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麹菌の自家採取にまでこだわった有機味噌
カタログ2011年7月2週号
十分な熟成をした味噌は放射能排出が期待。


◆超がつくほど安全にこだわり
 福井県武生市にあるマルカワみそ(株)の河崎宏さんは、原料として有機大豆、有機米を使い、伝統的な天然醸造法で、有機味噌を造っています。味噌樽には今でも杉樽を使っています。仕込水には地下水を活性化して使い、炭を味噌蔵周辺に4.5トン埋めています。超がつくほど安全にこだわっておられる河崎さんですが、その中でも特記すべきことは、味噌用の麹菌を自家採取なさっているということです。
 昔は麹菌を自家採取していた味噌蔵も珍しくはなかったかもしれませんが、現在では極めて珍しいことです。国内のほとんどの味噌製造者は、味噌用種麹菌を製造しているところから種麹を購入しています。その種麹を製造しているところは全国で6社ほどしかなく、味噌の味もそれだけ画一化されているということになります。これは味噌麹に限らず、ほかの発酵、醸造製品にも共通しており、いずれも数社で種麹を製造したものを購入して使用する状況になっています。

◆天然微生物を使おう
 種麹を継代培養しながら管理することには、味の画一化だけではなく、他にも問題があります。まず継代培養された種麹は、あまりに過保護に育てられているため生命力が弱く、遺伝学的にも株(品種)の劣化が起きやすいのです。また、例えばアミラーゼ酵素の活性の強い株を品種改良するために、放射線照射による突然変異を利用するなど、いわば奇形株を作り出して商業利用していることになり、これが本当にまっとうな食べもの作りと言えるかどうか。また、培養時に使われる人工培地の成分、例えばペプトン(肉エキス)などの畜産物由来の原料に狂牛病などの心配はないか。『買ってはいけない』の著者のお一人、三好基晴医師はこのような心配から、醸造には自家採取した天然微生物を使おうと提唱され、「菌匠会」を作っておられ、河崎さんも、この「菌匠会」のメンバーです。
 麹菌の自家採取は、簡単な作業ではありません。気温30℃以上が7〜10日続く夏にしかできない作業なのです。また、秋口の20℃くらいの気温で雑菌に汚染されやすいため、たいへん手間と注意力が必要な仕事です。幸い、お父さんが若いとき、この作業経験をお持ちで、自家採取技術の復活に協力してもらえたのですが、それでも、何回も失敗を重ねられたということです。

◆ほんもの探し
 河崎さんが天然醸造を基本になさったのは、「その方が美味いから」とお父さんから教えられたことが原点にあります。ほんもの探しを河崎さんが始められたきっかけは、大学2年のときに読んだ『恐るべき食品汚染(郡司篤孝著)』でした。食品添加物に対する恐怖感を覚えたのです。いち早く農家の深刻な農業被害の現状に警鐘を発し、有機農業を提唱された梁瀬義亮医師の本を読んで感動し、奈良の慈光会まで会いに行かれたこともあります。
 味噌1kgを作るのに、米と大豆を栽培する約3m2の土地がいる。通常、ここに192gの農薬、化学肥料が使用される。これらは川、海、海(水)産物を経て人間の口に入ってくる。この汚染の循環を変えない限り、未来はない。自然と人間が「共生」できるのは、有機農業しかない。有機味噌が売れた分、汚染は減っていく、と河崎さんは考えています。

◆チェルノブイリの時も大活躍
 東京農業大学農学部醸造学科卒業後、家業のマルカワ味噌に従事し、2000年には「土→食べ物→健康→充実した人生」との考えから「限りなく自然、天然に近い素材と製法を用いた味噌つくり」を理念に代表取締役に就任されました。味噌造り4代目です。
 マルカワみその創業は、1914年。種蒔きから最終製品までを目指し、有機農業の大豆と米を原料にするため、8年間、自分で無農薬栽培を試みたことがありました。しかし、草取りなどの労苦から挫折を味わいました。
 その後、藤本農園の藤本肇さんや金沢農業の井村辰二郎さんなどの有機栽培生産者との劇的な出会いによって、自分が直接作れなくても自分の代わりに作ってくれるプロがいることが分かり、味噌造りに専念することができるようになりました。1995年には工場の有機認証を取得なさいました。さらに、2001年には、麹菌の自家採取の復活に成功なさったのです。
 味噌に含まれるジピコリン酸という成分には、放射性物質を吸着して排出する作用があるといわれ、1986年のチェルノブイリ原発事故以来、ヨーロッパをはじめ世界中へも出荷なさっています。
 紹介は、オルターの木工製品の生産者「森の国」の尾屋勲さんからです。河崎さんの大学の2年先輩です。


マルカワみその天然醸造有機味噌
有機味噌 米(自家採種天然麹)
■原料
●国産有機大豆・・・JA新篠津(北海道)、営農企画(北海道)、大潟村カントリーエレベーター公社(秋田県)
●国産有機米・・・日本の稲作を守る会(栃木県)、加賀ゆうきの会(石川県)、成澤生命食産(宮城県)、大潟村カントリーエレベーター公社(秋田県)
●天外天塩・・・内モンゴルで天日干しされ、1年熟成の湖塩。
●水・・・地下水を活性化して使っています。

■製造方法
●米麹造り
@玄米 → 色彩選別機
A精米
B米洗浄
C浸漬
D蒸し
E冷却
F麹種付け
G製麹
H出麹
I塩切り食塩を加える

麹菌は限定吸水を行った丸大豆で自家採取し、その後、米につける

●味噌造り
@大豆洗浄
A浸漬
B蒸し
C放冷
D雷砕
E仕込み 米麹、種水を混合。杉樽へ
F発酵、熟成
※約1年間寝かせます。速譲のための加温をせず、コストと時間と場所のかかる天然醸造をしています。
G堀だし
H充填、袋詰め

※出荷に際して、加熱処理も、防沸剤などの一切の化学薬品の添加もありません。発酵微生物が生きています。生のままの出荷ですので、容器には発生する炭酸ガスを抜く穴(弁)がついています。原料以外のものは全く使用していません。

有機味噌 麦(自家採種天然麹)
■原料
●国産有機大麦・・・浦部農園(群馬県)、金沢大地(石川県)
※今年から草津パイオニアファーム使用予定
●国産有機大豆・・・JA新篠津(北海道)、営農企画(北海道)、大潟村カントリーエレベーター公社(秋田県)
●塩田結晶塩(韓国)

■製造方法
麦みそ用の種麹は従来は樋口松之助商店から購入していましたが、2010年8月仕込み分から自家採取の菌に切替え、2011年6月から出荷し始めました。麹作りには米でなく、大麦を使います。その他は「有機味噌 米」と同上。

有機栽培米と一般(慣行栽培)米を白米にして、水に浸けてビンに詰め、保存しておいたものを比較すると、保存して1年くらいで、一般米のほうは茶色くなり始めました。有機米の方は、12年以上経った今でも、ほとんど変色していません。


一般市販の味噌の問題点
カタログ2010年3月1週号参照



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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