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西村びん (オルターのしじみの生産者・しじみネットワーク代表)
先般、新潟県柏崎市を中心に発生した震度6強の巨大地震は、柏崎原発を直撃し、史上初の原発地震災害となりました。幸いにも検査中で稼働を停止していた原発も多く、また、運転中だったものもなんとか緊急停止することができたために、最悪の悲劇的な事故は免れたようです。 しかし、この地震で原発に起きた事態は新聞報道で見る限りでも、相当深刻です。
マスコミ報道から見た限りの問題点 1・燃料棒の中に閉じ込められているはずのヨウ素133やコバルト60が検出されているとのことです。これは燃料棒が地震の揺れで破損した可能性を示しています。 2・使用済み燃料貯蔵プールの水が1.2トンも海に放流されているとのことです。使用済み燃料は大きな余熱を もっており、プールの水が抜けるという事態に陥ると、使用済み燃料が溶けたり、臨界に達する可能性もあります。原子炉と違って耐震設計の甘いこの使用済み燃料貯蔵プールは、地震時の原発の弱点であることを今回の事故はさらけ出しています。 3・地震による地盤沈下のために、原発に電力を供給する変圧器の火災事故が発生し、外部からの電力供給が止まりました。停電になった時に原発の非常用発電機はどこまできちんと機能したのか、発表がありません。原発の電力が失われ、一時コントロール不能になった可能性もあるかもしれません。 4・この変圧器の火災事故の際の初期消火が全く機能せず、消火活動が始まるまでに1時間もの時間をロスしています。危機管理が全くなかったことが露呈しています。 5・地震時のデータがあふれて、次々と上書きされてしまったり、モニタリングデータが送信できなくなったりという事故データの把握に問題が発生していることは重要です。何が起きているかわからなくなるということは、対応が後手に回るということを意味するからです。 6・M6.5を想定して作られた原発の耐震設計では、想定の何倍もの大きな地震に見舞われた今回の場合、次々と問題を発生させ、その数63ケ所にもぼっているとの事です。耐震設計の根本的な見直しが急務となっています。 7・新潟中越沖地震では海底に30kmもの巨大活断層が存在したという調査結果を広島工業大学の中田教授が発表しています。さらには原発の真下に活断層が 走っていることも従来から指摘されてきました。電力会社も国も裁判所もこの事実から目をそらし、安全といい続けてきた結果が今回の事態です。活断層の上や周辺にこのような危険な原発は建てるべきではありません。こうした原発については、徹底した活断層調査を実施し、危ないものは直ちに廃炉にすべきです。
島根原発では、周辺6kmのところに長さ21kmもの巨大な活断層が発見されており、まだ調査が続いています。海底の活断層も含め、徹底した調査を中電に実施させねばなりません。 事態がはっきりした時点で、再度この島根原発の耐震安全性そのものの見当を根本からやりなおす必要があります。
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