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手もみでまろやか、ネット式 天日塩
カタログ2011年2月4週号
海洋ミネラル豊富な完全天日塩。
にがりは風呂に。


◆ミネラルたっぷり ネット式 天日塩
 高知県黒潮町にある海工房の西隈隆則代表は、太陽と風の自然エネルギーを活かして海洋ミネラルたっぷりのネット式の天日塩作りをしています。また一部は平釜で煮詰める煎合塩も作っています。海洋ミネラルは加熱によって変質しやすいので、私としては全製造工程で非加熱の完全天日塩「美味海」の方をおすすめします。
 黒潮町は旧の大方町と佐賀町が合併して、2005年に誕生した町です。そのとき役場から町名にちなんで黒い塩が作れないものかと提案がありました。ただ黒い塩というだけでは面白くなく、味も良い塩を作るのにはどうしたらよいかと試行錯誤を始めました。ちょうどその頃、海工房に研修に来ていた地元大方高校の生徒たちと共同でその研究をしました。その結果、地元黒潮町の王無しの磯に自生するカジメという海草で試して、おいしい黒い塩が出来上がりました。カジメは褐藻類コンブ科の海藻で、海の中では濃い緑をしていますが、乾燥させると真っ黒な色になります。その「カジメ」「かん水」(海水を6倍くらいに濃縮したもの)に入れて煮詰めていくと、カジメの出汁が出て、まろやかで美味しい黒っぽい塩になりました。カジメにはアルギン酸やフロロタンニンなど優れた栄養成分があります。 
 海工房では塩の副産物である海水ニガリから入浴剤も製造しています。ニガリ風呂は、寒い季節にポカポカとよく暖まるのでおすすめです。
 ちなみに、オルターの豆腐の生産者、「太子屋」(カタログ2010年8月4週号参照)では海工房の海水ニガリで豆腐を作っています。

◆亡き谷克彦さんの指導のもとに
 西隈さんと私の出会いは1976年頃、彼が「高知土と生命を守る会」のメンバーで、鉢巻山で農業をしていたときでした。その後、有機野菜の八百屋もしていたことがあります。1992年には日本のタワー塩の草分け「生命と塩の会」のスタッフになりました。「生命と塩の会」は、拙著「安全な食べもの百科」P.147にご紹介した、日本の塩の第一人者と私が評する谷克彦さんの指導を受けて建設した、伊豆大島に次ぐ、国内2番目のタワー塩での製塩場でした。当時、高知県窪川町民は原発誘致計画を撥ね返していました。自然豊かな土佐湾の海岸に立つべきは原発ではなく、天日塩のタワーだと、その脱原発のシンボルとして「生命と塩の会」を旗上げしたのでした。
 西隈さんは、その「生命と塩の会」を離れ、2003年3月に「海工房」を立ち上げ、その年の10月に塩が出来始めました。「生命と塩の会」は、もともと私や、高生連の松林直行さん、西隈さんらで立ち上げた会ですが、現場を任せていたK氏によって、後に私物化されてしまったのが、西隈さんらが離れるきっかけとなりました。若かりし頃、所有権を明確にしないまま、情熱だけで動いていた結果だったと思います。

◆国内最高クラスの塩作り
 かつて、塩はガラス工業の原料として、できるだけ精製されていなければだめで、純度の高いNaClにするイオン交換法が製塩の主流にありました。そんな工業塩全盛期にあって、今日の自然塩ブームをもたらした日本の塩の第一人者であり、『塩 いのちは海から』の著者、谷克彦さんは、健康によい塩とは、いざというときには医療用のリンゲル液の代わりに使えるようなものでなければだめだ、そのためには主として(1)精製しすぎはよくない(2)煎合塩のように加熱して作った塩は、海水に多種多様に含まれるミネラルの分子レベルの存在形態が壊れてしまってだめになるのでよくない、と指摘されていました。そして塩の良し悪しを簡単に見分けられる方法として「あさり」を使った実験(濃度を海水に合わせた、各塩水の中であさりの開く時間を調べる方法)をよくされていました。「塩のことはいそぎんちゃく(飼育が難しい)やあさりなど海の生物に聞けばよい」と語っていました。
 谷さんはまた、塩作りに使う施設や道具の材質のことも気をつけていました。化学的な素材をできるだけ遠ざけるべきだと考えていました。
 この谷さんの指導を受けた多くの弟子達は、今日、その恩人の名前を忘れ、品質を高めるための切磋琢磨も怠っています。
 拙著「安全な食べもの百科」P.147でご紹介した(株)沖縄海塩研究所の小渡幸信さんと海工房は、その志を忘れずにいます。この(株)沖縄海塩研究所の「粟国の塩」と海工房の「美味海」をあえて比べると、「かん水」作りの工程で「粟国の塩」の方は竹を使った流下式で、「美味海」の方はナイロン製の網であるという点において差異があるくらいで、塩の結晶工程などは、それぞれタイルやガラスを使用し、化学的なものを排除した立派な製造工程です。


海工房の「美味海」
■原料
黒潮町王無しの浜のきれいな海水。
フィルター濾過して使います。

■製造工程
@「かん水」作り
木製の「採かんタワー」の中に設置、ナイロン製の網(オルター注:オルターでは改善が必要と考えています)に海水を散水し、さらに海水を循環させ、約1ヶ月かけて塩分濃度約6〜7倍の「かん水」を作ります。

A塩の結晶化工程

A-1
すべて非加熱自然乾燥の完全天日塩「美味海」…
(1)で得られた「かん水」をビニールハウスの温室の中のガラス製(継ぎ目はシリコンコーティングしています)の槽において、天日だけで結晶化させます。その際、塩を手でもみます。すると味はまろやかになり、形も整います。温室内ではベートーベンやモーツアルトの音楽を塩に聴かせています。

A-2
煎合(釜炊き)塩「りぐる」…
耐火レンガ製の平釜で薪炊き(遠赤外線効果でおいしく仕上がります)で煮詰めます。煎合は、よりマイルドに仕上げるため、じっくりと2度炊きします。沈殿してくる硫酸カルシウム(腎臓障害のおそれあり)は濾過して除きます。薪は森林組合や役場から入手しています。炊き上がった塩を温室内のガラス製の槽に移し、天日で自然乾燥します。

A-3
煎合塩「黒潮町の黒塩」…
王無しの浜の磯で採ってきたカジメを水でよく洗い、日に干して乾燥させます。これを(1)の「かん水」に入れ、釜で煮詰めます。沸騰したらカジメを取り出し、一定の濃度までさらに濃縮します。一晩冷ました「かん水」を再び薪釜に入れ、じっくりと煮詰めて塩にします。

Bニガリの分離
できた塩は、遠心分離機で脱水し、塩とニガリに分けます。


ニガリ風呂「ぼっちりSHAKE」
風呂上りは、しっとり、ポカポカ感が長く続きます。

■原料
●水ニガリ…海工房自社製
●湧水…地元黒潮町の湧水
●エッセンシャルオイル・ヒノキ…高知精工(前川幸一) 高知県中土佐町。原料:桧の葉
●エッセンシャルオイル・ラベンダー…宝玉香料 ブルガリア産(市販品で詳細不明)

■製造工程
@天日水ニガリと、この天日水ニガリを濃縮する工程でできるマグネシウムを湧水で溶かし、希釈します
Aフィルター濾過でゴミを取り除きます
B(2)に、天日水ニガリを加えて濃度調整します
C(3)をボトルに入れ、エッセンシャルオイル(ヒノキ、またはラベンダー)を入れます

■使用方法
風呂のお湯はぬるめに。使用時はよく振って。
容器1目盛(キャップ4杯分)を湯船に垂らしてよくかき混ぜる。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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