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病気がない 効果がない 安全でない 日本脳炎ワクチンを完全廃止させよう
通信892号資料記事
吹上共立診療所 黒部信一
2005年7月17日 消費者リポート第1301号記事より転載

 厚生労働省は2005年5月30日、各都道府県に対し、日本脳炎ワクチンの勧奨接種を中止するよう求める勧告を出しました。
 その理由は、ワクチンの副作用で急性散在性脳炎(ADEM)が多発し、死亡者が出ているからだといいます。これは04年7月、日本脳炎ワクチンの専門家に対するヒアリングで指摘されていたことであり、直接のきっかけは、同ワクチン接種後に重症の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)になった14歳の女性が、05年5月に被害認定されたことだとされています。
 しかし、なぜいま突然に中止したのでしょうか。そもそも日本脳炎ワクチンは不必要であり中止は今さらだと言えるでしょう。

◇有効性証明なし、副作用被害多し
 私は1991年以来、日本脳炎ワクチン接種の廃止を主張してきましたが、その理由のひとつは、もともと日本脳炎ワクチンは有効性が証明されていないことです。
 有効性を証明するための野外研究は、昔の台湾と最近のタイでの結果がありますが、「発病率が減るから有効」というもので、ポリオ生ワクチンのように、接種したからといって感染しない保証はありません。野外研究ではワクチンを受けた人も感染しています。
 日本脳炎にかかるより、予防接種による副作用被害の方が多いことも問題です。
 日本脳炎ワクチンによる各種の副作用被害者は、94〜03年までに748人。神経系副作用は88人で、脳炎・脳症27人(そのうちADEMが18人)、運動障害・けいれん・その他の神経障害61人でした(表1)。その後の状態は、死亡2人、後遺症14人、後遺症疑い3人で、予後不明も少なくありません。
 逆に、94〜03年に日本脳炎にかかった子どもは、99年の15歳1人だけで、死亡は0人です。予防接種は子どもだけですから、圧倒的に予防接種の被害の方が多くなっています。
◇日本脳炎はまれな病気 
 日本脳炎は、いまでは日本ではまれな病気になっています。そもそも発病自体が少ないのです。
 日本脳炎ウイルスはまだ毎年、感染源である豚の抗体調査で存在が認められています。にも関わらず、1年間の発病者数は、多い年でも日本全体で5人未満(表2)。6〜9月の夏場だけの病気で、発病者は88%が近畿以西です。最近は死亡率も低く、後遺症が残る確率も低くなりました。
 ウイルスは存在しているのに発病がまれなのは、日本脳炎ウイルスに感染しても、たいていの人は発病せずに治る(不顕性感染)からです。
 95年の調査では、自然感染率が西日本のある町で4・7%、九州では1〜3%という数字が出ていて、農村ではその2倍くらいではないかと見られています。しかし、この時の調査では発病者は出ていませんし、ワクチンを打っている人でも自然感染していることがわかっています。
 こうした調査結果について、厚労省の予防接種検討会の議論では、不顕性感染率が低いことを理由に、95%に上る非感染者を守るためにも、ワクチン接種は必要だという主旨の意見がありました。それに対し、仮に日本の人口1億2000万人の5%、600万人くらいが自然感染しているとしても、患者さんが年間5人くらいしか出ていない現状では、発病率は100万分の1以下と非常に低いので、接種は不要だという主旨の意見も出ました。

◇感染しても発病しない病気にワクチンはいらない 
 不顕性感染率はもっと高いことを示すデータもあります。
00年に行なわれた調査では、予防接種によらずに血液中に抗体を持つ人の割合は9歳以下16%、10〜14歳で71%、15〜19歳で40%、20〜29歳で87%、30〜39歳で44%、40〜49歳で27%、50〜59歳で51%、60歳以上で80%という結果が出ています(表3)。年間の発病者数が5人前後であることと考え合わせると、この結果は明らかに、感染しても発病していないという事実を示しています。
 このように、日本脳炎は、感染してもほとんど発症しないのです。自然感染しても発病しない病気に予防接種はいらないと、公衆衛生学者は言っています。
 発病するのも老人が多く、99〜02年の4年間に25人が発病していますが、55歳以上が80%(20人)、40代2人、30代1人、10代2人で、死亡者は87歳1人でした。子どもたちにワクチンを接種する意味はほとんどありません。

◇ウイルスとの共存関係 
 日本脳炎ウイルスは日本人と共存関係を作り、まれにしか発病しない病気になったというのが私の適応説です。ですから、海外へ行っても、日本人が発病する確率は、欧米人のような日本脳炎のない国の人や流行地の人よりもはるかに低いのです。海外へ行くからと、日本脳炎の予防接種をする必要はありません。そもそも、海外で日本脳炎にかかった日本人の情報を、厚労省は持っていません。
 東南アジアでの流行は、タイ、インドからネパール、ベトナム、ミャンマーに広がっています。しかし、社会の変化とともに流行し、大流行を繰り返しているうちに、しだいに適応関係が成立し、病気が治まり、発病する人が減って、流行が衰えていくのです。
 日本、韓国、台湾、中国では流行が治まり、流行が治まると結核のように人間と共存し、まれにしか発病しなくなり、死亡率も後遺症も減ってきました。
◇大切なのはこころと身体の健康
 病気の最良の予防は、予防接種をすることではありません。こころと身体の健康を保つことです。
 今回の突然の中止勧告についても、安全性への配慮というより、組織培養型の新ワクチン導入に向けた布石の疑いが拭えません。3期に分けて接種するうち、V期のみを今後も中止し、T・U期はいずれ再開しようとしています。それは、新製法ワクチンの生産の見通しが立ったからではないでしょうか。この新ワクチンにしても、有効性の証明はありません。
 効果が無く、副作用被害が大きい日本脳炎ワクチンの再開を許してはいけません。
 子どもに発病がなく、死亡者も出ていないのに、なぜ死者の出る予防接種を子どもにするのでしょうか。それは多くの業界と同じく官学産の癒着によるもので、薬害エイズ禍と同じ構造です。
 厚労省に全面中止を求めていきましょう。
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