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カラッと揚がる粒々のでんぷん
カタログ2010年2月1週号
粘りと風味が特徴。
特別栽培じゃがいものたいへん良質なでんぷん。


◆レトロな工場から生まれる良質なでんぷん
 北海道河西郡幕別町にある神野でんぷん工場(株)は、自動化された木製の機械がコトコト動く昔ながらのじゃがいもでんぷん工場です。そのあまりにも風雅なレトロ調の工場の文化財的価値が文化人や写真家から評価されるほどです。1999年には日本産業考古学会から日本に残る唯一の在来式工場として認定されました。
 神野でんぷん工場(株)の神野正博社長は、この在来式工場の良さを十分に活かして、粒が大きく吸水性に優れ、料理に適したたいへん良質なじゃがいもでんぷんを製造しています。唐揚げに使用した場合、下味の水分を一般のでんぷんよりはるかによく吸着するので、油のささりが良くなり、カラッと揚がります。吸水性に優れているので、でんぷん湯を作ると粘りがあり、数時間放置しても水をにじみ出しません。いも団子を作ると弾力のあるものができます。比重が大きいので風味が残っており、料理を引き立てます。また重いので料理中に飛ばなくて使いやすいです。

◆特別栽培のじゃがいもが原料
 神野でんぷん工場では在来式のほか、連続機械化式の製造ラインもあり、原料のじゃがいもについても特別栽培のものと慣行栽培のものがあります。オルターとして取扱うものはこのうち、特別栽培じゃがいもを原料として在来式の製造ラインで製造した「特別栽培じゃがいもでんぷん」です。
 原料の特別栽培じゃがいもの生産者は、オルターとしても提携している北見市の秋場和弥さん(自然農法)や常呂郡訓子府町の伊藤秀幸さん(自然農法)など、北海道内の選りすぐりの生産者たちです。

◆自然沈殿法と低温長時間乾燥が旨さの秘密
 良質なでんぷんができる製造工程上の特徴として、「自然沈澱法」と「低温長時間乾燥」の二つが挙げられます。
 「自然沈澱法」とは製造工程中、沈澱槽でのでんぷんの取り出し方です。「つぶつぶでんぷん」は、沈澱槽に3時間で自然に沈澱するでんぷんの中から底部に沈澱する大粒子の多いものだけを取り出しています。これに対して世間で流通している一般の大型工場では生産効率優先のため、原料に含まれるでんぷんを取れるだけ取って製品にしています。自然沈澱法は軽いでんぷんを分離して製品に入れません。
 「低温長時間乾燥」とは製造工程中、乾燥の方法です。神野でんぷん工場では、幾段もの棚の上に生でんぷんを薄く敷いて低温(70℃)で長時間(4時間)かけて乾燥しています。糊化を防ぐために70℃以上は上げないようにしています。水分は15%以下まで乾燥します。こうすると粒子が壊れず、風味や甘さがそのまま残るのです。これに対して大型工場では気流乾燥方式で、高温で数分のうちに乾燥を終えます。そのためでんぷんの風味が飛びます。神野さんのでんぷんは、粒状を大切にしているため、精粉機をかけてゴミを取り除くことができません。わざわざ振動板の上で目視でゴミを取り除くという手間をかけています。
 また、でんぷんの品質を決定づける重要な要素は水ですが、ここでは日高山脈からの豊富な伏流水が地下90mから汲み上げています。しかも2価イオンのCa、Mg系の水なのです。2価系の水で精製したでんぷんは熱湯での特性が緩やかに膨潤する傾向性をもちます。これらも神野さんのでんぷんがおいしい理由です。
 大量に出るでんぷん粕は発酵を工夫し、おから粉、ふすま等を混ぜて作った乳酸発酵飼料は牛、豚屋さんに好評です。廃液の底のヘドロは4年間発酵させて土へ還元させ、環境への配慮も怠りません。

◆伝統的でんぷん作り
 社長の神野正博さんは2代目です。1986年にUターンしてお父さんの後を継がれました。戦後、砂糖の代用で水飴の需要が増えた時代、水飴の原料になるでんぷん工場が北海道に2000軒もありました。1947に創業された先代・梅吉さんは、自分一代で廃業するつもりもあって工場に手を加えず在来式のまま置いておられました。
 大規模化していった工場が次々と廃業を迫られ、今や20軒となった中で、神野さんの工場は小規模のままだったことがかえって幸いしました。そして、その昔ながらの伝統的なでんぷん作りの品質の良さに気づかれた2代目が、このでんぷんを世に生み出されたのです。神野さんのでんぷんの優れた品質と味の秘密はこの昔ながらの技術と日高山脈の清涼な地下水にあるのです。


神野でんぷん工場の特別栽培じゃがいもでんぷん
●原料
北海道の選りすぐりの生産者から届く、大きすぎたり小さすぎたりする規格外のじゃがいもを使っています。特別栽培じゃがいも生産者は以下のみなさんです。
北見市・秋場和弥(自然農法)、常呂郡訓子府町・伊藤秀幸(自然農法)、網走郡美幌町・一戸義則(有機JAS)、中川郡幕別町・折笠健(無農薬・化学肥料使用あり、慣行の半分以下)、中川郡幕別町・柴田悦孝(減農薬)、中川郡幕別町・平澤優(減農薬)

●製造工程
@受け入れホッパーへ受け入れたじゃがいもから、腐敗したいもや土や石を分離して貯蔵庫に保管。
 腐敗を防ぐために2日以内に加工を開始します。
A撹拌いも洗い機でじゃがいもを水洗い。仕上がりの白度を下げないためには、いも洗いを十分にするのが基本です。
B磨砕機でじゃがいもを磨砕(すりつぶす)
C磨砕汁をデカンターで粕とでんぷんに分離
D自然沈澱法ででんぷんを沈澱、精製(3時間)
Eフィルターを介してポンプで吸い上げた澱乳を遠心回転脱水機で脱水
F低温長時間乾燥法で乾燥(70℃・4時間)
G金属探知・異物目視検査

製造過程で粒の小さいでんぷんを除去するので、歩留まりが悪く(一般のでんぷん製造の5割程度)、製造に要する時間も3日間と長いです(一般は数時間以内)。

●使用上の注意
神野さんのでんぷんは力が強いので、料理に際しては少なめの量でお使いください。


市販のでんぷんの問題点
 じゃがいもでんぷんの場合、放射能汚染の心配なヨーロッパが主産地です。北海道のメーカーでもこのヨーロッパのじゃがいもを原料に使っているものを販売していることがあるのです。また必ずしも主流ではありませんが、アメリカのじゃがいもは遺伝子組み換え(GM)が始まっています。このGMじゃがいもを与えたネズミが免疫力を低下させ、あらゆる内臓に異常があったというイギリスのピュスタイ博士の論文は有名です。でんぷんの原料にはなっていませんが、カルビーのポテトチップなどの原料として使われてきた士幌農協の放射線照射をして芽を出さないようにした照射じゃがいもも問題になっています。
 慣行栽培のじゃがいもにはおよそ20回もの農薬が散布され、収穫直前には除草剤を撒いてじゃがいもの地上部を強制的に枯らし、大型収穫機を使って収穫しています。
 これらの原料を使って、大型のでんぷん工場では高速遠心分離、高温気流乾燥(150℃10秒)で原料から製品までわずか15分で作り、でんぷんも可能な限り回収率を上げています。そのため粒子が小さなでんぷんも混入しているため、保水性に劣り、料理に使ってもうまく調理できない製品となっています。例えば八宝菜を作ると15分もすると水を保持する力に劣るため料理が水っぽくなります。神野でんぷんでは原料から製品まで3日もかけています。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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