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放射能の心配がないことを確認しました
オルター通信1205号 記事
ライスロッヂ大潟・提携米黒瀬農舎 おたより
代表 黒瀬 正
提携米 黒瀬農舍

 今年は、3月11日の東日本大震災による通信や物流の寸断にて、ご迷惑をお掛け致しました。また、各団体様におかれましては、その後の放射能汚染対策なども含めて、現時点でも、大変なご苦労をされていることと思います。
 また、原発事故による放射能の件は、当地は今までの検査結果や、放射性降下物のデータを見ても、ほとんど汚染がありませんでした。しかし、念のため新米収穫時に再度確認検査を行います。当地の状況や、放射能検査については下記にも載せておりますのでご覧ください。

1.今年の作柄や出荷準備の概要
 私たちの地域は、日本海に近く、普段の夏は、海風が吹くことで、病害虫の発生が抑えられるという農薬を使わないなど有機栽培などを行う私たちにとっては、非常に恵まれた風土です。
 ところが毎年「異常気象」などと言われるようになり、秋田の天候も狂ってきていると感じます。
 特に昨年は、昨年の案内にも書きましたが、夏場の高温による高温障害やカメムシなどの害虫の大量発生で斑点米(着色粒)が増加により、例年に比べると品質が低下する結果となりました。
 また収量も、結果的には20%を超える減収となった圃場もあったほどです。
 なお、斑点米に対処するため、今年の春に新たに玄米用色彩選別機を追加導入しまた。そのため、22年産の当初はご迷惑をお掛けしていましたが3月以降は改善できたと思っています。
 今年の状況は、春は雨で田んぼが乾かず作業ができない状況が続き、結果的に例年より1ヶ月近く作業開始が遅れました。その後は急ピッチで春作業を進めましたが、気温は6月下旬までの低温が続いたことで初期生育が遅れました。
 また、梅雨の時期にも梅雨らしい、しとしと雨は降らず、7月半ば以降は一気に気温が上がったことにより、昨年同様に異常気象による被害が出るのではないか、と危惧しました。
 しかし、幸いにも夏場の高温が昨年ほどではなかったこともあり、高温障害にはならず、病害虫の発生も昨年ほどではないため、このまま収穫を迎えられれば、味や品質面では平年並みを確保できるのではないかと考えています。
 また、収量も、初夏まで続いた低温の影響で茎数がやや不足気味ですが、その分、穂が大きく、モミ粒が増えたことで、おそらく例年並み程度の収量は見込めるのではと期待しています。
 当地では、間もなく稲刈り時期を迎えますが、天気予報を見る限りこの先も雨が続く見込み。空の様子をうかがいながら、雨の合間をぬっての稲刈り作業となりそうです。
 なお、今後の天候次第で多少ズレる可能性もありますが、新米の出荷は10月10日前後からを予定しています。

2.ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎の提携米の栽培状況
 私たちの提携米は、一般流通向けに出荷するために作られているおコメや、一般の農家産直とは根本的に異なる栽培です。私たちの栽培姿勢は、生産物の付加価値を上げるために特定の田んぼだけは農薬や化学肥料を厳格に使わないで、他の田んぼでは農薬や化学肥料をふんだんに使い省力多収栽培を行うのではなく、経営する全部の田んぼで可能な限り農薬や化学肥料を使わず、環境にも配慮した美味しくて安心できる「あきたこまち」を生産することです。
 具体的な栽培方法は、すべての栽培区分で病害虫農薬は原則として一切使わないこと。
 この場合「原則」として断っていることは「異常気象などで病害虫が多発して収量が半分以下になる場合は、安定供給を確保するため最小限度の病害虫農薬を使用する場合もある。」ということですが、幸いにも、提携米を始めて以来この事例に該当して、一般栽培のような農薬使用を行った年は従来にはほとんどありませんでした。
 ただ、数年前に稲熱病多発時に1名の生産者が、稲熱病農薬を一部使用したことと、雑草の大繁茂で、除草剤の2度使用を余儀なくされた田圃が一部ありました。これらは、提携米の流通から除外する措置を行っています。また、今年はこのような予定外の農薬使用は不要でした。
 苗作りは、苗床での消毒を行わないで済むように、プール育苗方式の比率を増やしてきましたが、一般的な露地でのプール育苗方式は、近年の春先の極端な寒さ続き中では、苗の生育が遅れたり、低温障害の発生が見られるようになってきました。
 この対策として、箱並べから1週間から10日の期間は、被覆材を二重にするなどの工夫を取り入れるなどの対応が定着してきました。
 肥料は今までと同様、100%有機質肥料です。
 具体的な内容は、ウズラの鶏糞を放線菌によって熟成させたボカシ有機肥料(商品名「放線有機」=有機認証済み資材)を主体に、田んぼ毎の土性によって、精米時に出る自家産の米糠や油粕などを加えた有機肥料を元肥に使用し、原則として収穫時期まで追肥を行わない栽培に統一しています。
 なお、今年は東日本大震災の影響で、一部の肥料で不足が生じておりましたが、長年お付き合いのある肥料会社のご協力で、不足分もすべて有機質肥料で代替することができました。

3.原発事故に関して、当地の状況と、対応
 今回の原発事故の影響で、農産物を含む食品などへの放射能汚染への不安が広がっています。
 我が家のお米についても、東日本の産地であることから不安を感じられているお客さまもいることと思いますので、当地の状況、および放射能検査の体制についてご案内致します。

1.当地の状況
 秋田県大潟村は、福島原発からおよそ300kmの距離にあり、事故当時に風上側に位置していたことや、途中に奥羽山脈があります。そのため、放射線降下物のデータなどを見ても、農産物の出荷停止となった原発周辺や関東圏と比べるとはるかに低い値となっています。(野菜は、事故直後に放射性物質が直接降り注いで高い数値が出たものが多く、事故時点で作付が始まっていない米は、同じ地域でも汚染度合いが大きく異なると思います。)

■3月の月間降下放射線量(セシウム134,137合算値)
  −秋田市    69MBq/km2
  −東京(新宿)  16,600MBq/km2
  −千葉市    9,300MBq/km2
  −静岡市    1,090MBq/km2
 
 また、秋田県による事故後の農産物の検査では、放射性物質は検出されておりません。
 お米についても、9月初旬に大潟村農協が大潟村内の14か所の圃場で玄米の検査を行いましたが、すべて不検出となっています。
 従って、これまでの状況を見る限り、我が家の新米への残留の心配はないと考えています。

2.新米などへの検査
 上記の通り、当地のお米は、放射能汚染の心配はほぼないと考えていますが、皆さまに安心して頂けるように新米収穫後に玄米の放射能検査を自主的に行います。
 この自主検査の一環で、8月下旬に採取した稲体(稲の茎や葉を含む全体)の検査を行いましたが、検査した5検体すべて不検出でした(検出限界1Bq/kg)。
 なお、切り餅などの加工品のお米以外の原料も、事故後に国内で収穫された原料は、放射能検査を行ったものを使用します。
 また、稲わらや腐葉土などの資材の汚染も問題となっているため、来年以降の有機質肥料なども放射能検査を行い、安全性を確認した上で使用することで、当地の土壌汚染を防ぎます。以上が、9月中旬時点での状況と我が家の対策です。
 我が家は、今までの栽培方針に関する考え方と同様、できる限り情報を開示し、その情報を理解頂き、納得して頂いた上でお米をご購入頂きたいと思っています。ご不明な点などあればいつでもお問い合わせ下さい。


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