通信販売の法規(特定商取引に関する法)に基づく表示

「うすくち醤油」の代わりに白醤油を
カタログ2010年5月4週号
芳醇な香り、淡く美しい黄金色が特徴。料理素材の色、味を生かします。


◆素材の色を生かす料理に
 愛知県碧南市にある日東醸造(株)の三代目・蜷川洋一社長は、ポストハーベスト農薬の心配のない愛知県産の小麦を原料として、白醤油の原型となった「麦醤」を復興しています。「足助(あすけ)仕込み三河しろたまり」です。
 これは究極の、ほんものの「うすくち醤油」とも言うべきもので、小麦から醸し出される芳醇な香り、甘みを最大限に引き出し、豊潤な味を実現しています。色は淡く美しい黄金色で、濃口醤油のように料理素材の色を損なわず、引き立てます。

◆料理の幅を拡げる白醤油
 素材の色を活かす料理に関西地方では「うすくち」醤油が好んで使われています。これはもともと京料理に素材の色を生かす「白醤油」が使われてきたことから、その代用として「うすくち」が普及したからです。しかし今日、市販の「うすくち」醤油は濃口醤油を塩水で薄め、グルタミン酸ソーダやだしを添加したいわばニセモノの安物醤油で、お推めできません。ちなみにオルターで取り扱っているかめびしの「うすくち」は本来の「うすくち仕込み」をしたもので、お推めできます。素材の色を生かす料理には粗悪な「うすくち」ではなく、本物の「白醤油」をお推めします。
 白醤油は、江戸時代後半に経山寺(金山寺)味噌の製造工程でできた上汁が美しい黄金色であり、おいしくて調味料に妙であったため、それに示唆を受けて考案されたものと言われています。そして三河国新川(現在の碧南市新川町)において醸造が始まり、現在に至っています。江戸末期の黒船来航の折、饗応の宴の献立のために全国から集められた美味の中に白醤油があり、料理に使われたという逸話も残っています。
 香り豊かな白醤油は、昔ながらの濃厚で旨みのある「たまり」の対極として共に好まれ、三河の地を中心に、独特の食文化として伝わってきたものです。白醤油は材料の色を生かし、見ただけでも食欲をそそるような料理に向いています。特に汁ものの色が濃口を使って味噌汁のうわずみのようではいただけません。普通汁ものは濃口と塩で味つけをしてもよいのですが、にがりを含まない公社塩ではミネラルバランスが悪く、香りやわずかな苦味がなくなっていておいしくありません。白醤油は辛みの他に化学では造り出せない醸造ならではの旨味を持っています。
 白醤油はもともと正月料理や結婚式など“もてなしの料理”に使われていました。芳酵な香りと淡く美しい色合い、繊細な味が特徴。素材本来の味が存分に賞味でき、香り高く見た目にも美しい仕上がりとなるため、煮物、焼物などに好んで使われています。卵焼き・とろろ・釜めし・汁物・吸物・鍋物・蒸し物・煮物・焼物・麺類・刺身用など料理の全てに使ってみてください。和食にも洋食にも上品で淡白な味がマッチし、料理の幅がさらに拡がると思います。

◆三河しろたまりに対する不当な圧力
 この日東醸造(株)の伝統的製法「三河しろたまり」に対して2000年、農水省管轄の独立行政法人・農林水産消費技術センターから、こともあろうに「JASの基準上、大豆を全く使っていないものは『しろしょうゆ』や『しょうゆ』と表示できない」と是正を求めてきたのです。
 「醤」(ひしお)には伝統的に魚や小麦で作られてきたものがあり、大豆を使っていないものは醤油ではないという指摘は全く的外れです。また大豆アレルギーが問題となる状況下では、大豆を含まない醤油の存在価値は高いものと考えられます。江戸時代、貝原益軒の養生訓にも「麦醤」(むぎひしお)は記述されており、白醤油の原型とされるものです。
 このような天下り団体からの奇怪な行政指導の背景には、ニセモノ醤油をJAS基準で標準にしたい業界の思惑があることは明白で、ほんものを求める消費者にまさに背を向けた不適切な不当極まりない横やりと言うべきです。
 この圧力に対し、日東醸造(株)では新たに「小麦醸造調味料」という柔軟で妥協的な名前を考え、ラベルに表記しています。名前は妥協的ですが、中身は「究極」「ほんもの」「伝統製法」がふさわしい、れっきとした白醤油です。

◆水のきれいな奥三河足助仕込み
 日東醸造(株)の創業は1938年、大正初期です。1991〜1994年、1996年と食糧庁長官賞を受賞しています。
 自然食卸問屋の黒怒さんからご紹介を受け、私が1999年に碧南市の工場見学に訪問したところ、ちょうど木樽をやめてホーローのタンクに切り替えたばかりの時でした。木樽を失われたことをたいへん残念だと私が申し上げたところ、しばらくして愛知県北部の山間、東加茂郡足助町の廃校となった旧大多賀小学校校舎跡に真新しい大きな木樽をずらっと並べた新工場を建設されました。そのほんものを守る真摯な姿勢に感銘を覚えたものです。
 現在出荷されている三河しろたまりは、全てこの標高720mの山間のおいしい井戸水を使い、木樽で仕込んだ「足助仕込み」となっています。


日東醸造(株)足助仕込み「三河しろたまり」「三河しろだし」
和風料理だけでなく中華、西洋料理にもお推め。おいしさを加え、素材の旨味も引き出します。しかも色は少ししかつきません。添加物を一切使わない自然な甘味、控えめな塩分、そして豊かな風味が特徴。賞味期限6ヵ月。普通のお醤油の感覚でお使いください。通常の醤油のように長期保存ができないのは、時間が経てば色が濃くなり、信条ともいうべき美しい色が保てなくなるからです。

◆三河しろたまり
●原料
・小麦・・・愛知県産(農林61号)
・塩・・・海の精(伊豆大島)
・焼酎・・・発酵止めのために、ごく微量のカスとり焼酎
 (大吟醸を作る時に出る白糠を発酵させた最上級の焼酎)を添加します。
 三河みりんの角谷文治郎商店製です。
・水・・・足助町井戸水

●製造方法
蒸した国産小麦に麹菌を加え、塩水(海の精)と合わせて仕込み、発酵した後、ろ過のみで精製。火入れ殺菌(加熱)もせず、合成保存料、グルタミン酸ソーダなど化学薬品も一切使用しません。一般の白醤油と比べて2倍の小麦を使用し、味わいは濃厚で、白醤油のたまりといえます。


◆三河しろだし
●原料
・三河しろたまり
・鰹節・・・枕崎産一本釣り本かつお
・昆布・・・道南産まこんぶ
・椎茸・・・下山村森林組合 なら、くぬぎなど自然木栽培
 機械乾燥、干し椎茸
・塩・・・海の精(伊豆大島)
・三河みりん・・・角谷文治郎商店
・粗糖・・・石垣島、奄美大島
・水・・・足助町井戸水

●製造方法
かつお、昆布、椎茸などの天然のだしをたっぷりと煮出して、三河しろたまりと合わせたもの。エキス類、化学調味料など一切使用していません。


市販のうすくち醤油の問題点
 市販の「うすくち」醤油は、伝統的なうすくち仕込みをしたものではありません。「こいくち」しょうゆを原料に、食塩水で薄め、化学調味料や粗悪なだしで味をごまかしたものです。いわば食塩水で増量した安物醤油です。したがって、こいくち醤油と共通の問題点、すなわち原料大豆や小麦や水飴のポストハーベスト農薬、遺伝子組み換え、ノルマルヘキサン抽出加工脱脂大豆、保存剤、化学調味料、カラメルなどの食品添加物、速醸などがあります。こいくち醤油の詳しい解説は「食べもの百科」P158をご参照ください。本来のうすくち仕込みの醤油については同P153をご参照ください。
 また市販の白醤油には原料の小麦や大豆(一般の白醤油は少量の大豆が併用されています)にポストハーベスト農薬、遺伝子組み換えがあります。保存には合成保存料が使われています。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


戻る