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なかなたまごを産んでくれなくて困っています
オルター通信1061号 記事
谷農園 浦田

谷農園の平飼い卵を平素ご愛顧くださり誠にありがとうございます。会員の皆様には毎年のように100%出荷できず、ご迷惑をお掛けしているにもかかわらず、毎週変わらぬ発注を頂き、大変申し訳なく思っております。
 例年、殻が薄くなる夏場と、春雛が卵を産み始め老大雛と世代交代する秋口辺りに多く減数をお願いして参りました。農場のある三重県伊賀市は中山間地の山に囲まれており昼間の気温は大阪と変わりないのに、一旦陽が落ちると盆地特有の冷え込みがやってきます。その寒暖差による露・霜こそがおいしい米や野菜を育てるのですが、鶏さんにとっては正直あまりよい環境と言えないかもしれません。鶏は比較的寒さには慣れるものの、盆地特有の夏の暑さには毎年へばっています。また比較的強いはずの寒さですが、毎年夏の終わりから餌のタンパク質・脂肪を増量し体質改善と共に冬支度を始めるのですが、どうしても最初の冬を迎える春雛は最初の冷え込みでガクンと産卵率が落ち、卵も初卵のサイズまま大きくならず、秋雛に比べ産み揃いが格段に悪くなります。
 今年も毎年のように老雛の産む規格外の巨卵の増加に初卵が間に合わず、一度大きく減らした出荷数を少しずつ持ち直していた矢先に、さらに大きく数を減らしてしまいました。その原因ですが、私共もはっきりしたことは掴みきれていない状況です。ただ、このところの暖冬、温暖化傾向は年々進んでいるなとの実感はあったのですが、今年はとうとう初霜と初氷が同日に来るという現象が起きました。本来初霜はもっと早くあるものですが、例年並みの初氷と今年は同時だったのです。つまりだんだん寒くなるという実感の薄いまま、例年並みの3〜4日連続の冷え込み(最低気温0〜2度)で産卵率が大きく落ち込みました。 例年並みの寒さの後、また小春日和のような秋の暖かさが数日続き、11月下旬になってやっと、昼間の最高気温も朝方の最低気温も例年並みになってきました。鶏さんは産卵率は落ちたものの、もう一度冬支度をし直すように、餌を大量に食べ、羽を生え変わらせ、昼間あたたかいためか盛んに土浴びをし、とても元気です。獣などの外的要因もなく、呼吸器症状・チアノーゼを示す鶏もいませんし、死亡率も増えていません。家畜保健所から伝染病発生の通知もありません。(家畜保健所には新型鳥インフルエンザ対策で月一回、週別の飼養羽数及び死亡鶏数の報告が義務づけられています。)
 この伊賀地区で25年ほど平飼い養鶏をやっておられる大先輩の鶏舎でも今年は初めてくらい春雛の産みが悪いそうで、濃厚飼料ケージ飼いの近所の鶏舎も産卵率が落ちているそうです。オルターさんに問い合わせたところ、「伊賀地区だけに限ったことではないのかもしれない」とのことでしたので、今回このようなお詫びと説明の機会を頂けました。我が農場に限って言えば、産卵に使う労力も全て、再度の冬支度に費やしているように思えてなりません。また、この冷え込みストレスのためなのか、若い鶏にも変形卵がしばしば見られる様になり頭の痛いところです。
 徐々に戻りつつある卵は、殻も固く色も良いのですが、その伸びは遅々としており、元に戻るには時間がかかりそうです。この飼料高騰のおり、がつがつと食べる卵を産まない鶏は何とも恨めしいものです。
 しばらく前から体力回復のためにニンニク水をやるローテーションを密にしています。卵かけご飯でニンニクの臭いが気になるようでしたらご一報ください。
 また飼料高騰のおり、自家栽培したカボチャ(鉄カブト)を緑餌としてでなく粉砕して発酵飼料に混ぜています。先日久しぶりにスクランブルエッグをしたら、鮮やかな黄色に私共もびっくりしました。このように間の抜けたスタッフ2人と研修生1人で何とか養鶏場をまわしております。
 今後ともご理解、またご指導、ご鞭撻賜わりますよう、誠に勝手ではございますが重ねてお願い申し上げます。
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