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塩ビ粘土の環境ホルモンに注意
通信792号記事
使うな、危険!B ・・・ 「食品と暮らしの安全」記事紹介
夏休みの、自由工作を何にするか、思案中の子どもたちも少なくないでしょう。
いろいろな工作素材の中で、粘土は定番。
さまざまな粘土が売られていますが、危険な塩ビの製品もあり、要注意です。
■オーブンで固まる樹脂粘土に注意
 オーブンやホットプレートで焼くと、アクセサリーやかわいい小物ができるという粘土。素材はポリ塩化ビニル(塩ビ)です。
 塩ビは固い樹脂なので、ほどよい柔らかさにするために可塑剤(柔軟剤)が原材料として多く入っています。しかし、樹脂に固く結び付いているわけではないので、離れやすく、こねているうちに皮膚から体内に吸収されることになりかねません。
 可塑剤としてよく使われるのは、フタル酸エステルというグループの化学物質で、さまざまな種類があります。毒性は、種類によって違い、肝臓や腎臓への毒性や発ガン性が指摘されているものもあります。しかし、環境ホルモン作用はすべてのフタル酸エステルで疑われています。
 中でもDINP(フタル酸ジイソノニル)とDEHP(フタル酸ジ‐2‐エチルヘキシル)は、生殖毒性や精巣毒性が考慮され、おもちゃに添加することを禁じる答申が、薬事・食品衛生審議会から2001年に出されました。食品、添加物の規格基準の一部改正として、ようやく今年の8月から適用されます。

■禁止の有害物質入り粘土
 よくこねて好きな形を作り、お湯で煮ると消しゴムになるのが、「ねんど消ゴム」(ヒノデワシ製)。材質表示がないためメーカーに問い合せると、素材は塩ビ。しかも可塑剤はDBP(フタル酸ジ‐n‐ブチル)と、8月から禁止のはずのDOP(DEHPの別名)。
 厚労省に確認すると、「法的に販売禁止は8月1日からだが、答申から2年の猶予があったのだから、すでに替わっていてほしかった」。
 この商品には(社)日本玩具協会の玩具安全基準合格のSTマークが付いています。DINPとDEHPの禁止に、どのように対応しているのかを日本玩具協会に聞くと、「昨年9月に新基準を各メーカーに連絡した。後はメーカーの判断」とのこと。メーカーが改善しなければ、そのままになってしまうそうですから、STマークが付いていても安心できません。


▼▼▼ 使うな、危険! ▼▼▼  

オーブンで固まる塩ビ粘土

 SculpeyV(スカルピー3)
 (輸入元=ダイセルファインケム社)・・・・・・・・・・

 裏に小さく「主成分に塩化ビニールを使っています」と記載。しかし、包装の上から分かる表示はそこまで。包装を開いて折りたたんで入っている説明書を見て、ようやく可塑剤としてフタル酸エステルが使われていることがわかる。


 FIMO(フィモ)
 (ステッドラー日本社)・・・・・・・・・・・・・・・・

 表は英文表示。裏に作り方を日本語で説明したシールが、英文表示の上に張ってある。シールをはがしてみると、英文では「塩ビが主成分、可塑剤としてフタル酸エステル」と明記。成分がわかっているなら、日本語でも表示すべき。

 ホットホビー粘土
 (サンプラン21社)・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 包装には宣伝文句と作り方しか記載がない。発売元に確認すると、「塩ビ系です。安全で、学校教材にも使われています」との回答。学校教材で、多くの子どもが使っていることが心配。



▼▼▼ 軽量樹脂粘土にも塩素系の樹脂 ▼▼▼

  パーティクレイ
  (パジコ社)

 人気の軽量粘土を購入、塩素の有無を調べたところ塩素反応が出た。メーカーに確認すると、軽量化のために塩化ビニリデンが入っていた。「塩素系樹脂を使わない製品を試作中。できるだけ早く変更したい」とのことだが、今は買わない方がよさそう。

右側 ねんど消ゴム 8月から禁止のDEHPが入っている 左側 ねんどでけしごむ 販売会社が可塑剤の種類を知らない
これなら使っていい
▽▽▽ これなら使っていい ▽▽▽

 工作用オーブン陶土(発売元=ヤコ社)

 成分中に陶土を含む陶芸用粘土。
 包装材も塩素を含んでいない。
 姉妹品がいろいろ出ている。

 フタル酸エステルは油に溶けやすいので、皮膚の脂になじみます。DEHPは、食品を扱う塩ビ手袋でも禁止になっている物質。子どもたちが粘土遊びのあと、十分に手を洗うとは限りません。子どもたちの体内に取り込まれない保証はないのです。また、粘土をさわった手でほかのものに触れれば、そこが汚染されることになります。
 同じような商品に「ねんどでけしごむ」(クツワ社)があります。こちらは材質表示にPVC(塩ビの略名)とありますが、販売会社に聞いても可塑剤名は「わかりません」(商品開発部)。これでは販売するにも、禁止のDINPやDEHPかどうかを確認できないでしょう。危険かもしれないのに、この製品の作り方には、お皿に載せてホットプレートで加熱するように説明があります。
 このように、どちらの製品も、塩ビの可塑材の危険性を知らずに、調理器具で作ってしまう可能性があります。製造・販売会社の怠慢には腹立たしい限り。可塑剤名を含め、材質を表示すべきです。危ない商品を買わないように、大人が十分気を付けてあげましょう。 (丸田)

 食品と暮らしの安全 
 No.172 2003年8月1日発行より転載 
工作用オーブン陶土
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オルターで扱っている下記の粘土は安全です。
 取扱品: 
 フロイデ「蜜ろう粘土」
 フロイデ「ケラミック粘土」

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