通信販売の法規(特定商取引に関する法)に基づく表示

発がん物質入り  国産小麦パン 
通信889資料記事
食べたくない! 
発がん性物質・臭素酸カリウム添加の山崎製パン
「国産小麦食パン」「サンロイヤル ファインローマ」

科学ジャナリスト 渡辺雄二
2005年7月17日 消費者リポート第1301号より転載

 2004年6月から、山崎製パンが発がん性のある臭素酸カリウム(小麦粉改良剤)を使ったパンを売り出しました。「国産小麦食パン」と「サンロイヤル ファインアローマ」です(消費者利リポート1267号)。 

 1980年に大手パンメーカー27社が臭素酸カリウムの使用自粛を決め、中小メーカーもそれに続いて以来、表面上は臭素酸カリウムは使われてきませんでした。しかし同社は、消費者や消費者団体をまったく無視する形で、大っぴらに使用を再開したのです。
 実は使用自粛後も、山崎製パンは、臭素酸カリウムの使用再開を果たそうと、残存検査の方法を研究し続けていました。また、その技術を厚生労働省に提供してきました。同省は、独自でも分析法を研究し、03年3月、「食品中の臭素酸カリウムの分析法について」と題して、検出限界値0.5ppb(10億分の1の濃度)の分析法を各都道府県に通知しました。これは、この限界値以下なら臭素酸カリウムを使ってよいということです。

■消費者が発がん性物質とわかる表示を!
 現在同社は、「風味向上」などの名目で、前の2製品に加えて、食パンの「サンロイヤルアローマ」「サンロイヤルスーパーアローマ」「超芳醇特撰」、さらに「ヤマザキ食パン」にも、臭素酸カリウムを使っています。このままでは、菓子パンにまで、臭素酸カリウムが使われる可能性があります。
 日本パン工業会は、臭素酸カリウムの使用を認めており(同工業会科学技術委員会小委員会ホームページ参照)、ほかの大手パンメーカーも、臭素酸カリウムを使うようになる可能性があります。
 ところが、一般の消費者は、こうした事実をほとんど知らないのです。
 先日、家の近くの喫茶店でタマゴサンドを頼み、一切れを食べたところで、厨房にどこかで見たことのある青い包装を見付けました。よく見ると、「サンロイヤル ファインアローマ」だったのです。私は一切れを残し、会計をすませましたが、店の人が「どうして食べないのか?」と聞いてきたので、事情を説明したところ、「そんなこととは知らずすみませんでした。もう、このパンを使うのは止めます」と言いました。臭素酸カリウムが使われていることは製品に表示されていますが、一般の人は表示をよく見ませんし、見ても臭素酸カリウムがどんなものかわからないのです。
 同社では、「臭素酸の残存については03年2月に厚生労働省が通達している分析法(改良ポストカラムHPLC法、検出限界0.5ppb)に基づいて第三者機関の(社)日本パン技術研究所が行なっております」「現在の最先端分析技術により0.5ppbの検出限界で検出されないことを確認しております」と説明しています。
食べたくない! 今こそ反対しよう
 しかし、製品をすべて検査することなど不可能です。製品にはバラつきがあるので、パン生地の製造段階で添加されている臭素酸カリウムが、すべての製品で0.5ppb以下になっているかは、誰にもわからないはずです。仮に0.5ppb以下だったとしても、発がん物質は、遺伝子に作用して突然変異を起こし、細胞をがん化させるため、ごくごく微量であっても、影響があると考えられます。
 いまこの事実を一般消費者に伝え、反対の声を上げていかないと、次々と市販のパンに臭素酸カリウムが使われることになってしまうかもしれません。



戻る