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毛利子来さんに聞くインフルエンザ対処法
オルター通信959号記事
毛利子来さんに聞くインフルエンザ対処法
解熱剤やタミフルに要注意

ふぇみん第2810号 2006年12月5日発行より転載


 11月から3月はインフルエンザの流行期といわれる。マスコミでは、インフルエンザ大流行に備えるためにと予防接種や高熱を下げる特効薬として「タミフル」などを勧める記事も目に付く。この問題に詳しい小児科医の毛利子来(もうりたねき)さんに話を聞いた。
Q インフルエンザは風邪ではないのですか?
A インフルエンザも風邪の一種です。ただ、感染力が強いので流行し、社会問題になるのです。風邪でも高熱が続き、弱ってしまうこともあるし、インフルエンザでも軽くて寝込まない場合もあります。
 鳥インフルエンザは東南アジアで鳥を扱う職業の人が感染し、死亡例もあります。日本では感染例はありますが、発症例も死亡例もありません。
Q インフルエンザワクチンの効果は?
A 乳幼児(およそ0歳から5歳まで)には効かないと断言してもいいです。厚生労働省は2000年から03年に全国7カ所で乳幼児3000人に対するインフルエンザワクチンの効果を調査したところ25%しか有効性がないという結果でした。4分の1しか効かないというのでは薬とはいえません。薬の効果を厳密に評価する方法としてNNTというものがあり、それで解析した結果では18人に接種して1人の罹患が防げるという程度でした。しかもこの調査では熱が39度以下ならインフルエンザではないと除外して、やっとこの数字です。
Q インフルエンザ脳炎が心配です   
A インフルエンザに罹っているときに、ボルタレンなどの非ステロイド系抗炎症剤(解熱剤NSAIDs)を併用するとインフルエンザ脳症に罹る率が高いので、解熱剤は使わないにかぎります。
Q 抗インフルエンザウイルス剤タミフルは?
A 日本は世界中の8割近くを消費していて使い過ぎですし、使うべきではありません。初期にタミフルを服用すると熱がストンと下がることが多いけれど、それはウイルスの増殖を抑えてしまったためで、自分の体で免疫をつくることが阻害され、次の年も、同種のインフルエンザに罹ってしまいかねません。またタミフルを使いすぎていると、タミフル耐性ウイルスをつくって、タミフルが効かないインフルエンザを増やす恐れがあります。
 さらに、重大な副作用があることが問題です。昨年、タミフルを飲んでマンションから飛び降りるなど、5人の異常行動死がありました。厚労省は、副作用の恐れはないという発表を一度はしましたが、アメリカの食品医薬局が日本で95人の異常行動やけいれんが起きていることを発表したため、再調査せざるをえなくなっています。
Q インフル工ンザの流行期に気を付けることは?
A 無理をしないこと、嫌なことは極力避ける、これが大事です。無理をしていると抵抗力が落ち、発病しやすくなります。しんどい話は早く解決するか、後回しにする。自分の好きな楽しいことをする。気分が良くなると免疫力がアップします。その効果はワクチンや薬の比ではありません。厚生労働省がインフルエンザの流行を抑えたいのなら、サービス残業や無理な夜勤をさせるなと産業界に勧告すべきだと言いたいです。大都会では満員電車で感染することも多いので、時差出勤を奨励したらと思います。
Q インフルエンザで亡くなる高齢者が多いと聞きました
A たしかに高齢になると免疫力が低下します。高齢者施設で死亡者が多数出たことがありました。後で調べてみると、介護者の数が不足し、施設の面積に比べて収容人数が多いという事実がありました。個室で介護が行き届いていれば悪化しにくいので、高齢者施設のサービスの向上が大切です。
Q 受験生へのアドバイスはありますか
A 初詣でやバーゲンなど混雑する場所は避ける。睡眠を十分にとって、栄養に気を付けること。部屋を乾操させないことです。ワクチンを接種したからと無理して遅くまで勉強していると、インフルエンザに感染したときに発病しやすいし、治りにくくもなります。
 インフルエンザは、3、4日、水分を取って休養すれば自然に治るのですから、ワクチンや薬に頼らないほうがよいのです。
              (まとめ 大束愛子)



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