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◆コクたっぷりのカフェオレベース 大阪府守口市にある「珈琲の富田屋」の洲脇 大輔さんは、アフリカ・ルワンダ共和国の生産者協同組合COOPAC(コパック)からフェアトレードで輸入した農薬・化学肥料不使用のコーヒーと、私が日本への輸入を開始したフィリピンネグロス島のマスコバド糖(オルターカタログ2009年5月3週号参照)とを原料に、ビン入りのカフェオレベース「スマイルオレ」を開発しています。 「スマイルオレ」は、コーヒーと黒砂糖の濃縮液です。豆乳や牛乳で割るとコクたっぷりのカフェオレができます。アイスでもホットでも楽しむことができます。ルワンダの香り豊かで深みのあるコーヒーにマスコバド糖のコクが加わっています。マスコバド糖はアイスコーヒーやカフェオレベースにたいへんよく合う黒砂糖です。まさにベストミックスといえます。 スマイルオレのコーヒーは深煎りにしています。深煎りにしている理由は、1.牛乳に合うように、2.冷やしてもおいしく飲めるように、3.酸化しにくいように、です。
◆ルワンダの再建のために 洲脇さんが原料にATJ(オルタートレードジャパン)のコーヒーとマスコバド糖を採用しているのは、フェアトレードのものを使って少しでも現地の人々に役立ちたいと考えているからです。 ルワンダでは民族対立をきっかけに1994年、80〜100万人の犠牲者を出す大虐殺が起こりました。経済も壊滅的な打撃を受けました。その悲惨な事件は映画「ホテルルワンダ」でも紹介されました。事件後、国民融和、国家再建に向けて努力され、民主化も進んでいます。1999年には内戦前の水準に回復しました。その再建に国を挙げてのコーヒー栽培が大きな役割を果たしています。
◆コーヒー栽培に適した「千の丘の国」 ルワンダ共和国は「千の丘の国」と呼ばれ、丘陵地が多く、海抜1000〜4500mと標高の高い、自然豊かな東アフリカの内陸国です。標高が高く、火山灰土壌のルワンダは、コーヒー生産に最適の環境です。ルワンダでは 2008年、アフリカで最初にCup of Excellenceを開催し、以降2009年を除いて毎年開催しています。スマイルオレの原料として使うCOOPACのコーヒー豆は2010年にそのCup of Excellenceで1位となっています。 2001年に設立されたCOOPACは6つの単協、2200人の生産者によって構成されています。平均栽培面積は0.2〜15ヘクタールです。 COOPACはルワンダ北西部、ヴォルカン国立公園や野性のマウンテンゴリラの生息地に隣接する、キブ湖を囲む山脈、標高1500〜1900mの高地にあります。豊富な雨量と豊かな土壌を持つ高地はコーヒー生産に最適です。 COOPACは所属する生産者のコーヒーチェリー(コーヒーの赤い果実)を集め、組合の持っている加工場で水洗処理、天日乾燥、脱穀まで全ての段階で選別をかけ、アメリカ、ヨーロッパ、日本、南アフリカなどへ出荷しています。 COOPACは、有機栽培への転換、コーヒーの苗木作り、下草刈り、コーヒーチェリーの皮を堆肥に利用するなど、コーヒーの品質向上に力を入れています。また、フェアトレードで得たプレミアムを利用して、小学校の設立を行うなど地域の人々の生活改善を目指しています。これらCOOPACの活動にはイギリスのフェアトレード団体TWINによる農業技術や販売の協力がありました。
◆子どものアトピーがきっかけ 洲脇 大輔さんは大学生時代、ジャズ喫茶に通っていて、コーヒー雑誌に載っていた自家焙煎の記事に興味を持ちました。将来、おいしいコーヒーで生活をしていきたいと、卒業後ジャズクラブなどで3年間アルバイトをしたあと、2002年25才のとき珈琲の富田屋を開業、コーヒーの焙煎を始めました。「新鮮さ=おいしさ」をモットーに注文後に焙煎しています。そのため店舗を構えず通販専門でやっています。 第一子の娘のアトピー、第二子の息子の聴覚障害がきっかけで、食の安全や有機に目覚め、オルターの会員にもなりました。息子のためにいろいろ教えてもらいたいこともあって、聴覚障害のパートさんと一緒に仕事をしています。
◆フェアトレードの考えに共感 フェアトレードに取りくみたいと思ったきっかけは映画「おいしいコーヒーの真実」でした。映画の中でコーヒー農家の息子が父親に「僕はコーヒー農家にはならない。お父さんは毎日こんなに頑張って働いているのに、家族を養えないし、子どもを学校にも行かせられないじゃないか!」というシーンにショックを受けたからでした。 フェアトレードには、1.公正な価格で購入する 2.子どもを労働させない 3.農家の健康のためと、環境のために農薬や化学肥料を使わない 4.高金利の借金を減らすため支払いは前払いにする、などいくつかのルールがあり、洲脇さんはフェアトレードの考え方に共感しています。 フェアトレードに貢献するためには、自店で通販するだけでは限界がありました。しかし、焙煎したコーヒー豆の卸業はコーヒーの鮮度の点で断わっています。そこで思いついたのがカフェオレベースでした。カフェオレベース「スマイルオレ」は酸化しにくいよう深煎り焙煎し、ビン詰めしているので、賞味期間が4ヶ月あり、卸が可能となりました。 カフェオレベースだとコーヒー豆以外に黒砂糖もフェアトレードのものが使えます。
◆みんなが笑顔になれるよう 洲脇さんはクリーンな自然エネルギーにも関心があります。以前から原発には疑問を持っていたからです。 福島原発事故前の2011年1月1日分から、コーヒーの焙煎機を動かすために使用する電力は北海道のバイオマス発電をグリーン購入しています。 洲脇さんがこのカフェオレベースに「スマイルオレ」と命名したのは、飲む人(農薬・化学肥料不使用コーヒー、着色料・香料無添加)、生産者(フェアトレード)、地球(農薬・化学肥料に頼らない農業で、生態系へのダメージ最小)が笑顔になるようにという気持を込めています。 オルターへの紹介はオルターACの「根っこや」さんからです。
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■原料 ●コーヒー豆 ルワンダ共和国 COOPACの農薬・化学肥料不使用コーヒー豆 (肥料はコーヒーチェリー、牛糞堆肥) [ATJより購入] 品種はアラビカ豆ブルボン、ジャクソン
●黒砂糖 フィリピン マスコバド糖[ATJより購入]
スマイルオレ 容量600ml カフェオレ約12杯分できます
■製造工程 [焙煎工程] @生豆ハンドピック 不良豆など除去 A焙煎 B酸化しにくいよう深煎り焙煎、また焙煎は抽出・ビン詰加工の 1週間以内に実施 C放冷 D焙煎豆のハンドピック Eガス抜き保管 酸化しにくいよう、エンバランス容器を使用 E粉に挽く 酸化しにくいよう、抽出加工の直前に実施
[瓶詰工程(中村商店へ委託加工)] @抽出 A調整 加糖 B殺菌 C充填
―文責 西川榮郎(NPO法人 安全な食べものネットワーク オルター代表)―
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