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話題のインフルエンザ薬 タミフル(オセルタミビル)に乳幼児の死亡の疑い濃厚
通信869号記事
安全性証明まで乳幼児への使用は禁忌と考えるべきです
インフルエンザウイルスのneuramidase阻害剤として話題となったオセルタミビル(商品名タミフル)は、オルター通信810号でもお知らせしたように、謳い文句ほどの効果がないことがわかっています。医薬ビジランス研究所の浜六郎医師は、このほどタミフルには謳われているようなインフルエンザに対する予防効果は全くないこと、さらに、糖尿病を悪化させるので糖尿病の人には投与を禁止すべきだと指摘しています。
 高槻赤十字病院リハビリテーション科小児科の塩見医師は、以下のようにタミフル初回服用後の睡眠中に乳幼児が突然死した例、また中学生が突然死した例を報告しています。 
  ( 代 表 )

  睡眠中死亡した2〜3歳児 5人中4人がタミフル使用
塩見は,2002年〜2003年のインフルエンザシーズンに睡眠中急死した小児6人を報告している.またこの6人のうちの2人に対する詳細な聞き取り調査の結果がインターネット上に公開されているので,引用し紹介する.

症例1: 
3歳3カ月の男児(体重13.5kg).それまでインフルエンザにかかったことはなく、2002年12月末午前0時に38.5℃の発熱.朝起床時も発熱持続していたので,11時ころかかりつけの医院を受診した.検査キットでインフルエンザAとの診断をうけ,タミフルドライシロップを処方され午後2時頃に帰宅した.この時には意識は明瞭で通常通り歩行も可能であった.処方されたうちタミフルだけを昼食後に服用してビデオを見ながら入眠したと母親は思った.母親は目の届く範囲内で家事をしながら時折様子を見ていたが,眠ったと判断していた.午後4時頃,患児は右側を下にした姿勢で鼻汁を流したまま呼吸停止状悪で発見された.救急車で病院に運ばれたが治療に反応せず,5時15分死亡が確認された.

症例2 : 
2歳5ヵ月男児(体重13.5kg).初めてのインフルエンザ(検査でインフルエンザAと診断)で,午後9時半〜10時夕食後,タミフルなど処方された薬剤を1回分服用後入眠し,午前0時に一旦覚醒し,再び入眠.午前6時30分に父親が触れた時にはチアノーゼがあり心肺停止しており,病院に運ばれた時には死後硬直を起こした状態であった.

 この2例の他の症例も抗原診断から,全員インフルエンザAに罷患していたと考えられた.8歳の1人を除き,5人が3歳以下(3歳2人,2歳2人,1歳1人)であった.3歳以下の5人のうち,4人がオセルタミビルを使用し,初回のオセルタミビル服用後に睡眠中に死亡した.6人のうち,午睡中の死亡が3人,深夜の死亡が3人であり,オセルタミビルを服用していた4人では午睡中2人,深夜が2人であった.いずれの症例も死亡前には異変に気づかれていない,としている.病理学的所見が得られた4人はすべて脳浮腫が認められている.死亡前は異変なく,午睡中に死亡し,解剖してみたら脳浮腫が認められたということのようである.
 塩見は,この他にも小脳扁桃ヘルニアを伴う著明な脳浮腫がありながら救命できた可逆的脳浮腫の例をも報告している.急変時にすでに大脳全体の著名な浮腫が見られ,脳ヘルニア発症直前まで意識が保たれていたという.こうした例を経験したことから,これまでは提唱されていない,新型のインフルエンザ脳症として「急性脳浮腫型」を設けるべきだとしている.また,塩見も紹介している2000〜2003年全米で5例以上の学童期睡眠中急死例がインフルエンザと関連していたとの情報は, 米国CDCの未公表情報による.

ベッドに休んでいるはずの中2男子が マンション9階から転落死
症例3 : 
インフルエンザに罹患した中学2年の男子が,タミフルを1カプセル服用して約2時間たたないうちに自宅マンション9階から転落しているのが見つかった.タミフル服用前には精神状態には全く異常が認められず,ベッドで休んでいると思って母親が様子を見に行くとベッドにいないので,玄関から出てみると,誰かが転落したと騒ぎになっていたという.この例でもタミフル服用までは特別の異常はなく,タミフルを初回服用後であった.詳細は不明であるが,その子の履物は残っていたとのことである.意識もうろう状悪で転落した可能性があろう.
 塩見も,診療した医師も,また,聞き取り調査を実施した医師らも4例についてタミフルとの関連を否定している.そのため,中外製薬は厚労省に副作用としての報告をしていない.しかし,筆者らは,むしろ関連は濃厚であると考える.その関連を検討するために,動物実験がたいへん参考になる.

 《 メーカーも乳児へのタミフル不使用を警告 》
 米 Roche Laboratories 社およびFDAが2004年1月2日,1歳末満の乳児にはタミフルを投与しないよう求める警告文を出し,このことが日本でも報道されたからである.この警告は、同社が実施した動物実験(7日齢幼若ラットに1000mg/kg投与)で,脳内の薬剤濃度が成熟ラットに比べて約1500倍(ピーク値は約3000倍)高くなるという結果が得られたことが判明したためであった.日本でタミフルを販売している中外製薬も1歳末満児には使用しないよう,あらためて医療関係者に呼び掛けた.

 The  Informed  Prescriber 誌 20巻第2号より転載



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