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スパイス(93品目)に放射線照射は認められない!
オルター通信935号記事
土と健康 No.380 2006年6月号より転載

健康情報研究センター・食品照射ネットワーク代表
               公衆衛生学博士 里見 宏

「照射食品はいらない」 の声をあげよう
 日本原子力委員会が昨年末から放射線照射スパイスの認可に向けて動き出しました。内閣府・原子力委員会内に食品照射専門部会を設置し、今年3月には全日本スパイス協会からヒアリングし、4月には日本消費者連など、消費者団体からヒアリングを行いました。5月10日には公開ヒアリングが開かれ、反対する意見も多く出されましたが、賛成意見もみられ、形式的に問題ないということで食品安全委員会にかけられる公算が高くなりました。
 食品照射ネットワークからも下記のような質問を出してあります。危険なことがわかっている照射食品ですが、原子力行政と流通業者の利益のために消費者が犠牲になることは許されません。認可されてからでは遅すぎます。「照射食品はいらない」の声をあげてください。
照射食品についての意見・質問
1 貴委員会はIAEA・WHO・FAO合同専門家委員会の「10キログレイ(kGy)までの照射は安全とする」という結論を安全の根拠にしているが、この報告のモノグラフにも結論に至った根拠データが示されていない。これを基に安全とすることは誤りである。このような姿勢がいかに消費者の信用を損なっているか、よくお考え下さい。
2 10キログレイ以下でも卵巣重量や体重減少、死亡率の増加、奇形など重大な実験結果が「照射食品研究成果報告書」(科学技術庁食品照射運営会議が行ったジャガイモ、タマネギの試験研究)に記載されており、それを無視して10キログレイまで安全とするのは誤りである。
3 スパイス93品目への照射は、安全に関し、唯一タマネギで奇形(2を参照)が報告されているが、他は不明であり照射は許されない。
4 スパイスは、「細菌の汚染がひどく中毒の原因となるおそれがある」ことから、照射が必要とされているが、スパイスによって起きた食中毒事例はない。スパイス業界はスパイスの汚染を防ぐ努力をせず、照射に頼ることは誤りである。
5 ドイツ、カールスルー工連邦栄養研究センターが、照射によりできる化学物質のひとつ、2−ドデシルシクロブタノンを突き止め、この物質をラットに与え腸から吸収されると細胞内の遺伝子(DNA)を傷つけるという報告をしている。しかし、貴委員会の資料によれば「WHOの見解(2003)として「……消費者に健康の危険をもたらすようには見えない。」という引用で安全であるかのように記している。これは安全の根拠とならず、逆に危険性を示している。
6 北海道士幌町の照射施設を見るまでもないが、各地に照射施設ができた場合、警備は手薄であり、テロの対象とされる危険が高い。
7 照射した上に化学物質を使うことで、業者に利益が出ることや、ラジエ工業のようにベビーフードにまで違法照射をした事件(1978年)もある以上、照射を推進する業界と消費者の間には信頼が成立しておらず、消費者が裏切られる危険は高い。
8 貴委員会は、原子力の多目的利用法の開発の一環として、照射食品を推進しているが、人間の生存に関わる食べ物に安易に照射しようとする政策は改めるべきと考える。
9 照射食品は健全性(毒性学的、微生物学的、栄養学的の3観点)から食物としての安全を確認できるとしているが、時間的軸が抜けており食物の安全を確認する方法ではない。
10 原子力大綱で照射食品は、「生産者、消費者が科学的な根拠に基づき、具体的な取組の便益とリスクについて相互理解を深めていくことが必要である」としているが、相互理解以前の段階である。食品照射専門部会が勝手に、消費者の「理解の不足」と決めつけ、事を運んでいるのは重大な誤りである。これまで消費者に提供された情報は業界の利益であり、商品価値としての安全性であり、照射食品によって消費者が受ける利益については何も具体的に示されていない。
11 照射は加熱などと変らない物理的な方法であるとしているが、ガスや電気と違い原子力は国家管理の下にある。こうした大前提を隠蔽するかのような説明が消費者の信頼を大きく損なっている。
 以上の理由により照射食品に反対します。

食品照射ネットワーク 
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