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放射線を食べ物に???  照射食品?!
オルター通信985号記事
放射線を食べ物に???  照射食品?!
照射食品反対連絡会  パンフレットより



◆放射線を食べ物に?!

 2005年10月、内閣府原子力委員会は、「原子力政策大綱」で放射線照射食品を推進する方針を決めました。照射食品が広がらないのは、“消費者の理解不足”と決めつけ、94種類の香辛料への照射の許可を要請していたスパイス業界を後押しする形で、2005年12月、食品照射専門部会を設置し、2006年7月に検討結果をまとめました。しかしこれは、形式的な合意の証拠作りにほかなりません。


◆照射食品とは何でしょう?

 照射食品とは、殺菌、殺虫、熟度抑制、発芽阻止などを目的として、コバルト60などの出すガンマ線、電子加速器による電子線などの放射線を当てた(照射した)食品のことです。食品自体が放射能を帯びることはありませんが、放射線のもつエネルギーで食品に付いている菌、虫、蛹、虫の卵、発芽や熟成のための細胞を殺傷します。


◆放射線照射で成分が変化します!

 放射線が食品に当たると、食品の成分である物質の分子から電子がはね出され、化学的に不安定になり、「放射線分解生成物」が生じます。この生成物質の中には、発がん性や遺伝毒性をもつ成分があることも確認されています。照射食品は、見かけは生のように見えるのに、煮たり焼いたりした食品よりも大きな変化を受けているのです。


◆危険性を示す動物実験も!

 1998年、ドイツ・カールスルーエ連邦栄養研究センターが照射によりできる化学物質の一つ、2-ドデシルシクロブタノンをラットに与えると細胞内の遺伝子(DNA)を傷つけるという報告をしました。その後、この生成物質は発がん物質と一緒に体内に入ると強い発ガン増強作用のあることがわかりました。


◆照射臭で食味が低下!

 放射線を食品に当てると、特有の「照射臭」が出ます。これも照射による成分変化が関係しています。NASA(米国航空宇宙局)が宇宙飛行士の食欲が落ちる宇宙食の放射線照射をやめ、ハサップ(HACCP)を作り出したのは有名な話です。


◆安全性は確立されていません!

 照射食品を食べさせた動物実験で、奇形や染色体異常、生殖器異常、胎仔異常、死亡率の増加などが報告されています。毒性試験は照射食品の危険性を確認できますが、安全性の証明にはなりません。食べ物は、何世代にもわたって人類が食べることで安全な食べ方が確立されてきたものだからです。


◆実用的な検知法もありません!

 その食品が照射されているかどうか、また、その照射量・回数を調べる方法(検知法)は、確立されていません。


◆悪用・乱用も起きます!

 1978年には、和光堂のベビーフードの原料となる粉末野菜が4年間にわたって違法に放射線殺菌されていた照射ベビーフード事件が起きました。2004年2月には、マルハ鰍ェ大腸菌で汚染されたカナダ産ホッキ貝を中国で加工したところ、放射線で殺菌されていたことがわかり、東京都は回収を指示しました。しかし、ほとんどの照射ホッキ貝は、正月用の寿司や刺身となってすでに食べられてしまっていました。悪用・乱用はいくらでもできるのです。


◆労働者が被曝の危険に!

 食品照射施設では、数十万〜数百万ベクレルの放射性物質を取り扱います。照射室の見学中に被曝した事故、作業中に被曝した事故が報告されています。


◆放射性廃棄物も問題に!

 放射性物質の輸送時の事故も起こります。使用済み線源は、放射性廃棄物として管理しなければなりません。原子力発電所と同じような問題を抱えています。


◆照射食品を推進しているのは原子力産業です!

 安全性も疑問、検知法もなく、管理も不可能な照射食品ですが、これを世界的に流通させようと推進しているのは世界原子力機関(IAEA)です。FAO、WHOと一緒に食品照射専門家委員会をつくり、1980年には、それまで安全性問題の課題とされてきたこと(放射線分解性生物の毒性試験や慢性毒性試験などの必要性)を無視して、科学的根拠もないまま、10キログレイ(100万ラド)までならどんな照射食品の健全性(化学的・栄養学的・毒性学的)にも問題なしとする報告を出しました。それは1983年、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の国際規格に適用され、2003年にはさらに、必要なら10キログレイ以上についても認められるとしています。そして、貿易上のメリットや食中毒防止のための利用を喧伝しています。


◆照射は食べ物にふさわしくない!

 安全性や管理問題を無視して、貿易上のメリットも食中毒防止のための利用もありえません。生命を育む食べ物は、いのちあふれる有機農業をはじめとするそれにふさわしいつくり方、取り扱い方がなされることを望みます。
 日本は、「食品を製造し、又は加工する場合もしくは保存の目的で食品に放射線を照射してはならない」と、食品衛生法第11条に基づく「食品、添加物等の規格基準」で全面禁止しています。唯一、例外として許可されている照射ジャガイモ(士幌町農協、年間約8000トン)も年々減少しています。放射線照射禁止を堅持し、スパイス照射に反対しましょう。



スパイス業界が許可を要請している香辛料は94品目も!
アサノミ、アサフェチダ、アジョワン、アニス、アムチュール、アンゼリカ、アナトー、ウイキョウ、ウコン、エシャロット、オレガノ、オールスパイス、オレンジピール、ガジュツ、カショウ、カッシア、カフィアライム、カモミール、ガランガル、ガルシニア、カルダモン、カレーリーフ、カンゾウ、キャラウェイ、クチナシ、クミン、クレソン、クローブ、ケシノミ、ケーパー、コショウ、ゴマ、コリアンダー、サフラン、サッサフラス、サボリー、サルビア、サンショウ、シソ、シナモン、ジュニパーベリー、ショウガ、スターアニス、スペアミント、セージ、セロリー、ソーレル、タイム、タデ、タマネギ、タマリンド、タラゴン、チャイブ、チャービル、ディル、トウガラシ、ナツメグ、ニガヨモギ、ニジェラ、ニラ、ニンジン、ニンニク、ネギ、ハイビスカス、バジル、パセリ、ハッカ、バニラ、パプリカ、パラダイスグレイン、ヒソップ、フェネグリーク、ピンクペッパー、ペパーミント、ホースラディッシュ、ホースミント、ホメグラネート、マスタード、マジョラム、ミョウガ、メース、ヨモギ、ユズ、ラベンダー、リンデン、レモングラス、レモンバーム、レモンピール、ローズ、ローズマリー、ローズヒップ、ローレル、ロングペッパー、ワサビ


 このように、ゴマやタマネギ、ニンジンなど幅広い食品に照射されます。カレーやハンバーグなどいろいろな食品に加工されてしまいます。ヱスビー食品、ハウス食品、ライオンマコーミックなどのスパイス会社に照射許可要請を取り下げるように働きかけて下さい。スパイスを使う食品会社・外食企業にも、照射スパイスを使わないよう宣言してもらいましょう。



「照射食品反対連絡会」に参加し、反対の声をあげましょう!
 日本では1970年代から、照射食品に反対する消費者・市民の幅広く積極的な反対運動が行われてきました。1988年には、アメリカでの野菜・果物への照射認可や照射施設建設計画に伴う反対運動やIAEAなどによる貿易での利用促進のための国際会議などをきっかけに食品照射ネットワークが結成され、以来、機関誌『食品照射アラート(警報)』を軸に活動が続けられてきました。
 2006年6月には、内閣府原子力委員会の照射食品推進の動きに対し、消費者・市民団体が集まり、「照射食品反対連絡会」を結成しました。国に照射食品に関する問題点をただしたり、原子力委員会に照射推進に反対する申し入れをしたり、賛同署名などを行っています。




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