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北極気候影響評価 新しい科学的合意:北極は急速に温暖化している
通信864号資料記事
地球の気侯に影響を及ぼす大きな変動が予測される
 昨年11月、「北極気候影響評価」(ACIA)の最終報告が発表された。ACIAは北極協議会(アメリカ、カナダ、ロシア、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランドの八つの国と六つの先住民組織の政府間フォーラム)と国際北極科学委員会によって委託され、その調査研究は300人の科学チームによって4年間にわたって行われた。報告は、北極圏が地球の他の地域の約2倍の速さですでに温暖化しており、人間活動がもたらす温室効果ガスの増加がさらに温暖化を進めると予測している。今世紀末までに、北極圏の夏の海氷の少なくとも半分が、グリーンランド氷床の大部分とともに融け、さらに4〜7℃程度温暖化すると予測する。これらの北極の変動はグローバルな海面上昇や地球温暖化の促進のような大きな地球規模の影響を及ぼす、としている。
 “地球温暖化は北極圏の住民に影響を与えている” “北極圏は地球上で最も速く、深刻な気候変動を経験している。気候変動の北極圏と地球への影響は今後、数年の間に、増加すると予測される”と、ロバート・コーレルACIA議長は語っている。
 ACIA報告はCOPlOの北極に関するサイドイベントでも発表された。「JCCA  REPORT  COP10」(04.12.13)によれば、バングラデシュからの参加者は、海面上昇で国がなくなればどこへ行けばよいのかと訴えた。アラスカの先住民は、報告が自分たちの経験を科学的に裏付けてくれたことを歓迎するとともに、国際的支援を訴えた。
 また、COP10で、北極圏で暮らす先住民族イヌイットの国際団体の代表が、温暖化によって彼らの生命と安全が脅かされているとして、人権侵害の確認を求める申し立てを、米州人権委員会に行うことを明らかにした。

ACIAの重要な結論 
*アラスカ、西カナダ、東口シアの冬の平均気温は、過去50年間に3〜4℃程度上昇し、これからの100年間に4〜7℃上昇すると予測される.
   
*夏の北極圏の海氷は、今世紀末までに少なくとも半分に減少する.このことは、アザラシのような北極の動物種とこれら動物を主要な食糧としている地域の住民にとって破壊的影響を持つ可能性が非常に高い。同時に、海氷域の減少は、この地域の石油やガスのような資源への海からのアクセスを増やす可能性がある。
*グリーンランド全域の温暖化はグリーンランド氷床の多くの融解へと導き、地球の海面上昇を早める。グリーンランド氷床がすべて融けると海面が7メートル上昇する。
*北極圏周辺の多数の沿岸の町や施設は海面上昇、海氷の減少、沿岸凍土層の融解による浸食や洪水のリスクの増大に直面する。
*もし、夏に北極海の氷がなくなったら、シロクマと幾つかのアザラシの種が絶滅に追い込まれる可能性がある。
*北極の気候変動は、先住民の健康と食糧の保障に重大な脅威をもたらし、その文化の生存を危うくする。
*次の100年間に、気候変動の加速化が予測され、物理的な、エコロジカルな、社会的な、経済的な変化をもたらす。
そしてACIAはこの変化の多くがすでに始まっていることを立証した。

                  
   地球救出アクション97 『SEA』誌NO.45より転載 
 
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