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「福島カタストロフ〜日本は子どもに対して高い放射線値を確定した」
オルター通信1182号 記事
2011年4月21日 シュピーゲルオンライン
化学物質政策基本法を求めるネットワーク(ケミネット)からのメールより転載

http://www.twitlonger.com/show/a1bk9a
独シュピーゲル誌が発表した「日本は子どもに対して高い放射線値を確定した」と題する論説記事。日本国民必読です。高雄綾子先生に翻訳して頂きました。拡散を希望します。


 これは東京当局のゆゆしき措置だ:日本の子ども達に今やドイツの原発作業員と同じだけの放射線値が降り注いでいる。シュピーゲルインフォメーションの取材を受け、文科省は最大被ばく量の値を確定した。専門家は困惑している。
 東京−福島カタストロフ現象の取り組みで、日本の文科省は極端な手法に着手した:同省は、子ども達が学校や保育園で浴びることになる放射線量の最大値を毎時3.8マイクロシーベルトに確定したのだ。シュピーゲルインフォメーションによれば、これは一日に8時間外気に当たる場合に1年で約20ミリシーベルトに達する恐れのあるもので、−ドイツの1人の原発作業員の最大値と同じである。
 「これは多すぎる」と、グリーンピース関連の独立専門家であるシャウン・ブルニーは言う。「子どもは大人よりも放射線への感受性が高い」とオットー・フーク放射線研究所のエドムント・レルンフェルダーは憤慨する。
 「より多くの発ガンの可能性を考慮しなければいけないのは確実だ。政府は限界値を法的に逸脱したのだろうが、道徳的には許されない。」
 ミュンヘンのヘルムホルツ放射線防護研究所所長のペーター・ヤコブは、放射能事故における国際放射線防護委員会によれば、年間20ミリシーベルト以下の測定値が推奨されるにもかかわらず、日本政府の措置としては本当に初めて深刻な問題になるとしている。「子どもは高い放射線への感受性を持っているので、20ミリシーベルトという値はなんとしても避けなければならない。」
 多くの日本の両親達が、被災地での4月6日の学校再開に反対した。グリーンピースは、地域の市民団体や環境団体による、限界値(基準値?Grenzwerte)に反対する戦いを支援する意向を示している。
日本はその間、損傷した福島原発周辺を立ち入り禁止区域と設定した。 菅直人首相は木曜日に福島県を訪問し、国の許可がなければ入れないという、原発から半径20kmの立ち入り禁止区域について説明した。
 そこは以前確かに避難区域に設定されたが、立ち入り禁止ではなかった。立ち入り禁止区域の法律はこの木曜日の深夜(現地時間)に発効されたのだ。
 3月11日の地震と津波を生き延びた約8万人の住民がこれに当てはまる。放射能の危険性にもかかわらず、家財道具を持ち出すため独断で居住地域に戻る避難者はますます増えていた。今は印刷された許可証を提示する場合のみ可能となっている。
 1世帯に1人だけ、この地域への2時間の立ち入りが認められている。
 その際、防護服と線量計を身につけなければならないと枝野官房長官は説明している。
 彼らはまとまってバスで立ち入り禁止区域に連れて行かれる。しかしこれは損傷した原発施設から3km以内に家のある人には適用されない。彼らはこの区域に絶対入ってはならないのだ。
 日本政府はさらに、核廃墟の周囲20km周辺の避難区域を、放射性粒子が長期的に蓄積する懸念から、一部の市町村に対して拡大した。当該地域の住民は約1ヶ月住居を離れなければならない。
 福島原発を破壊した未曾有の地震と津波から1ヶ月以上が経つが、25年前のチェルノブイリ大爆発以来の深刻な原発被害は未だに制御下に置かれていない。
 東電は週末、6ヶ月から9ヶ月の間に損傷した原子炉を安定させることができるよう期待すると述べた。
 この工程はしかし、「全てが順調に進んで」初めて達成されるだろうと、枝野は述べている。
 政府はさらに、損傷した福島第一原発から約10キロに隣接する福島第二原発の周囲の避難区域を縮小すると発表した。「もっとも深刻な事故」の可能性が薄まったという。この区域はこれで原発周囲10kmから8kmに縮まった。そこの全ての原子炉は長期的な停止を安全に行えると見なされている。

cib(?)/dpa(ドイツプレス協会)/ロイター

原文:
Fukushima-Katastrophe / Japan legt hohe Strahlengrenzwerte für Kinder festhttp://t.co/xj8cWfw


◆「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」
 4月19日、政府は「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」を発表し、これを踏まえて、文部科学省は、福島県教育委員会等に同名の通知を発出した。
 これによると「児童生徒等が学校等に通える地域においては、非常事態収束後の参考レベルの1〜20mSv/年を学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安と」するとされており、従前の一般公衆の被ばく基準量(年間1mSv)を最大20倍まで許容するというものとなっている。 その根拠について、文部科学省は「安全と学業継続という社会的便益の両立を考えて判断した」と説明している。
 しかしながら、この考え方には以下に述べるような問題点がある。
 第1に、低線量被ばくであっても将来病気を発症する可能性があることから、放射線被ばくはできるだけ避けるべきであることは当然のことである。 とりわけ、政府が根拠とする国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)は成人から子どもまでを含んだ被ばく線量を前提としているが、多くの研究者により成人よりも子どもの方が放射線の影響を受けやすいとの報告がなされていることや放射線の長期的(確率的)影響をより大きく受けるのが子どもであることにかんがみると、子どもが被ばくすることはできる限り避けるべきである。
 第2に、文部科学省は、電離放射線障害防止規則3条1項1号において、「外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域」を管理区域とし、同条3項で必要のある者以外の者の管理区域への立ち入りを禁じている。
 3月あたり1.3mSvは1年当たり5.2mSvであり、今回の基準は、これをはるかに超える被ばくを許容することを意味する。しかも、同規則が前提にしているのは事業において放射線を利用する場合であって、ある程度の被ばく管理が可能な場面を想定しているところ、現在のような災害時においては天候条件等によって予期しない被ばくの可能性があることを十分に考慮しなければならない。
 第3に、そもそも、従前の基準(公衆については年間1mSv)は、様々な社会的・経済的要因を勘案して、まさに「安全」と「社会的便益の両立を考えて判断」されていたものである。他の場所で教育を受けることが可能であるのに「汚染された学校で教育を受ける便益」と被ばくの危険を衡量することは適切ではない。この基準が、事故時にあたって、このように緩められることは、基準の策定の趣旨に照らして国民の安全を軽視するものであると言わざるを得ない。
 第4に、この基準によれば、学校の校庭で体育など屋外活動をしたり、砂場で遊んだりすることも禁止されたり大きく制限されたりすることになる。 しかしながら、そのような制限を受ける学校における教育は、そもそも、子どもたちの教育環境として適切なものといえるか根本的な疑問がある。 以上にかんがみ、当連合会は、文部科学省に対し、以下の対策を求める。

1.かかる通知を速やかに撤回し、福島県内の教育現場において速やかに複数の専門的機関による適切なモニタリング及び速やかな結果の開示を行うこと。

2.子どもについてはより低い基準値を定め、基準値を超える放射線量が検知された学校について、汚染された土壌の除去、除染、客土などを早期に行うこと、あるいは速やかに基準値以下の地域の学校における教育を受けられるようにすること。

3.基準値を超える放射線量が検知された学校の子どもたちが他地域において教育を受けざるを得なくなった際には、可能な限り親やコミュニティと切り離されないように配慮し、近隣の学校への受け入れ、スクールバス等による通学手段の確保、仮設校舎の建設などの対策を講じること。

4.やむを得ず親やコミュニティと離れて暮らさざるを得ない子どもについては、受け入れ場所の確保はもちろんのこと、被災によるショックと親元を離れて暮らす不安等を受けとめるだけの体制や人材の確保を行うこと。

5.他の地域で子どもたちがいわれなき差別を受けず、適切な教育を受けることができる体制を整備すること。

2011年(平成23年)4月22日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮健児



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