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焼くとふくれる おいしい干物
カタログ“2006年5月3週”
焼くとふくれる おいしい干物
モットーは、刺身にできる鮮度の魚で干物を作ること。
適切な乾燥をほどこした干物は、網にくっつかず、
焼くうちにふっくらとふくらみます。

●カレイ、ノドグロ… 山陰の海の幸を干物に

 渡邊水産の渡邊朝夫さんは、山陰地方の豊かな魚を生かしたとてもおいしい干物作りをしています。刺身にできる鮮度の魚で干物を作るのがモットーです。鮮度がよく、出来上がりがよくなる予感のする原料で作るほうが仕事をしていて楽しいからです。
 干物にする原魚は、境港から下関、主として近くの大社、大田、浜田などの港で水揚げされる日本海の魚です。山陰地方ではカレイの漁獲量が多く、とくに水カレイは全国の80%が水揚げされています。ハタハタの水揚げも秋田より多いのです。地元の人が最高の味と絶賛するノドグロ(アカムツ)も、地方独特の魚です。
 渡邊朝夫社長は干物の名産地・四国南宇和の出身で、干物や炭を機帆船で大阪などへ運ぶ仕事をされていました。その後、境港でイワシの丸干しの加工場を経営されたり、広島で干物会社に勤められた後、1965年に出雲市で現在の干物会社を始められました。出雲市を選ばれたのは、広島時代に山陰の魚を使っていたので、その原魚の鮮度を考えてのことです。2人の息子さんが家業を継がれています。
 渡邊水産がこだわりの干物を作るようになったきっかけは、四国時代からの干物技術があったほかに、長男の渡邊一専務が30年前に地元の共同購入会「出雲すこやか会」で、オルターともお付き合いのある影山製油さんや西製茶さんらと出会い、有機農業や安全な食べものに対する理解が深まったことからです。
加工場での渡邊親子。左が朝夫さん、右が一さん
●絶妙の乾かし具合が、おいしさの秘訣
 昔の干物は保存性を優先して50%まで乾かしていましたが、そこまですると味は低下してしまいます。しかし一般市販品のように乾燥を弱くすると、下記の問題点で解説しているように、焼くときにドリップが出て味がなくなってしまいます。また網にくっついたり、ヒレが黒く焦げたり、縮んでしまいます。
 そこで渡邊さんは、100gの原魚を約65g(60〜70g)に乾燥しています。これだと焼くときチルド状態になってもドリップは出てこず、旨味成分が外へ逃げることはありません。だから旨味が凝縮しておいしいのです。水分が少ない分、焼くときすぐに焼きの状態に入り、焼き上がるまでの時間が相当早くなり、おいしさを失いません。
 さらにうれしいことに、網にくっつくことがなく、焼きの途中で返してもバラけません。料理も簡単、後片付けも簡単です。ヒレが黒く焦げてしまうこともありません。冷凍時に水分が少ないため魚の細胞膜が破壊されていないので、焼いているうちに細胞内に残された水分が蒸発して、ふっくらとふくらみます。焼きすぎないのがおいしい焼き方のコツです。

●違いがわかる人たちに、食べてほしい
 渡邊水産は、かつて京都中央市場へ干物を卸していました。祇園をひかえた京都は一流の干物が全国から集まる市場で、そこからさらに全国へ干物が出荷されていたのです。その京都市場で渡邊水産のおいしい干物は最高値がつけられていましたが、近年この京都市場も西陣とともに衰退し、仲買人も上質な干物を見る目を失ってしまったそうです。

 安全で良質な干物を作り続け、豊かな産地を守るためにも、私たち消費者の理解と出会いが必要になっています。オルターへの紹介は熊野鼓動の横瀬恒人さんからです。
渡邊水産の干物
干物を一言でいえば、魚に塩をして乾かしただけものものです。非常に単純な加工品ですが、「単純なものほど難しい」ともいえます。

●原料
原魚…境港から下関の魚、主として浜田から島根半島にかけて、沖合50kmに浮かぶ隠岐諸島とともに海中に瀬が多く、魚影が濃く、魚種も豊富です。浦々には漁港があり、日帰りの小型底引き網漁船がたくさん漁をしています。また定置網も多数あります。これらの魚は鮮度が抜群です。渡邊朝夫さんは、それら一艘一艘の漁船の氷などの使い方による魚の品質管理を把握しており、管理のよい船からのものを仕入れています。
 一般の漁船の生簀(いけす)は、その洗浄時に合成洗剤や消毒薬を使うことがありますが、ここの漁船では、獲れた魚は直接トロ箱に入れ、氷を打っています。薬品の使用などの心配はありません。
 魚種は季節によりさまざまです。カレイ(ササ、シロ、ミズ、エタ)、ノドグロ(アカムツ)、ハタハタ、トビウオ、キス、レンコダイ、ギンダラ、カマス、イワシ、アジ、サバ、アマダイ、シシャモ、サワラ、スルメイカなど。

塩…赤穂の天塩
(カタログ2000年4月4週参照)

●開きの製造工程
@原魚を背開きにする。包丁を使って昔 ながらの一匹一匹手仕事です。
Aエラと内臓を除去する。
B水洗いする(オゾン殺菌水)。
C水切り後、塩水に漬け込む。塩分濃度 は魚の脂ののり方や湿度などの状況に よって工夫しています。
D水洗いする。
E網に干したのち、冷蔵熟成。
F冷風乾燥機で乾燥。18℃6時間。
G冷凍(−28℃6時間)。
H量目、袋入れ、金属探知。

●丸干しの製造工程
基本は上記に同じ。乾燥は17℃12時間。脂ののった魚は開きに、脂がないと丸干しにしています。
●市販の干物の問題点●
 市販の干物は乾燥が弱く、水分が多く残っています。                   そのため急速冷凍すると、細胞内の水が凍るときに細胞膜を破壊し、販売時や家庭でチルド状態になったとき、魚のもっている旨味成分がドリップとなって出てしまいます。焼くとき残っている水分の蒸発から始まるため焼けにくく、ヒレが焦げるまで時間をかけても身はおいしく焼けません。また網で焼くときにくっついてしまい、うまく焼くことができません。価格も一見安く見えますが、水分が減っていない分、ちゃんとした干物と比べれば食べるときにはかえって高くついていることになります。
 原料魚も安い外国産の冷凍魚を使っていることが多く、キャリーオーバーで酸化防止剤などの薬品処理が避けられません。また干物の加工行程でも酸化防止剤、着色剤、○○エキス類、蛋白加水分解物、発酵調味料など粗悪な調味料の使用があります。
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