山口泰子
ふぇみん 2007年7月15日 2830号より転載
合成洗剤問題の先駆者のひとり、坂下栄さんが6月26日69歳で逝去されました。 合成洗剤に警告が出た1962年直後から三重大学医学部助手だった坂下さんも研究を始めました。72年ごろ、ふぇみん公害部(当時)のSさんと私が三重大学を訪ねたとき研究室の片隅に飼っているラットを見せていただきましたが、坂下さんはこのラットの塗布実験で合成洗剤による皮膚障害のレポートを発表しました。その後も、多くの実験によって問題点を具体的に示され、私たちは、その事実を活動に役立てることができたのです。数年前にふぇみんの連続講座「これでいいの?科学技術と化学物質の溢れる(あふれる)社会」での坂下さんの講演は研究の集大成ともいうべきものでした。これを大切に生かしていきたいと思います。 坂下さんは持ち前の実行力と科学者の責任感から、アジアの国々にも出かけ公害防止のために活動し、水俣病や杉並病、カネミ油症の問題などに精力的にかかわられました。これらは合成洗剤問題と根っこはひとつであるとの考えからの行動だったと思います。 こうして各地に多くの種を播(ま)いて逝ってしまわれたのです。「坂下さん早すぎるよ」の想いでいっぱいです。 (ふぇみんグリーン・アクション)
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