閉症・PTSD・うつ病・統合失調症・認知症は、MRIの画像で脳の扇桃体にできた傷が確認できる共通点のある病気で、朝の運動やトリプトファンのある食事によってその傷が解消し、症状も軽減していくことを報告しています。
 現代の精神医療では副作用の強い投薬治療という対症療法が主になっていますが、有田先生や松澤先生のような生活習慣を見直すというアプローチがもっと注目されるべきだと思います。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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