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ムレ香の発生を抑えたフルーティな有機純米酢 河原酢造
カタログ“2005年1月4週”
ムレ香の発生を抑えたフルーティな有機純米酢 河原酢造
 伝統的な製法で造った純米酢には、米酢の宿命といえるムレ香(ジアセチルやダイアセチルの成分)がどうしても発生しやすく、せっかくの本物のお酢なのに、そのお酢独特の香りを嫌がる人がいらっしゃいます。オルターの漬物の生産者である道長さんも、漬物に合うお酢を探し求められて、河原酢造のお酢に出会われました。
 河原酢造の河原照彦さんは、純米酢のこのムレ香が香りを重たくしていることを何とか解決できないものかと、考えてこられました。そして、元東京農大の柳田藤治先生の「ムレ香の発生を抑制する米酢」の研究をヒントに、そのムレ香の発生を不快とは感じられないレベルにまで抑える製造法を開発なさいました。
河原照彦さん
 伝統製法の米酢の重厚な風味を好む人には少し物足りなさを感じるお酢かもしれませんが、その重たさを好まなかった人には、クセがなくフルーティーでさっぱりしている河原酢造のお酢は、朗報になるはずです。
 河原酢造さんは、原料のお米は有機米にこだわり、水は地元で御清水と呼ばれる九頭竜川水系のおいしい水を浄水器で漉して使い、製法も伝統的な古式静置培養です。機械や器具の衛生管理についても、薬剤には頼らず、湯水による洗浄や熱湯消毒など、安全な手法を心掛けています。
 創業して170年の河原酢造は、越前小京都と呼ばれる大野にあります。戦時中、親の代は合成酢をやむなく作った歴史もあります。
 6代目となる、河原照彦さんは、高校時代は家業は嫌だと思っておられました。しかし、都会暮らしをしてみて、自然やおいしい食べものに興味をもち、1978年にUターンして、26才で家業を継がれたのです。今では、醸造の仕事がたいへん面白いと感じておられます。 とくに微生物の発酵する過程や、味が変化するのが面白くてたまらないとおっしゃっています。
 かねてから伝統製造の純米酢のムレ香が気になっていました。自然食品店に並ぶ多様なお酢も、高くてまずいと思っておられました。国内の現状では良質なお酢が入手困難であり、醸造メーカーの立場から、これらを何とかできないものかと研究に取組まれたのでした。
 有機米を使った製造を始めたきっかけは、1993年に当時減農薬で米作りをなさっていた松浦助一さんに出会われたことからでした。松浦助一さんの、大地に痕跡を残す仕事がしたいという姿勢に共鳴なさったことからでした。今では、4つのグループの有機米を原料とした、有機純米酢作りに取組まれています。
 酢造には、酒造りの工程がありますが、杜氏という仕込みの職人を雇うことなく、社長である照彦さんご自身が、その役を担われています。それは、自分で納得できる米酢作りをするためには、自らが職人であらねばならないという信念からです。
 河原酢造の生産量は限定的で、今後も大量生産に戻る気は毛頭ありません。テレビなどの取材申込みも断られています。一過性の消費者の相手はむなしいと思っておられるからです。


河原酢造の有機純米酢「老梅」
 伝統的な米酢の重い香りになじめない人が少なくありません。そのムレ香の原因は、麹にあると考えられました。吟醸酒作りの技からヒントを得て、丁寧な麹作りをして、フルーティーで華やかな香りの純米酢を作り上げられています。
 また、速醸型の鼻につんつんくるお酢ではなく、古来の静置発酵法による、旨味成分の豊富で舌にやさしい味のお酢です。

■ 原料 ■

有機米
 (有)アースワーク…代表  松浦助一さん(福井県)
  会社システムで有機米作りに取組んでいます。
  有機認証はJONA。
 大野有機の会…代表  山村喜一郎さん(福井県)
  有機認証は、自然農法国際研究開発センター
 水郷おみかわコシヒカリ
       …代表  岩立幹夫さん(千葉県)
  有機認証はJONA。
 (有)エコ・ライス新潟
       …代表  阿部信行さん(新潟県)
  有機認証は民間稲作研究会。
水……………御清水と呼ばれる九頭竜川水系の水
清酒酵母…………  日本醸造協会
種麹………………  兜H六
珪藻土(濾過剤)…土田食品工業侃セライト
山村喜一郎さん
阿部信行さん
■ 製造方法 ■
工場はJAS認定工場です。
@原料米
 原料には有機米だけを使います。
A洗米
Bスチームを使った蒸し器で米を蒸します。
C放冷
D製麹(種麹)
 麹室の消毒はホルマリンなどを使わず、煮沸消毒や紫外線ランプで行っています。
Eアルコール発酵(清酒酵母)
 約1ヶ月。
F酢酸発酵
 約3ヶ月。さらに約3ヶ月の熟成期間をかけます。
G濾過
 フィルタープレス、珪藻土、濾紙を使っています。きれいになるまで2〜6回行う。
H火入れ殺菌(80℃)
I充填・ビン詰

米150gから1Lのお酒ができる計算です。
市販のものでは酒1L作るのに、米40g程度です。
米酢の醸造粕は、堆肥の原料として水田へ還元しています。

□ 使い方 □

 焼魚、塩サバ、マリネなどに合う。薄めて飲むのも良い。また、焼そば、スパゲッティー、味噌汁に少しかけるのも良い。

(有)アースワークの皆さん
水郷おみかわコシヒカリの皆さん
市販の米酢の問題点
 神前に供えた酒を盗み飲みしたら、酸っぱくなっていた。これが酢発見の最初といわれています。
 しかし、今の酢はまともなお酒から造っていません。合成氷酢酸(石油化学工業の合成アルコールから造った合成酢酸)に味の素などを入れた合成酢(市場の約2%)は論外としても、市販の米酢には様々な問題があります。
 一般に米酢の原料米は、クズ米(米の1/15の値段)や多用途米(古米や古古米)、カドミウム汚染米や輸入米(ポストハーベスト農薬)など安い米は何でも加工にまわされてきました。さらには、白糠(吟醸酒を作るときに40%の精米を行いますが、その糠もお酒の原料にまわっています。ディスカウントの紙パックの酒の原料でもある)や醸造用アルコール(砂糖工業からのサトウキビの廃蜜糖やじゃがいもでんぷんの糖化物などを原料としている。 ほとんどが輸入物。かなり以前は有害物を含むパルプ廃液まで原料になっていました。これだけではお酢にならないので、カリウム、マグネシウム、酵母エキスも添加される)など、原料コストは限りなく安いものです。
 農薬不使用米どころか、まともな米が原料になっていません。それどころか大半の市販の酢は、穀類を原料としているので、米酢の表示は酢1Lあたり米使用40g以上でできますが、米だけなら120gは最低必要なのにその差は、以上のような副原料使用にからくりがあるのです。
 したがって、伸びの悪い、コクのない米酢がいかにも上等なお酢の顔をして店頭に並んでいるのです。また、醸造方法も速醸法(全面発酵法)が一般的で、酢酸主体のつーんとくるお酢になってしまっています。


          −文責 西川栄郎−


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