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レトロな工場と日高山脈の伏流水で作り出すつぶつぶでんぷん(片栗粉)の粘りと風味
カタログ“2000年3月3週”
  北海道河西郡にある神野でんぷん工場(株)は自動制御された木製の機械がコトコト動く、昔ながらのじゃがいもでんぷんの工場です。そのあまりにも風雅なレトロ調の工場の文化財的価値が文化人や写真家から評されるほどです。社長の神野正博さん(写真)は2代目です。戦後砂糖の代用品としての水飴の原料として2000軒あった北海道のでんぷん工場が今や20軒となった中で、昭和22年に創業された先代(父・梅吉)さんは自分一代で廃業するつもりもあって、工場に手を加えず在来式のまま置いておられました。大規模化していった工場が次々と廃業を迫られた中で、小規模のままであったことがかえって幸いしました。そして、その昔ながらの伝統的なでんぷん作りの品質の良さに気づかれた2代目が、つぶつぶでんぷんを世に生み出されたのです。つぶつぶでんぷんの優れた品質と味の秘密はこの昔ながらの技術と日高山脈の清涼な地下水なのです。
木製の機械が動く自動工場をテレビモニターで監視されている神野正博社長
神野でんぷん工場のつぶつぶでんぷん(じゃがいも澱粉、片栗粉)
<原料>
  周辺の生産者から運び込まれる全て十勝産のじゃがいもです。大きすぎたり小さすぎたりする規格外のじゃがいもです。今回から特別に企画する低農薬でんぷんの方は遠藤内査勝さん(大樹町)の無農薬じゃがいもと平訳優さん(幕別町)の低農薬じゃがいもが原料です。
<製法>
  受け入れたじゃがいもを水で洗って腐敗したいもや土や石を分離して貯蔵庫に入れます。腐敗を防ぐために2日以内にすりつぶす。白度を下げないためには、いも洗を十分にするのが基本です。かすを分離→沈澱精製→脱水→乾燥→ゴミを目視で取り除き完成。つぶつぶでんぷんの製法上の特長は大型工場では原料に含まれている澱粉を取れるだけ取って製品にするのに対し、ここでは沈澱層に自然に沈澱する澱粉の中から底部に沈殿する大粒子の多いもの(3時間)だけを取出しています。(自然沈澱法)
  この大粒子の良さは保水能力が優れているということです。くず湯をつくっても粘りがあり、数時間放置しても水をにじみ出さないよさなのです。乾燥工程にも大きな違いがあります。大型工場では気流乾燥方式で、高温で数分のうちに乾燥を終えます。ここでは幾段もの棚の上に生澱粉を薄く敷いて低温(70℃)で長時間(4時間)かけて乾燥しています(低温長時間乾燥)。糊化を防ぐために70℃以上は上げないようにしています。水分は15%以内まで乾燥します。このため澱粉の粒状の塊がそのまま残るのです。から揚げに使用した場合、下味の水分をこの塊で吸着するので油のささりが良くなり、カラッと揚がるのです。いもだんごを作ると弾力のあるものができるのです。
  つぶつぶでんぷんは小粒子の軽い澱粉を入れないようにしている製品なのです。この粒状を大切にしているため、精粉機をかけてゴミを取り除くことができませんので、わざわざ振動板の上で手間のかかる目視でゴミを取り除いているのです。
   比重が大きいので風味が残っています。また重いので料理中に飛ばなくて使いやすいのです。
  また、澱粉の品質を決定づける重要な要素は水ですが、ここでは日高山脈からの豊富な伏流水が地下7mにあり、しかも2価イオンのCa、Mg系の水なのです。2価系の水で精製した澱粉は熱湯での特性が緩やかに膨潤する傾向姓をもつのです。
  工場の排水は発酵を工夫して堆肥などへ還元しています。
北海道内限定の「ジャガB」(じゃがいもビール)
神野さんの澱粉を原料に「じゃがいもビール」(ジャガB)が出来ています。製造はオルターで扱っている「エリモビール」と同じ安孫子さんの日高ビール工場(カタログ99年6月2回23号参照)です。原料は国産モルツと神野でんぷん、ホップのみです。現在、北海道内のみやげ用としての販売のみの限定品です。新聞などの反響のため製造が追いつかない状態です。したがって道外への販売は全く行っていません。今回は神野さんのお世話で、特別に今回限りの御紹介イベント品として注文できるようにしました。
市販のでんぷんの問題点
じゃがいも澱粉の場合、放射能汚染の心配なヨーロッパが主産地です。北海道のメーカーでもこのヨーロッパのじゃがいもを原料に使っているものを販売していることがあるのです。必ずしも主流ではありませんが、アメリカのじゃがいもは遺伝子組換え(GM)が始まっています。このGMじゃがいもを与えたネズミが免疫力を低下させ、あらゆる内臓に異常があったというイギリスのピュスタイ博士の論文は有名です。でんぷんの原料にはなっていませんが、カルビーのポテトチップなどの原料として使われてきた士幌農協の放射線照射をして芽を出さないようにした照射じゃがいもも問題になっています。大型のでんぷん工場では高速遠心分離、高温気流乾燥(150℃10秒)で原料から製品までわずか15分で作り、澱粉も可能な限り回収率を上げています。そのため粒子も小さく、保水性に劣り、料理に使ってもうまく調理できない製品となっているのです。神野でんぷんでは原料から製品まで3日もかけているのです。
神野でんぷんで水飴とアイスクリームのカップを試作中です。
市販の水飴やコーンシロップ(清涼飲料水に使われる。果糖、オリゴ糖の原料)の原料は遺伝子組換えのあるコーンが原料です。そこで、オルターでは安心できる神野さんのじゃがいもでんぷんで水飴を試作していただいています。お菓子に使う水飴はいろいろと品質上難しい注文があって奮斗努力中です。また開発予定のソフトクリームのカップもこのじゃがいもでんぷんで作ろうと試作をお願いしているところです。神野工場は水の凍る冬期には動かなくなります。冬の仕事としてこういった新製品ができればと思っています。

※つぶつぶでんぷんは力が強いので、料理に際しては少なめの量でお使い下さい。

         
   ―文責 西川栄郎―




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