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こだわりの原料と老舗の技術でおいしい製品作り。
◆安全な原料でのかまぼこ作り 福岡県みやま市瀬高町にある(株)吉開のかまぼこの吉開喜代次さんは、練り製品の本来の原料は魚であり(100%魚を原料としている練り製品は市販にはまずありません)、そのおいしい魚の味を原点としたかまぼこ作りを大切にしたいと、すり身と調味料など原料にこだわり、無添加のかまぼこ作りをしています。 現在のところ、吉開さんのところでオルターとして取り扱える水準のアイテムは「古式かまぼこ」しかありませんが、今後とも取り扱えるアイテムを増やしていただくように期待しています。
◆無添加かまぼこへのチャレンジ (株)吉開のかまぼこは130年前の明治の初め1880年に初代・吉開三吉さんによって創業された、まさに老舗のかまぼこ屋さんです。初代の吉開三吉さんは魚屋の行商を生業としていましたが、冷蔵庫のない時代だったので、行商で余った魚をすり鉢ですってかまぼこやちくわを作り始めたのが創業のきっかけでした。本格的に練り製品を作り始めたのは二代目の喜市さんで、喜代次さんは三代目です。 吉開喜代次さんは1990年全国蒲鉾品評会において農林水産大臣賞を受賞(5回目)、1991年全国農林水産祭において農林大臣より振興会長賞を受賞、1995年全国水産練製品品評会において農林水産大臣賞を受賞(6回目、全国で最多)しています。また創業以来、防腐剤を使用しない製品を作り続けています。 1988年に久留米市にある「いのちを守る会」の主婦たちからの「化学調味料を使わない製品を」という声に応えて、化学調味料なしで全製品を作ることにしました。これは当時の業界ではタブーとされた挑戦でした。 さらに、リン酸塩なしのすり身に切り替えたのは 「らでぃっしゅぼーや」(当時は消費者団体、現在は野村ファンド系の会社)との出会いがきっかけでした。
◆オルターとの足掛け10年の開発 吉開さんからオルターに初めて声をお掛けいただいたのは2001年のことです。当時の仕様では、まず使っていた調味料がオルターとしては取り扱い不可でした。吉開さんはあきらめず、どんな調味料ならよいかと熱心に私に相談され、改善に取り組まれました。 一定の改善に取り組まれたので2002年3月に工場を見学させていただきました。しかし、かまぼこ作りにとって一番重要なすり身は鮮魚からの自家製ではなく、長崎蒲鉾水産加工業協同組合のものを使っていることがわかりました。2005年5月にそのすり身工場を調査し、採用可能なレベルのものがあることを確認 しましたが、水にさらしている分、魚の旨味が逃げており、製品化するには難しい原料と判断しました。その後、何回もの試作を繰り返し、2009年になってやっと味として合格点がつけられるものを試作されました。 吉開さんは防腐剤、化学調味料、卵白(伊達巻、はんぺんを除く)を使用しない無添加の製品を作られていますが、それらの製品のうち、国産の無添加のすり身と良質なだしと調味料を使い、キャリーオーバーの食品添加物も排した、オルターの安全水準に達したアイテム「古式かまぼこ」だけを今回企画させていただき、他の品は暫定品としてご紹介することになりました。じつに足掛け10年に及ぶ開発品となりました。
※吉開さんが使用している原料魚のうち、「エソ、グチ、イワシ」は東シナ海で漁獲され、朝長崎に水揚げされたものを長崎蒲鉾水産加工協同組合ですり身加工したものです。「イトヨリ鯛」はタイのアンダマン海で漁獲されたものをタイの現地工場ですり身加工したものです。「南ダラ」はニュージーランド海域で漁獲され、船内ですり身加工したものです。この中で「イトヨリ鯛」「南ダラ」は生産工程不詳の輸入の冷凍すり身となるので、原料の一部に南ダラを使用したアイテムはオルターでは暫定品扱いとなります。
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■原料・材料 ●魚肉(エソ)・・・長崎蒲鉾水産加工協同組合。地元産エソのすり身(砂糖としててんさい含蜜糖を含む) ●みりん・・・甘強酒造(株) ●魚のだし・・・長崎蒲鉾水産加工協同組合の地元産魚だし(ダイヤソルト株式会社崎戸工場の海水塩を含む) ●食塩・・・粟国の塩(「食べもの百科」P147参照) ●昆布だし・・・マエカワテイスト(株) ●酒・・・大木代吉本店の蔵の素(「食べもの百科」P177参照) ●かまぼこ板・・・大分県日田市の国産材使用。輸入材は薬品臭があり使い物になりません。
■製造工程 【1】 エソすり身の製造工程(長崎蒲鉾水産加工業協同組合にて) その日の朝に入荷した魚をその日のうちに処理します。
@原魚処理(頭、内臓除去) A洗浄。魚洗機を使用して5℃の冷水(真水)で洗う B採肉 C水さらし(真水)。すり身の弾力を出し、血合いを除去 D脱水 E裏ごし。骨と皮を外す F砂糖(てんさい含蜜糖)混合 G冷凍 H金属探知機 リン酸塩など無添加のすり身のみを使用。
【2】 魚のだしの製造工程 (長崎蒲鉾水産加工業協同組合にて)
@すり身工程の残渣(頭、骨、皮)を細断 A酵素処理。蛋白分解酵素(微生物由来)。 アルカラーゼ(プロテアーゼ)、フレバーザイム(アミノペプチダーゼ)。 煮釜で50〜60℃20分。加熱(90℃)で酵素失活 B振動篩(100メッシュ)で固形物除去 C液部と油分を分離 Dフィルタープレス E濃縮(減圧、加熱) F加塩、調整 G殺菌、充填
【3】 古式かまぼこの製造工程 (吉開のかまぼこ工場にて)
@冷凍すり身を切断 Aみりん、食塩、魚のだし、昆布だし、 酒を加えてカッターですり潰す B成型。かまぼこ板にすり身を盛る C包装。材質はポリプロピレン Dすわり。成型してから40℃1時間熟成すると弾力が出る E蒸す F冷却 G外装。材質はポリプロピレン H冷却
■保存方法・賞味期限 保存方法は要冷蔵(0〜5℃)、賞味期限は夏8日間、冬10日間
―文責 西川栄郎(オルター代表)―
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