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風味・成分とも最高の国産蜂蜜
カタログ‘2009年4月2週号’
加熱に細心の注意を払い、国際的にも高い酵素活性。
虫歯にならない蜂蜜です。


●十分な糖度を求めて「ひと花一度どり」

 山口養蜂園の山口邦義さんは、国内でも数少ない定置養蜂家です。花の季節になると徳島の山間に巣箱を置いてミツバチを放し、蜜を集めさせます。巣箱からの採蜜方法は「ひと花一度どり」。すなわち、みかん蜜も百花蜜も、ミツバチが巣内で蜂蜜を保存する糖度(約80度)まで濃縮・熟成し、ハチの巣の表面が約30〜80%蜜ろうで覆われる5月から6月頃に1回だけ採取します。そうすると糖度が79〜80度のもの、エジプトのミイラの保存に使われたような高品質の蜂蜜が得られるのです。
 花の時期に2〜3回採蜜する方法や、朝一番ではなく夜採蜜する方法だと、量は沢山採れても糖度や酵素活性値が低くなってしまいます。公正取引委員会では蜂蜜の糖度は76度以上としていますが、それでは発酵などのおそれがあります。量より質にこだわる山口さんの蜂蜜が一般市場で最も評価されているのは当然の事です。

●蜂蜜は加熱に弱い食材です

 蜂蜜の成分は牛乳と同様、高温で壊れ、ただのシロップとなってしまいます。蜂蜜は牛乳と同様、高温加熱に適さない食材なのです。「牛乳と蜂蜜は最も加熱に弱い食べものである」との学術論文があるほどです。
 この事をよく知っている山口さんは、55℃以上の熱を一切加えないよう気を配っておられます。採蜜後は低温で貯蔵し、ビン詰めのための融解温度も55℃以上にならないよう、特に気をつけています。
 かつて山口さんの蜂蜜が雑誌「サライ」に紹介された事がありました。その紹介文中の「輸入蜂蜜は品質が悪い」という記述に対し、輸入蜂蜜業者がクレームを言ってきた事がありました。しかし、蜂蜜が大好きな研究者、徳島文理大学薬学部の半田八十三先生の「山口さんの蜂蜜が国際レベルでも最も高い酵素(ジアスターゼを指標として測定)の活性値の品質である事と、輸入蜂蜜がいかに酷いものかというデータ」を示して納得していただいたエピソードもあります。その品質の高さゆえに、徳島の養蜂家の間では山口養蜂園がプライスリーダーとなっています。

●貴重な国産蜂蜜、若い夫婦が守っていき ます

 山口邦義さんのお父さんの山口喜一さんは、若い頃に胃潰瘍で医者に見放されたのを蜂蜜に救われて蜂飼いになった養蜂家です。喜一さんはたいへん研究熱心で、日本で初めてローヤルゼリーの商業的分画に成功した人です。イチゴの交配にハチを使う事を全国的に広めたのも、地元で椎茸の原木栽培を広めたのも喜一さんでした。息子の邦義さんも研究熱心で、ローヤルゼリーの研究から蜂蜜が熱に弱い食べものである事をご存じでした。
 現在、国内の養蜂家は激減しています。レンゲはとっくに田から姿を消し、レンゲ蜜はもはや幻になってしまいました。みかん畑も減り続けています。山は杉や桧の植林で蜜源樹が伐採されました。天候異常も追い打ちをかけています。養蜂家にとって大切な自然と天候が脅かされ、危機的状況となっています。国内の蜂蜜供給のうち、国産蜂蜜はごく少量となり、出回っている粗悪で安価な輸入蜂蜜との価格競争にさらされています。そのため養蜂家も高齢化し、後継者難となっており、ますます国産蜂蜜が貴重品となっています。
 幸いにも山口家では、Uターンで和則さん、愛さんの息子さん夫婦が帰ってきて、一緒に仕事をしてくれています。喜一さんがご高齢になられたため、オルターでもたいへん人気のあったイチゴは現在出荷を休止されています。近いうちにイチゴ復活の日があればと願っています。


(株)山口養蜂園の蜂蜜
★採取場所
徳島県佐那河内村、徳島市(上八方町、北山町、飯谷町)

★使用資材
●エサ…代用蜜(甘蔗グラニュー糖を溶かした砂糖水)、代用花粉(大豆が主成分)
●消毒…巣と資材の燻蒸消毒に酸化エチレンガスを使用。ミツバチヘキイタダニの殺虫にアピスタン(ピレスロイド系殺虫剤「フルバリネート」)を染み込ませたフィルムを巣箱内にぶら下げて設置しています。今までなるべく薬剤は使わないようにしておられましたが、最近はこのダニが猛威をふるっており、やむなく対策をしています。

 養蜂家は蜂から蜂蜜を戴くものです。その代わりに蜂が生きていけるよう代用蜜として砂糖水、代用花粉として大豆加工品を与えます。これらが巣に運び込まれ、蜂蜜と混入しないように採蜜時期に気をつけなければなりません。
 山口さんのところでは、みかん蜜は5月に採蜜し、百花蜜は6〜7月に採蜜しています。代用蜜(砂糖水)と代用花粉は夏以降、主として冬期に与えています。これらが蜂蜜に混入しないよう、蜂が集蜜する直前の春頃に「色抜き」といって巣箱内の残留蜜を抜き取っています。この手間が面倒だと手抜きする業者が多いのです。
九州以北の日本国内の養蜂ではフソ病対策などのため巣箱消毒が欠かせません。県を超えて蜜源を求める移動養蜂の場合は、ハチの法定伝染病であるフソ病がチェックされ、見つかると消毒や焼却処分が義務付けられています。そのため予防的な巣箱消毒が一般的です。移動しない定置養蜂でも立ち入り検査時にフソ病が見つかれば同様の措置がとられます。山口さんは国内でも数少ない定置養蜂で、最小限の薬剤使用に努められています。

★製造工程
@糖度約80度まで濃縮・熟成した蜂蜜を「ひと花一度どり」で集め、採蜜機で採蜜A一斗缶に入れ、冷蔵庫内で低温貯蔵Bビン詰めのために融解。融解温度55℃以下。サーモスタットで50℃に設定した小さな室で観覧車のように一斗缶を置いて、くるくると缶をまわし、積算温度が上がらないように溶かしています。C減圧脱気(70cmHg)。真空釜の中で蜂蜜から気泡を除去し、ビン詰めします。水飴など一切の混ぜ物を加えません。

★使い易さのため、結晶しにくくしています
 通常の蜂蜜は気泡などを核としてたやすく結晶してしまいます。山口さんのところでは家庭で結晶化して使いにくくならないためと、品質劣化(発酵)を避けるために、ビン詰め時に減圧脱気して気泡を除去しています。
 水飴などを多く含むニセモノも結晶しにくいので、山口さんの蜂蜜に対してたまに問い合わせを受けますが、わざわざこのように結晶化を防ぐ手間をかけているのです。もし結晶するのを確認したい人はスプーンで空気をかき混ぜれば結晶を始めます。ちなみに、何層かに分かれて結晶する蜂蜜には、何種類かの蜂蜜または水飴などの混入のおそれがあります。

★使い方
 蜂蜜は加熱調理は向いていません。生のまま食べるようにしましょう。CC'Cookingの山本朝子先生(オルター顧問)に、山口さんの蜂蜜の良さを最大限に活かす使い方提案をいただきましたので、ぜひ参考にしてください。

★警告
 蜂蜜はボツリヌス菌がいる可能性があるので、腸の未発達な2才未満の赤ちゃんには与えてはいけません。


●市販の蜂蜜の問題点●
 養蜂も畜産と同じく「エサと飼い方」に注意を払う必要があります。市販の殆どの蜂蜜はもはや輸入蜂蜜となっています。中国産の蜂蜜から「農薬」「抗生物質」が検出されています。日本でも移動養蜂のフソ病対策として代用花粉に抗生物質ミロサマイシンが許可されていますが、基準値以上製品から検出されると違反となります。その他の抗生物質は少しでも検出されると違反となります。
 花の時期に二度以上採取する蜜は十分な糖度が上がらず、淡いです。そして熟成が不十分なため花の蜜に含まれるショ糖が十分に分解されていません。エサとして与えられた砂糖水の混入もあります。そのため虫歯の原因になってしまいます。蜂蜜は本来果糖やブドウ糖を多く含み、虫歯にならない食べものであるのにです。
 市販品の大半を占める安価な輸入蜜はドラム缶で輸入され、ビン詰めのとき120℃の蒸気棒で溶かされるため、成分が壊れてしまっています。また通常の国内の蜜も煮釜で100℃近い温度で溶かされるため、積算温度も大きく、やはり成分が壊れてしまいます。オルター以外では加熱に留意している蜂蜜はまずありません。
 蜂蜜にも偽装が一般的に行われてきました。酷い蜂蜜には水飴(異性化糖−遺伝子組み換えコーン)を混ぜている事があります。
複数の成分が混じっている蜂蜜は、結晶した時に結晶が何種類かに分離します。純粋にレンゲ蜜といってもラベルだけの事が多く、通常は様々な蜜が混じっています。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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