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国内自給のエサにこだわった放牧豚
カタログ‘2009年2月1週号’
ピンク色の肌は元気な印。国内ではたいへん珍しい放牧豚。もちろんエサの安全性にこだわっています。


●ピンク色の肌をした元気な豚

 北海道標津町にある興農ファームでは、ピンク色の肌をした子豚たちが実に元気に広い牧場を走り回っています。ピンク色の肌は豚が健康である証です。
 興農ファームの豚が健康でいられる理由は、@それぞれの家畜の生理を最大限に生かして飼育する事A広い牧場に放牧され、十分な運動量や日光浴が確保され、ストレスの少ない環境で育っている事B安全性の高い地元のエサで育てられている事Cエサの発酵技術を活用している事、等です。
 現在国内の養豚場において豚が放牧されているケースはたいへん珍しく、数える程しかありません。しかもそのエサの安全性に十分に注意しているところは皆無に等しいといえます。

●安心安全な畜産に取り組んでいます

 興農ファームの代表・本田広一さんは若かりし頃、日大全共闘の農獣医学部闘争委員長を務めた程の闘士。日本有機農業研究会の元幹事で、現在、有機農業技術会議副代表を務めています。
 本田さんは1976年、牛飼いに夢をもち、標津に入植しました。それ以来、思わぬ苦労に次々ぶつかりながらも乗り越えてきました。現在はオルターやその価値を理解する消費者団体へ、放牧しているブラックアンガス牛、オガくずを敷いた踏み込み式の広い牛舎でホルスタインの未去勢若齢肥育牛YBB、それに放牧豚と牛肉、豚肉を出荷しています。
 私とはおよそ30年前、私の徳島時代に有機農業研究会の全国大会で出会いました。私が大阪に来てオルターを立ち上げた事を契機に本格的な提携となりました。当初は未去勢若齢肥育牛(YBB)からの提携でしたが、その後、オルター会員の皆様にも基金をご協力いただいたブラックアンガス牛の放牧牛や、この放牧豚の提携へと広がり、安全安心な畜産品の提供にご尽力いただいています。
 放牧豚は最近まで十分な出荷量がなく、品薄傾向が続いてきましたが、やっと順調な増産体制になっています。


興農ファームの放牧豚
●品種

 WLDの三元交配。品種のWは大ヨークシャー、Lはランドレース、Dはデュロック。肉の歩溜りよりも(肉重優先でなく)、肉の味に力を入れています。


●エサの原料

 ポストハーベスト農薬、遺伝子組み換えのある輸入のエサを極力排除し、エサの国産化に取り組み、自家産有機栽培の牧草を与えています。
 穀物価格高騰のあおりを受け、これまで興農ファームが使用していた農業残滓物や規格外品の入手が困難となったり、高くなったりして、国産原料の確保に四苦八苦しています。そのため一部不足分を補うために、暫定的ですが輸入トウモロコシや大豆粕の使用を余儀なくされています。飼料の国産化を堅持していくために、菜種、大豆、小麦、ジャガイモなどの栽培を広げ、有畜複合農業への本格的な取り組みを始めています。
 飼料の発酵はとくに工夫しているところです。内臓の健康と肉に臭みがつかないようにすること、さらに肉の締りをよくするために、十分に咀嚼できる飼料と草を与えています。

原料は以下、多い順です。※印は暫定品。

●でんぷん粕…神野でんぷん(カタログ2000年3月3週号参照)の北海道産と、ホクレン斜里工場の北海道産
●小麦…北海道産の規格外
●トウモロコシ…アメリカ産の非遺伝子組み換え
●米ぬか…北海道産
●大豆粕…アメリカ産の非遺伝子組み換え
●おから※…大豆は輸入大豆、一部国産
●ふすま※…不詳(輸入小麦が主と思われる)
●ポテトグルテン…北海道産
●ジャガイモ…北海道産
●大豆…北海道産の規格外
●醤油粕※…市販レベルの醤油粕(輸入大豆)
●味噌※…市販レベルの味噌(輸入大豆)
●廃糖蜜…石垣島産
●塩…岩塩
●ホタテ微粉末
●粉炭…輸入もの
●豚用プレミックス(ビタミン、ミネラル)※…ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、硝酸チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコベラミン、塩酸コリン、P-パントテン酸カルシウム、ニコチン酸、葉酸、炭酸マンガン、炭酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸コバルト、ヨウ素酸カルシウム
●その他…発酵に乳酸菌使用
 自家牧草…自家産有機栽培。夏は青草で、冬は乾草でふんだんに給餌。


●飼い方

 病気予防のための抗生物質を使っていません(これを排除できているケースはまれ)。使用している動物医薬品は、子豚に3種類のワクチン(ARインフルエンザ、胸膜炎・肺炎、豚丹毒)とお産前の母豚に急性大腸菌性下痢症のワクチン。そのほか駆虫剤(寄生虫)、病気発生時、例えば月1頭程度ある発熱時に解熱剤、怪我のときにペニシリンを使用する程度です。
 全て自家繁殖です。出荷は180〜210日齢、生体で100〜120kgです。運動を十分にさせ、太陽光線を当てビタミンの働きを活発にし、土壌微生物を自由に摂取できるよう、放牧状態にしています。ここまでエサの安全性にこだわり、しかも100%放牧の豚は、全国にもまずあるとは思えない水準のものといえます。
 ト畜は牛肉と同じ北見畜産公社で行い、骨外しまで行います。北見畜産公社は国内初のオランダ方式のト場で、日本で初めてO−157安全対策(食道直腸結索法、水を使わないドライ管理、一度も下へ下ろさない全行程吊るしたままの作業行程など)を実現している工場です。
  スライス、パックは興農ファームの食肉工場で行い、そのあとは冷凍でお届けしています。この肉を原料として無添加ハムも開発しています。


市販の豚の問題点
◎品種 
 一般にはランドレースやヨークシャーのような増体効率の豚が好んで飼育されています。これにホルモン剤などを含むエサを与えて、いかに早く肉にするかが競われています。味はもとより、安全性を全く犠牲にされています。その為、その病気がちの豚から「ムレ肉」と呼ばれる、不味くて不健康な薬臭い豚肉がスーパーの店頭に並んでいるのです。黒豚(バークシャー)が話題になっていますが、厳密な意味で黒豚と言える豚は国内には殆どいません。

◎エサ 
 畜産は一般に牛よりも豚、更に鶏と小さくなる程、危険なものとなりますが、それだけ近代化、化学化が進むという事です。豚のエサには主としてトウモロコシや大豆等の輸入穀物が与えられていますが、ポストハーベスト農薬、チェルノブイリ放射能汚染、遺伝子組み換え問題等があります。
 安全な食べものを謳う自然食業界の放牧豚や開放型踏み込み式豚舎飼育や、「木酢豚(薬品の代わりに木酢液で衛生管理をしているだけのもの)」、「自然豚」等でも、情緒的な謳い文句だけで実際にはエサを改善できているケースは殆どない有り様です。またリサイクルを売りものに、残飯養豚を一部で行われているケースがありますが、現代ではその残飯が農薬や添加物だらけの有り様で、とても容認できるエサとはいえない状態です。

◎飼い方
 今や養豚といえば、その殆どがコンクリート床の上の狭い囲いの中で豚を密飼いし、悪臭の立ちこめたものと相場が決まっています。そして発生する病気の予防として薬漬けが行われています。
 現在国内で最もひどい豚の飼い方は「清浄豚」と称して販売されている豚肉で、その謳い文句は 「刺身で食べられる」衛生的な豚というのです。その実態は、まず帝王切開して無菌的に取り出した子豚を、農薬の霧たち込める密封型の豚舎で無菌的なエサで育てます。つまり、ばい菌も住めない様な化学薬品まみれの中で育てた豚だという事です。
 現在、動物医薬品や飼料添加物として1,200種以上もの薬品が認可されています。国は家畜に関しては、動物だからという理由から、人に対する食品添加物(これも非常に甘い規制)よりも更に野放し状態にしています。しかし、畜産品として結局は人の口に入る事を考えれば、到底放置できるものではありません。
 安全なのは、自然の中で暮らし、泥んこ遊びをして育つ様な豚だという事を忘れてはいけません。今日、悪臭等の畜産公害が問題となって、太陽の当たらない密封型豚舎で、換気は活性炭等を使った強制換気で外へ臭いのもれない豚舎が主流となっています。
 これに比べれば開放型の豚舎、しかもオガくず(輸入木材は農薬の汚染があって危険、豚はそれを口にするからです)を厚くひいた踏み込み式のものは随分ましとはいえます。まして、健康な環境に放牧される方が更によい事はいうまでもないでしょう。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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