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東北関東大震災と福島第一原発事故 すぐに次に備えないと
オルター通信1182号 記事
(STOPザもんじゅ No.151より転載)[2011年3月24日]

 信じがたい超巨大地震と大津波の惨事に愕然とし、加えて福島原発がいまだ収束しない大事故に毎日、暗い気持ちで目覚めています。
 地震・津波の被災者の方々の救援もままならない中で、原発事故がそれを阻んでいます。メディアが伝えるように「自然災害を人災が阻んでいる」構図です。石橋克彦さんが指摘した通り、原発震災の恐ろしさが現れました。今、福島第一原発の現場で決死の覚悟で任務にあたっている方々に感謝と敬意を表しつつ、今後のことを考えています。

   
今は福島第一の収束が最大課題
 福島第一は危機的な状況を脱しておらず、予断を許しません。福島第二は外部電源が確保されており、すでに全基「冷温停止」しています。今後、大きな余震や津波で電源喪失にならない限り大丈夫でしょう。
 福島第一は東北電力の高圧線から1号機から6号機までケーブルを引き込んでいます。制御室まで電気がきて、その先が今後です。冷却系統が作動するのかどうか如何が山です。機能すれば峠を越えます。
 これまで消火用ポンプ(要するに消防車)で海水を送り込むなどしていますが、原子炉内の圧力が高くて思うように水を注入できず、炉内圧力を下げる→格納容器圧力が上がって、これを下げる操作のシーソーを繰り返しています。そのたびに放射能が環境に放出されてきました。これは根本的な解決になっていません。消防や自衛隊による決死の放水も、「つなぎ」です。外部電源確保と本来の冷却系の作動が鍵です。

アメリカが80km圏外への避難を自国民に勧告したのになぜ日本政府は20kmゾーンなのか
 現在20kmゾーンは避難、20km〜30kmゾーンは屋内退避ですが、文科省のデータですら、30kmを超えたところで100マイクロシーベルトを超える高汚染地域があります。30kmまで避難区域拡大では手遅れです。甘い甘い日本政府の基準でも最低40kmゾーンまで拡大すべきです。アメリカの駐日大使は、すでに日本滞在のアメリカ人に福島第一の80km圏外からの避難を勧告しています。
 文科省は「スピーディ」という放射能拡散シミュレーションソフトですでに、放射能拡散を試算していながら公表していません。許されない事です。
 オーストリア気象局はサイトで連日、福島第一からの放射能拡散予測図を公表しています。どうしてこういうことを日本はしないのか。
http://www.zamg.ac.at/aktuell/index.php?seite=1&artikel=ZAMG_2011-03-22GMT13:31

電源を断たれた原発は即ち凶器
 今回の事態は「外部電源を喪失し、かつ非常用電源が立ち上がらない」という事態が現実のものとなったことです。「原発は止まっていれば安全」と漠然と考えていました。間違いでした。これまで「地震で使用済み燃料プールに亀裂が入れば、水が抜けて大変なことになる」といわれてきました。水が抜けなくても電源が断たれれば炉心も使用済み燃料も冷やせなくなる。
 いずれ水が蒸発し、燃料集合体がむきだしになり、大事故に至る。今回、思い知りました。
 閉鎖した原発も同様です。廃炉になった原発もいかなる状況でも相当期間、使用済み燃料の冷却が必要です。外部電源喪失時の対策が至上命題です。すぐさまこの検討を国や電力会社に求めなければなりません。

今後の検証と平行して次なる巨大地震への備えを
 事故が収束すれば検証作業が始まります。六カ所再処理工場のダメージが気がかりです。不都合な真実が闇に葬られるのを防ぐためにも監視作業は重要です。同時に、迫り来る東海・東南海・南海3連動巨大地震を前にまず浜岡原発、そして伊方原発を止めさせる戦いが必要です。全国で原発の廃炉を求める戦いが起こります。「もんじゅ」はなんとしても廃炉へ。:脱原発実現に向かう大きなうねりを!

 (大島)

なぜ放射能拡散予測情報を公開しないのか/迅速な住民避難を
(STOPザもんじゅ No.151より転載)[2011年3月24日]

 「放射能がくる」という表紙タイトルで物議を醸した『AERA』3.28号に「国民には『データ隠蔽』」という記事が載っている。
 気象庁はIAEA(国際原子力機関)には1日2回、気象庁の大型コンピュータによる放射能拡散予測を報告している。それを気象庁は公表していない。 理由は「うちは海外向け。国内向けは文科省担当」。
 その文科省は別にSPEEDI(スピーディ)と呼ばれる放射能拡散予測ソフトを持っている。細かな地形データが入力されており、10分で拡散予測が出てくる。文科省原子力安全課は「対外的な影響が大きい」という理由で公開してない。
 SPEEDIを管理運用している財団法人・原子力安全技術センターは、「放出されている放射能の濃度が分からないため、広がった範囲の濃淡が分からない。単純に拡散図だけを見せると一般の人の心配が大きくなる。 毎時拡散予測図を文科省などに報告しており、住民避難に活用されている」という。
 ふざけた言い分だ。下図は文科省が公表している全国都道府県のうち福島県のモニタリング情報。30キロ圏外すぐ(32番)に100マイクロシーベルトを超える汚染地域がある。これを筆頭にかなりの汚染が広がっているのは明らか。私たちの「許容値」年間1ミリシーベルトを時間単位に直せば8760分の1だから0.1マイクロシーベルトだ。100マイクロシーベルトなら当然避難すべきエリア。
 このモニタリング情報は、ガイガーカウンターのようなもので放射線を計った値。空気に含まれる放射能を集めて分析したものではない。屋内退避していても外気を吸い込むのだから、こういうモニタリング情報ではなく、放射能の拡散が判断できる予測図は情報として欠かせない。それを公表して住民避難の判断材料とすべきだ。
 アメリカ駐日大使は自国民に対して福島第一原発から80キロ圏外に出るように勧告している。私たちには知らされていない情報に基づいている。
 何とも情けない。
 
 (大島)


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