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こんな魚醤を待っていました
カタログ2013年2月2週号
隠し味に使うと料理の深みが増します。

◆シンプルですばらしい魚醤
 カタログ2011年9月2週号でもご紹介した(有)土佐佐賀産直出荷組合、浜町明恵代表は、地元産のカタクチイワシやキビナゴと、地元産の海水塩だけで、シンプルですがすばらしい魚醤を開発しました。
 魚醤とは、魚を塩漬けにして発酵、熟成させ、その旨味成分を搾り出した醤油状の天然旨味調味料です。魚の蛋白質が分解してできた濃厚な旨味成分アミノ酸を多く含んでいるので料理に数滴垂らすだけで、味の深みが増します。隠し味として、スープ、炒めもの、冷奴、おひたし、鍋物のつけタレ、お刺身の醤油などあらゆる料理に使えます。素材の味の引き出し役、まとめ役として使い方はお好み次第、アイデア次第です。
 魚醤は日本古来からの調味料ですが、原魚の品質、塩の品質、食品添加物の使用などの面で、オルターとして取扱えるレベルと評価できる製品にはこれまで出会っていませんでした。
 (有)土佐佐賀産直出荷組合が開発した、今回ご紹介する魚醤は、やっとほんものに出会えたという品ものです。

◆事の初めは「さ・し・す・せ・そ」
 (有)土佐佐賀産直出荷組合のある高知県黒潮町では地元産・天然由来で揃えた基本調味料を売り出そうと、町の産業振興計画「あんしん、あんぜん、おいしい基本、さ・し・す・せ・そ計画」を打出し、勉強会を発足させていました。
 黒潮町は南国特有の温暖な気候と幅広い海岸線がある地形から、高知県内でも屈指の「天日塩」の産地であり、サトウキビの栽培とそれを原料とした「黒砂糖」作りも藩政時代から続いています。また、高知県内の農家の庭には少なくとも1本は植えられている仏手柑を搾った「仏手柑酢」(果汁)作り、地元産の原料を使った昔ながらの家庭での「味噌」作りも行われています。
 しかし、さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(醤油)・そ(味噌)のうち、せ(醤油)がありません。黒潮町には醤油の醸造所が無いため、地元産の醤油がありません。勉強会はここで行き詰ってしまいました。

◆「きびなごの魚醤」の完成
 そんな中、勉強会に出席していた(有)土佐佐賀産直出荷組合の浜町さんの脳裏に、かつて黒潮町で作られていた、さばいたカツオの残渣を使った「鰹の魚醤」の事が思い浮かびました。
 (有)土佐佐賀産直出荷組合は雇用の創出と活性化で地元に貢献しようと浜町 明恵さんが志し、2003年に立ち上げた水産会社です。地元や近隣漁港に水揚げされる土佐の海の幸を使った製品作りをしていて、とくに高知西南地域で水揚げされる「キビナゴ」に力を入れています。
 そのキビナゴを3枚におろし、天日塩とオリーブオイルに漬け込んだ「きびなごフィレ」があります。3枚におろすとき出てくる身の部分以外の頭、骨、内臓といった残渣の部分は「もったいないので、何かに利用できないか?」と思っていました。この廃棄していたキビナゴの残渣で「鰹の魚醤」と同じように、魚醤が作れないかと思いついたのです。
 さっそくキビナゴ残渣を使った魚醤作りに取り掛かりました。作り方はいたってシンプル、キビナゴ原料を塩に漬け込み、約1年間ゆっくり発酵、熟成させることです。使用する塩は地元産黒潮町産の天日海水塩。しかし、なにぶん初めての取組みでノウハウもなく、1回目の試作ではカビが発生したり、真っ赤になって腐ったりなどで大失敗。全て廃棄となりました。
 その後も何度も試行錯誤しながら試作を繰り返し、3年がかりでやっと販売できるまでの魚醤に仕上げることに成功しました。

◆「かたくちいわしの魚醤」の完成
 キビナゴの魚醤は完成したのですが、キビナゴは高知県宿毛産。浜町さんとしては、全ての原料を黒潮町産にこだわりたいという思いもありました。そんなおり、いつも魚を仕入れている地元の鈴漁港の競りに行ったとき漁師から「カタクチイワシが豊漁だと、捨ててしまうことがある」という話を聞き、カタクチイワシを使った魚醤にもチャレンジしました。こうして地元黒潮町の素材だけでつくる「かたくちいわしの魚醤」もできました。
 キビナゴの魚醤、かたくちいわしの魚醤はそれぞれ味、香り、旨味成分に特徴がありますので、お好みで使い分けてください。

◆きびなごペースト
 1年間の長期発酵、熟成を経てでき上った魚醤を搾った後の搾り粕、これにはまだ旨味成分がたくさん残っています。「せっかくの旨味が残っている搾り粕、最後まで使わないともったいない!」と完成したのがきびなごペースト。魚醤の搾り粕に、高知県産無農薬栽培のニンニクとオリーブオイルを加えて、旨味がギュッと詰まったペーストに仕上っています。
 パーニャカウダソースやトマトソース、ドレッシングの素に、魚醤とはまた違った調味料として使ってください。


土佐佐賀産直出荷組合の天日塩仕込み、天然旨味調味料シリーズ
《かたくちいわしの魚醤》
■原料
●カタクチイワシ
高知県幡多郡黒潮町鈴大敷網組合
●天日塩
いごてつ(黒潮町) 天日海水塩
昨年は天候不良だったため、土佐のあまみ屋(黒潮町)の天日海水塩も一部使用しています。

■製造方法
@カタクチイワシを塩漬けにする
A発酵・熟成(約半年)
B搾る
C火入れ
D瓶を湯殺菌
E瓶詰

《キビナゴの魚醤》
■原料
●キビナゴ
高知県宿毛市 田ノ浦漁港(宿毛湾)
●天日塩
同上

■製造方法
同上

《きびなごフィレ》
■原料
●キビナゴ
同上
●天日塩
同上
●オリーブ油
ギリシャ(レスヴォス島)
エキストラバージン・オリーブオイル

■製造方法
@キビナゴを3枚におろす
A天日塩で漬け込み熟成させる
B計量、瓶詰、オリーブオイルに漬け込む

《きびなごペースト》
■原料
●キビナゴ
同上
●天日塩
同上
●にんにく
高生連(高知県)
栽培時農薬不使用
●オリーブ油
同上



―文責 西川榮郎(NPO法人 安全な食べものネットワーク オルター代表)―


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