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人と地球にやさしいグリーンコットン Novotex社
カタログ“2002年11月3週”
  デンマーク、オーフス大学やタンザニア大学で経済学を教えていたライフ・ノルガード氏は「環境にやさしいもの作り」を目指して1983年Novotex社を設立し、1986年にグリーンコットンのコンセプトを発表しました。経済学者であったライフ・ノルガード氏は、今では当たり前のようになった環境評価の概念を先駆的にグリーンコットンの開発に導入なさったのでした。コットン製品の各製造工程、すなわち原料、紡績、紡織、染色、防縮、縫製、パッケージ、リサイクルなどの工程において環境評価を行い、各工程で安全性、エネルギー、廃棄物などにおいて悪いものを良いものへ変え、さらに労働環境においても衛生や安全性を考慮なさったのです。
 グリーンコットンの現状が100%安全ではないことをライフ・ノルガード氏は認めています。しかし環境評価の手法を用いて、自分たちが今どこにいるのか、そしてそれをどう改善していくのか、その努力を続けることが大切だとライフ・ノルガード氏は考えておられたのです。製品に対する自己批判、自己分析、弱点の認識、そして正しい方向への舵取り、と絶え間ない努力、そして常に消費者や第三者への正直な情報公開、環境に加え、マーケティング、価格、デザインも重要な要素。そしてグリーンコットンのコンセプトを理解し、品質を楽しんでくれる消費者が大切。ライフ・ノルガード氏のこのような視点がヨーロッパ各国、アメリカなど国境を超えてグリーンコットン製品が高い評価を受けている理由なのです。
このNovotex社のグリーンコットンに対し、1987年デンマーク環境賞、1987年EEC(EUの前身)環境賞、1993年エジプト有機綿認定証、1994年EU環境賞、1994年国連環境プログラム表彰などの環境賞が与えられたのでした。残念なことに、ライフ・ノルガード氏は今年2002年9月に亡くなってしまいました。ライフ・ノルガード氏の志は、創設の仲間に受継がれていくことでしょう。
デンマーク王室ヘンリック王子(左より2人目)よりデンマーク環境賞を手渡されるライフ・ノルガード氏(右端)
Novotex社のグリーンコットン
◆原料 
原綿はエジプト、トルコ、ペルーの限定された地域で、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、生育調整剤、薫蒸剤などの農薬や、化学肥料を使わず、自然の肥料のみで育てられたEU認定の有機栽培綿、オーガニックコットンです。機械摘みのために使用が必要とされる除草剤を避けるために、手摘みの有機栽培綿のみを購入しています。手摘みは資源節約に役立ち、人手の必要性による失業率の低下、地方の過疎化の抑制および付随する社会問題の減少などによい影響を与えるものと考えられています。
 伸縮部位など品質向上のため必要とされる場合のみ、原綿以外にポリウレタン、ナイロン、ポリエステル素材を使うことがあります。
DEBA農場(有機綿畑・トルコ)
◆製造工程
○紡績・紡織 
 通常、この工程でも様々な化学薬品が洗浄やオイル・ワックスとして使用されますが、グリーンコットンでは微生物の働きによって分解される生分解の物質のみを使用しています。
 APED、DTDMAC、DSDMAC、DHTDMAC、NTA、EDTAを含む製品の禁止、LASは使用していますが、炭素数は10〜13、ナトリウム、シアン化物やEUの基準リストにない界面活性剤は1%を超えて含まれてはいけない。柔軟剤は使用しません。機械的な柔軟のみ適用です。漂白剤は有害でチクチクする元である塩素系は使わず、酸素系の過酸化水素を使っています。
 なお、この工程で大量にでる埃は、空気清浄システムで処理しています。ためられた埃は焼却され、その熱は有効利用されています。
○染色 
 化学染料を染色に使用しています。ただし、デンマークアレルギー協会によって、過敏症を引き起こす原因として指摘されている、ニッケル、クロム、コバルトといった重金属やホルムアルデヒド、アセトアルデヒドといったアルデヒド化合物を使っていません。発ガン性、芳香性アミノ酸に関わる染料、塩素系芳香性ハロゲン元素、塩化ビニール、防腐剤、消毒剤も一切使用していません。顧客からのリクエストがない限り、蛍光剤は使用しません。ハロゲン系溶媒と有機スズ混合物を1%以上含むものは使わない。プリントに有機溶媒や5%以上のVOCを含む化合物の使用は禁止です。プリントには水をベースにした結着剤のみ使用可能です。染色液は可能な限り洗浄し、余分な染料が残らないように処理しています。
 洗浄水や熱源の節約、再利用もテーマにされています。廃水は染料を除去し、活性汚泥処理されています。
○防縮 
 綿生地は洗うと縮みます。一般市販品では、縮まないよう化学薬品で糸をコーティングしています。綿は軽くて吸水性が良いのが特徴なのですが、コーティングするとその吸水性が悪くなってしまいます。
 グリーンコットンでは、縮みがなくなるまで洗いをかけます。まさに自然の防縮加工です。そのために綿の性質を損なうことなく、化学薬品を使うこともないので、サラッとした、吸水性の良い品質が保て、グリーンコットン独自の風合いを生み出します。
 仕上げや防縮加工に、ホルマリンなどの化学物質を使用していません。
○縫製 
 縫製は主として日本国内、一部中国で行っています。国内の縫製工場はグリーンコットンの専用工場で、他メーカーの生地は一切使用しておりませんので、他製品からの化学薬品の汚染や混同の心配はありません。縫製糸はEU基準をクリアーしているグンゼのポリエステルスパン糸を使用しています。
 中国製のニット・カバーオールについては、ISO14001を取得しているEU向け商品のみを製造しているワンダフル社で製造しています。この工場はグリーンコットン専用工場ではありません。縫製糸は上記のものです。アクセサリー ボタンには重金属を含む染料は使用していません。塩化ビニール製、ニッケル混合物の使用も禁止です。
■市販の繊維製品の問題点■
 2002年7月31日のAFP、時事通信によれば、インドの南部アンドラプラデシュ州のワランガル地区で綿花栽培従事者が500人以上死亡したとのことです。原因は同地区の農業労働者は自動・手動の噴霧器でメチルパラチオン、エンドサルファンなどの農薬を散布しているが、布切れ1枚で口と鼻を覆っているだけで、他の防護手段はとられておらず、全ての労働者が長期間、農薬にさらされているためです。女性の労働者は散布後3〜4時間で綿花摘みを開始したりしています。調査を行ったNGO4団体はこのままではさらに多くの犠牲者が出ると訴えています。
 このように、現在世界中の綿花栽培では農薬が使用されています。殺菌剤、殺虫剤、除草剤、生育調整剤、薫蒸剤など多種多様で害虫駆除剤に至っては、綿だけで全世界の農薬使用量の実に25%が使用されていると言われています。
 これらの農薬は栽培従事者に危険であるだけでなく、栽培地域の井戸水、他の植物などをも汚染し、生地にも残留して、それを身につける消費者をも冒しています。農薬の種類によっては接触しただけでも毒性を発揮するものがあるのです。
 綿は繊維だけではなく、食品(お菓子の原料などになっている綿実油、家畜の餌)、石けん、グリセリン、紙、医薬品、断熱材にも使われており、その農薬汚染は深刻です。しかし、安全な繊維、安全な綿製品を供給すべき有機綿の世界の収穫量は約9300トンに過ぎず、全体の1%にも満たないのです。綿は紡績・紡織で糸や布に加工されていきますが、このとき、洗浄に多量の合成界面活性剤が使用され、また漂白にはチクチクする原因となる塩素系漂白剤が使われます。その他、発ガン性のあるワックスなど様々な化学薬品が使われます。また、染色に使われる化学染料にも、発ガン性など毒性の強いもの、ニッケル、クロム、コバルトといった重金属が使われているものがあります。化学薬品で糸をコーティングする防縮加工は、せっかくの繊維の吸水性を損ないます。これらはアトピーや化学物質過敏症などのアレルギーの原因となります。そして、これらの工場排水は、多額の処理費用を嫌って垂れ流しにしているのが現状で、中国の沿岸部では染色後の水によって海の色が変わってきているのです。これらの薬品が生態系に深刻な影響を与えるのが必至な状態です。
 ところで、一般化している化学繊維では、本体そのものが化学的なものであるため、一般にアレルゲンであったり、吸水性が悪く、不快な静電気が発生したりします。またその製造工程には発ガン性など有害性のある染色剤や、抗菌加工、難燃加工、柔軟処理など危険な化学物質のオンパレードになっています。


  ―文責 西川栄郎−

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