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究極の草地酪農酪農の牛乳を実現するために、まず中洞さんの山地酪農牛乳でテストを実施します
カタログ“2003年1月2週”
 オルターは現在、よつ葉牛乳とひまわり牛乳を取扱っていますが、いずれもまだ十分に満足に足りる乳質の牛乳ではありません。工場段階でパスチャライズやノンホモジナイズを実現してきており、酪農段階では非遺伝子組換えの飼料まで切替えが進んでいるとは言っても、飼料の100%国産化まではできていないからです。

 オルターが目指してきた牛乳は、牛のエサ、粗飼料が100%自給の草であり、補う濃厚なエサも100%国産のものです。そんな牛乳の実現にやっと目途がつきました。
 その製造実現のためには、まず需要数量を把握しなければなりません。そこで、中洞牧場の山地酪農牛乳でテスト輸送を実施し、アンケート調査を行います。消費量の見込みが不足する場合には、他団体への協力を呼びかけていく予定です。中洞さんの牛乳だけでは、乳量が全く不足しますので、他の山地酪農の生産者に協力を呼びかけていく予定だからです。

 中洞牧場の中洞正さんは学生の頃、植物学者猶原恭爾博士が提唱した山地酪農の話を聞いて感動し、現在の岩手県の山中で山地酪農を始められました。山地酪農とは、高知の斉藤陽一さん(カタログ2000年7月第5週参照)でもご紹介したものです。
 日本シバ主体の草地に牛を放牧し、一度形ができれば末代までほぼ毎年継続的な牛乳ができる千年家(せんねんや)と呼ばれる、人間の真の豊かな酪農のあり方です。牛自らが牧場を拓く、スイス酪農の蹄耕法と呼ばれる牧畜技術と酷似しています。

 もともとは輸入のエサに頼っていては、何かあった際に安定的に農業ができないから、日本の山地を活かして、日本シバなどで自給的な酪農を営もうという考え方から始まっていますが、狂牛病の輸入肉骨粉、ポストハーベスト農薬汚染や遺伝子組換え農作物などの輸入飼料、また、動物医薬品や飼料添加物などの薬品に頼らない酪農や安全性を求める私たち消費者にとっても、大変重要な意義をもつものであると言えます。
 しかし、青雲の志をもって始められたこの山地酪農は、ピーク時にはメンバーが40〜50軒くらいあったものの、群馬県や秋田県でも挫折に追い込まれ、現在では指で数えるほどしか残っていないのです。理由は農政や農協の無理解や低乳価であり、このままでは滅び去るのはまさに時間の問題となっています。中洞正さんは、この山地酪農を今こそ守り、発展させるべきだと強い意気込みをお持ちです。オルターとして、これに全面的に協力していきたいと考えています。


中洞正さん
中洞正さん、えく子さんご夫妻
中洞牧場の山地酪農牛乳
 中洞正さんは、10年前、地元の消費者に直接牛乳を届ける活動を始められ、1997年に現在の牛乳プラントを完成なさいました。テレビ、雑誌などでよく取上げられ、百貨店でも扱われていますので、よくご存知の方も多いと思います。
 中洞牧場のスタッフは、ご家族と研修生です。


広大な牧草地
牛のエサと飼い方
◇ 牧 場
 日本シバ(野シバ)主体の草地50ha。シバ以外にはケンタッキーブルーグラスやオーチャードなどの牧草もあります。草地に化学肥料の施肥はありません。広大な牧草地には森もあり、牛の水飲み場はその森の中の渓流です。この草地に周年昼夜放牧、すなわち1年中夜も昼も牛を山に放しています。牛が牛舎に来るのは、搾乳のときだけです。搾乳は搾乳機(ミルカー)を使い、パイプラインでバルククーラーへ送られて、貯乳されます。

◇ 搾 乳 牛
 ホルスタインとジャージー牛の混血です。ジャージー牛は乳量は少ないのですが、高い乳脂肪の牛乳が搾れますので、草だけで乳脂肪分がややもすると乳等省令基準の3.0%を割れることがあるのを防ぐために、使っています。
 牛の頭数は35〜36頭で、そのうち搾乳牛が22頭です。必要かつ十分な牧草地があります。交配は自然交配で、仔牛は自家繁殖です。狂牛病の母子感染の心配もありません。通常の農家経営では、牛は4〜5才までで、空胎と呼ばれる妊娠しない母牛の状態を許さないものですが、中洞さんのところでは10産以上で、寿命も長く、中には最高17才の現役の牛もいるのは、まさに驚きです。一頭一頭の牛を本当に慈しんで飼っておられるのです。


◇ エ サ
 粗飼料は100%草だけで、80%は自給しています。不足する分は、北海道産の牧草で補っています。これに夏場は牛1頭あたり、国産のくず大豆1kg、北海道産ビートパルプ3kgを与えています。冬場は自家採種の草をロールサイレージにし、くず大豆1kg、ビートパルプ3kgのほか、国産米糠1kgを追加しています。輸入穀物や配合飼料は一切与えていません。文字通り国産100%のエサです。
 年間の1頭あたりの乳量は4000〜5000Lで、一般農家の約半分程度です。このように牛に無理をさせていないからこそ、牛の寿命も長く、良質な牛乳作りが可能なのです。安全性、乳質は、現在、国内で流通している市販牛乳の最高峰だと思います。


ジャージー牛もいます
牛乳プラント
 中洞牧場の牛乳プラントは、清潔によく管理されています。500Lの受け入れタンクは、乳質を傷めない理想的な大きさです。
 殺菌は62〜63℃30分の低温長時間殺菌法(LTLT法・パスチャライズ)です。ホモジナイズ処理をしていないノンホモジナイズ牛乳です。
 ビン詰めには充てん機は使っていますが、打栓は1本1本丁寧な手仕事を加えながらの作業です。洗ビンは石鹸を使い、ビン殺菌には次亜塩素酸ソーダがビンに残留しないようになさっています。
 ビンはもちろん回収して使います。


洗ビン工程
市販の牛乳の問題点
 輸入の穀物主体の配合飼料、ポストハーベスト農薬、遺伝子組換え作物、狂牛病のときは肉骨粉が問題。防腐剤、酸化防止剤、女性ホルモン剤などの飼料添加物や抗生物質など動物医薬品問題。詳しくはカタログ1999年11月第1週(よつ葉牛乳関連ページ)、2000年7月第5週(斉藤陽一さん関連ページ)を参照。


(文責:西川栄郎)


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