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安心安全、☆☆☆の紀州みかん
カタログ“2008年1月3週号”
安心安全、☆☆☆の紀州みかん
若木を植えて植えてカミキリムシの害を克服し、何年かに1回のみマシン油を使うだけ。
みかんらしい味のみかん作りを目指しています。


●本場紀州のみかん

 和歌山県海南市下津町の手平明人さんは、化学農薬を完全に排除して各種みかんやビワの栽培をしています。葉の色も淡く、至る所にクモの巣がある申し分なく健全なみかん園です。
 手平さんのみかん園は、海岸から6kmほど入った山の中にあります。下津港は、かの紀伊国屋文左衛門が江戸にみかんを運び出した港です。潮風の恵みを受けて、おいしいみかんが育っています。

●大変珍しいみかん園の景観

 みかんの無農薬栽培の一番の難敵は、カミキリムシです。その対策は農薬を使わない場合、農園を見回り、木の根元近くに卵を産んでいるのを見つけて除去するという方法しかありません。それを見逃すと木は枯れてしまいます。
 手平さんはカミキリムシの害にめげず、やられてしまったら新しい苗を粛々と植えていくという取り組みをしています。したがって、老木までカミキリムシの害を受けない木は珍しく、みかん園全体が比較的若い木で占められています。
 手平さんのみかん園は、他のみかん園と比べて、大変特徴的な景観があります。それは、殆ど全てのみかんの木が低木で、脚立等を使わずとも手で収穫できるという事です。その理由は、前述の様に若木が圧倒的に多い事と、奥様の農作業がし易い様に老木に対しても十分な剪定を行なっている事です。また通常は10年生くらいの木の方がみかんの味がのってくるものですが、若木の内から味がのる様に剪定でふし目を工夫するという、みかん栽培技術上のこだわりもあります。
 簡単に手でみかんが収穫できるこの手平さんのみかん園は、みかん狩りにも最適で、オルターとしてみかん狩りツアーを予定したいと考えています。
 手平さんが苦労しているのは、カミキリムシだけではありません。草刈りもです。草刈りは春から秋に2〜4回行ないますが、特に真夏の草刈りは死ぬ思いだそうです。勿論除草剤を使う事なく、手刈りをしています。

●ニッソール事件から学ぶ 

 手平さんがこれほど農薬を拒否する様になった一つのきっかけは、隣部落の大窪で1967年に起きたニッソール農薬事件でした。夏休み、家業のみかん園で農薬ニッソール(MNFA)の散布作業を手伝った高校生、松本悟くんが急性農薬中毒で亡くなったのです。学者、研究者が応援して国と農薬メーカー日本曹達を相手に裁判を起こし、農薬の毒性が大きな社会問題となった事件です。
 手平さんは20才代の時、この事件の調査に参加した事のある京都大学農学部の学生との出会いや、また農薬の影響で周囲の川の小エビがいなくなった事も気になっていましたので、農薬をやめたいと考えるようになりました。そこで同じ下津町で無農薬栽培に取り組んでいた1才年上の先輩の手ほどきを受けました。1980年頃はまだ低農薬でした。その後、様々な農業技術を熱心に学んでこられ、事実上無農薬にしたのは、奥さんの由紀さんのお腹に新しい生命が宿った1990年の事でした。目の前の家族に少しでも安全なものを、という気持ちからでした。
 今日までの出荷先は、関東の団体や東北等の自然食品店でしたが、しっかりとした提携消費者団体があった訳ではなく、出荷に大変苦労を重ねてこられました。消費者の応援なしでここまで頑張られた無農薬栽培の農家は大変珍しく、立派だと思います。
 オルターへのご紹介は、京都の自然食品店「菜の花」の伊藤さんからです。


手平さんのみかん
●防除
 カミキリムシ対策に、アルミ箔を木の根元に巻いておきます。アブラムシにも多少有効。これでもカミキリムシが卵を産むので見回り、見つけると除去しています。見落として木が枯れると若木に植え替えます。ヤノネカイガラムシ対策に、3年に1回ほどマシン油(有機JAS許容資材)を使う事があります。ここ3年間は使用なし。虫忌避、地力増進に木酢液(奈良炭化工業(株)・有機JAS許容資材)を使用。

●肥料/最近3年以内に使った肥料は以下の通りです。
 @全有機配合肥料…橋爪飼料で配合。魚荒粕(高知県魚さい加工公社)、肉骨粉(豚・鶏。愛知化成事業協同組合)、菜種油粕(日清オイリオグループ(株))、有機カリウム(草木灰)A魚ソリュブル(カツオ魚アラ。川合肥料(株))Bコンブエキス(レッソニアコンブ、竹酢液。 川合肥料(株))C苗木にバーク堆肥D自園で刈った草

 来年の使用肥料の予定は、上記の@全有機配合肥料とCバーク堆肥はやめて、A魚ソリュブルとBコンブエキスにプラスして、EカツオボカシまたはカニカラFボカシコンブGでい炭を使う予定です。

【手平さんのびわ】
防除なし。肥料はみかんに準じます。

【手平さんの出荷予定品目】
●柑橘類
温州みかん…11月下旬〜2月下旬
はるか…2月上旬〜3月上旬
早生ハッサク、ハッサク…2月下旬〜3月下旬
清見オレンジ…4月中旬〜5月上旬
バレンシアオレンジ…7月上旬〜下旬

●ビワ…6月

●ビワの葉…年中。ビワの葉健康法に使えます。

●山ぶき…3月中・下旬〜5月上・中旬。この地域のふきは香りがよく、かつて京都青果で日本一と評価されていました。しかし心ない人たちがいわばニセモノの品を出荷して産地の信用を失墜させてしまったことがあります。

●ふきのとう…2月

●ししとう…7月上旬〜10月上旬


市販のみかんの問題点
  通常のみかん栽培においては、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの農薬を使っています。もちろん化学肥料も使っています。昔は甘味を出すために、夏みかんなどの木に亜ヒ酸(ヒ素剤)を注射していたこともありました(現在もちろん禁止されていますが、韓国からこっそり輸入して使っていた事件も起きています)。
 また愛媛県経済連が見ばえをよくするためにみかんにワックス(発ガン性の心配あり)をかけ始め、当初高値を呼んだことから、全国化してしまい、当時はワックスがけしていないみかんはくず扱いという有り様になっていました。今では、このワックスがけは極早生、伊予柑にしているくらいです。このワックス には農薬を混合するのが一般的です。ワックスがけを止めても、出荷直前に畑で木になっているものに農薬を使用しているのです。また晩柑、夏みかん類、スダチなどの貯蔵みかんに対しては、国内でもトップジンなど有害な農薬でのポストハーベストが一般的に行われています。
 しかし、こんな問題だらけの国内産みかんでもオレンジやグレープフルーツなどの輸入みかんよりはまだましです。輸入みかんは貯蔵に、OPPやTBZをはじめ残留性の高い農薬を使用しています。その中にはアメリカ国内では使用が禁止されたEDBが日本向けにはまだ使われていたりもしています。


―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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