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生産者からのおたより
オルター通信917号記事
たかはたりんごだより
里山を染めた紅葉に、初雪が舞いました。
お元気でお過ごしのことと存じます。
 早いもので、今年もふじりんごをお届けする季節になりました。いつもご愛用をいただき、ほんとうにありがとうございます。みなさまのご期待に応えるべく、精出したつもりでしたが、残念ながら、作柄は去年の半分以下に終りました。
 まず、冬の豪雪で、太枝がかなり折れたことと、5月下旬の降ひょうで、幼果が傷付いてしまう予期せぬ受難が待っていました。直径1cm位のひょうが手ですくえるほど降ったのは、初めての経験でした。傷付いた果実は摘果したのですが、それでもえくぼりんごが混じっているかも知れません。自然に向き合って、いのちを育むモノづくりに徹する営みの所産ですので、どうぞご容赦ください。
6月下旬、梅雨入り前に何日か真夏日が続き、シンクイムシの発生が早かったせいか、袋掛け前にすでに産卵されていたようで、除袋、収獲の折に、被害果が多いのに驚きました。
 ただ8月から9月初旬にかけて、猛暑、晴天が続き病害は少なく、葉が例年になく健全で、11月中旬ふじの収獲時期まで、緑を保ちました。それゆえ果実の色着きは不十分でも、蜜入りの食味のよいものに仕上がったと思います。不揃いのりんごたちは、みなさまの健康増進にお役に立てることを、喜んで、いのちかがやかせています。
 私のりんご樹たちは、45年の古木ですが、空いた所に出羽ふじ、シナノスイートなどの苗木を植え、ぼつぼつ初結果を見ています。やがてみなさまの元へお届けできる日を夢見ています。また、今年は、花芽の充実が例年になく良好なので来年へ期待を込めて精進するつもりです。
 「李つくる手に、もうひとつ成る詩の果実」これは、30年も前に、茨木のり子さんからいただいた色紙の言葉です。思えば、仲間と共に有機農業に取組んで32年が経ちました。その間に流した汗の総量が、柔かい生きている土を培ってくれました。そこに育つ作物は、命の糧と呼ぶにふさわしいものだと信じています。
 実はこの春から1年をかけて、高畠の地で、長編記録映画の撮影と製作が進められてきました。桜映画社の手になる「いのち耕す」(仮題)です。ほぼ20年前に撮った10時間のフィルムを掘り起こし、当時未だ十分に市民権を得ていなかった若者たちが、手探りの実践を重ねて、今日のゆうきの里を創り上げてきたかを描く渾身のドキュメントです。3月中には完成の予定ですので、その節は、ぜひご覧いただきたく存じます。
 私自身は、ずい分廻り道をしましたが、古稀を迎えたことを契機に、「晴耕雨読」の生き方に徹するつもりです。その分だけ、稲やりんごに丁寧にやさしく接する時間を多く持ちたいと思います。そして納得のいく作品をお届けしたいと考えております。
これからもどうぞ宜しくお願いいたします。
                                  
 2005年初冬
                              
  山形県高畠町有機農業提携センター
  星 寛治



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