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山を育て海を守る無茶々園の真珠
カタログ2011年1月3週号
生産者限定 産直真珠。高品質のものが適正価格で。


◆高品質な真珠を消費者に
 愛媛県宇和海沿岸の明浜町で、無農薬みかん作りに取組む無茶々園(カタログ2002年1月2週号参照)には段々畑のみかん山の眼下の前浜で真珠養殖を行う、佐藤宏二さんら海の仲間もいます。
 無茶々園では、その真珠生産者が真珠を商品化まで一貫管理し、さらにみかんの産直ルートにのせて、無駄な流通コストを省き、適正価格で高品質な真珠を消費者に届けています。

◆海に入る農薬を激減させた
 1974年、片山元治さんら3人の若者によって有機農業に取り組む無茶々園が始まりました。現在では町内の農家の2割を超える80数名にもなりました。一部地区では無茶々園の生産者が半数以上を占め、無差別に農薬を共同散布するスプリンクラーを止めました。彼等自身は農薬を拒否しているのですが、町内共同で行う防除薬剤の散布にあえて参加する中で、スプリンクラーを止めたのです。
 こういう無茶々園の姿勢が地域の人々の信頼を得て、有機農業の仲間が拡がっていました。「狭い土地にひしめき合って住んでいる小さな町だから。ここで一緒に生きているのだから」という片山恵子さんの言葉は印象的です。こうして山から海へ流れ込む農薬が激減しました。

◆合成洗剤の追放
 無茶々園では自らが農薬使用をやめるだけでなく、地元漁協女性部とも協力し、小学校、PTAでの廃油石けんの講習会など、町ぐるみで石けん運動にも取り組んでいます。また、ワカメを植える海中林作りにも協力しています。そして、川にエビ・ウナギ・タニシがよみがえり、海でもフナ虫・タコ・ウニが増え、フグやボラなどの大群が見られるようになりました。

◆ホルマリンの使用禁止
 真珠生産者 佐藤宏二さんは、環境負荷をかけない養殖・漁場の改善にも取り組んでいます。フグ養殖で使用するホルマリンの使用禁止運動では中心となって活動し、2003年には全国初のホルマリン使用禁止を記した条例の制定(愛媛県)にまでこぎつけました。地元の名産、鯛やハマチの養殖も、エコ養殖に切り替わろうとしています。

◆日本一の真珠の産地
 宇和海の真珠養殖は、明治40年にアコヤ貝の購入事業に始まり、昭和10年(1935年)に生産が開始されました。昭和53年(1978年)には先進地三重県を抜いて日本一の生産量になりました。
 宇和海沿岸の温暖な気候、穏やかな海、石灰岩の地質や、ウバメガシなどが群生する雑木林が母貝であるアコヤ貝を育み、巻きの厚い光沢のある真珠を生み出しているのです。そんな産地を脅かすアコヤ貝の大量死が以前、宇和海で起こりました。原因はフグ養殖に使われるホルマリン、真珠の過密養殖、陸からの農薬などが考えられています。

◆山が変わって海が変わった
 地球環境や地域への視点を持つ無茶々園は当然のこととして、段々畑の下に広がる宇和海にも目を向けていました。みかん作りに農薬が使われ始めて、海は大きな打撃を受けたことも知っていました。だから、同じ地域で生計を立てる仲間として、真珠生産者とみかん生産者がお互いを理解しようと「真珠勉強会」を始めたのです。
 佐藤宏二さんは「ここ何年かで漁場環境が一変した。エサのプランクトンの数も増えて、昔のように力のある明浜の海が戻ってきた。海に力があるから、いい真珠がつくれる」と話します。山から農薬を追放し、里から合成洗剤を追放する、無茶々園の運動が海を守っているのです。
 親の代から真珠養殖を始め、30年以上になる真珠つくりのベテラン佐藤宏二さんは、「白い真珠の中に、ブルーやピンクが干渉し合う魅力的な輝きは、明浜の美しい海だからこそ出せる自慢の色合いです」と語ります。

◆自立した地域作り
 一般に真珠は、大手の加工・販売会社に買いたたかれ、店頭価格は高くても、生産者の手取りは大変厳しい状況があるのです。無茶々園では、みかんと同様に真珠の産直を通して、自立した地域づくりを目指しています。オルターもこの趣旨に賛同して、生産者の想いのたくさんつまった、巻きのよい、光沢のある真珠を選りすぐってお届けします。真珠はジュエリーで、贅沢品というイメージもあるかもしれませんが、入学式・お葬式などフォーマルな行事に欠かせないものでもあります。


無茶々園の真珠
■生産者
佐藤宏二さん

■生産・流通
 リアス式海岸の穏やかな入江に恵まれた宇和海は、真珠の全国生産高の約40%を占める質量ともに日本一の産地になっています。養殖は過密養殖を避け、薬剤を一切使用していません。養殖・採集・研磨・選別・穴開けなどの加工から、ネックレス・リングなどの製品仕上げ、さらには販売までのプロセスを一貫して手がけています。
 真珠のグレードは「巻き・光沢・表面特徴・形・仕上げ」の5項目で決められます。無茶々園では独自の品質基準を設け、その基準を満たしたものを届けています。鑑定は佐藤宏二さんの息子、佐藤和文さん(米国宝石学会鑑定士:GIA・GG資格)が担当しています。複雑な流通経路を省いているので、適正な価格でお届けできます。


■真珠ミニ知識
●越物(こしもの)真珠
 真珠は、普通貝の中で1年抱かせてできますが、越物(こしもの)といわれる真珠は、2年間じっくりと真珠層を巻き続けた貴重なものです。厚巻きだからこその光沢と色、また変形は世界に2つとない個性的な珠になりました。

●形と巻きがバロック真珠の魅力
 丸いだけが真珠ではありません。すくすく育つ真珠の中には力いっぱい巻きすぎて形がいびつになるものもあります。作り手にとっては、そんな真珠にこそ思い入れがあり、かわいいものです。形がいびつなバロック真珠は、世界に一つしかない自分だけの真珠です。

●使ったあとは・・・
 真珠は汗や酸、湿気を嫌います。身につけたあとは、水で濡らして固く絞った布で優しく拭き、そのあと乾いた布で、よく水気を取ってください。

●トラブルに注意
 もし真珠にジュースなどがついてしまったら、水洗いをして、乾いた柔らかい布で丁寧に水気を拭き取ってください。また、真珠製品には香水やオーデコロンなどの液がかからないように気をつけてください。

●正しい保管方法
 デリケートで傷つきやすい真珠。ですから、取り扱いは「優しく」が基本です。保管するときは直射日光が当たらない場所を選び、他の宝石貴金属と触れ合わないよう、柔らかい布に包んでしまいます。また、タンスの中などに入れる場合、防虫剤は避けた方が安心です。


市販の真珠の問題点
 信用できるお店で買えば一応安心でしょうが、真珠にもニセモノがあります。本物はすり合わせたときにざらっとする感触があります。ニセモノはつるつるです。通販品などは要注意です。一般的に通販品には、真珠の生命である巻きや輝きのない白っぽいものが多いようです。黒真珠の場合は、コバルトの焼付けが一般的です。
 市販の最大の問題は、複雑な流通を経るので、とても高いということです。無茶々園の真珠は市価の半額以下ですが、だからといって品質が劣るということはありません。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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