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昔ながらの農家の自給茶畑のお茶
カタログ“2006年5月4週”
昔ながらの農家の自給茶畑のお茶
近在の農家が自給の延長で栽培している
小規模な茶畑の茶葉を加工しています。
素朴でおいしい味のお茶です。

【西製茶所の無農薬茶】

●生産者
自園(5アール)以外に、地元斐川町の100を超える生産者からの茶葉を加工しています。とくにオルターへは以下の各生産者のものが出荷されます。西製茶自園(5アール)、岡田好史(3アール)、保科勝(8アール)、黒田信夫(2.5アール)、池田真一(2.5アール)、全山準一(2アール)、神門正男(2アール)、西郁郎(5アール)。

●栽培品種
ほとんどが実生の在来種と思われます。

●栽培方法
肥料…剪定した茶の枝、草マルチ、野菜くず、米ヌカなど。農協からの購入有機ボカシ肥料や鶏糞も使っているところがあります。茶は化学肥料を使うと実がつきにくくなりますが、2006年3月に畑を視察した際にも、上記の農家の茶畑にはたくさん実がこぼれていました。
農薬…無農薬栽培。除草剤使用せず。茶畑では害虫の天敵であるテントウムシ、ハチ、クモ、カマキリなどが多数すんでいます。

●製茶工程
茶場の加工(荒茶製造)から仕上げ加工までを行っています。
〈煎茶〉 ・蒸し・冷却・粗揉・精揉・乾燥(荒茶の完成)・切断・ふるい・風力選別・再乾燥・電気選別・金属除去(磁石による)・計量・袋詰め
〈ほうじ番茶〉 ・蒸し・冷却・粗揉・乾燥・焙じ加工・金属除去・計量・袋詰め
〈出雲国産紅茶〉 ・室内萎凋・揉捻・発酵・中揉・乾燥機・切断・ふるい・電気選別・金属除去・計量・袋詰め
●生命力の強い在来種を、無農薬で栽培
 ヤマタノオロチ伝説の地、出雲平野斐伊川のあたりは出雲茶の茶どころです。出雲茶は静岡茶や宇治茶のようなブランド力がないため、市販ではかつて主にブレンド用に使われ、例えば静岡茶のように他産地産として販売されてきた歴史があります。しかし出雲は、安全でおいしいお茶を求める私たちにとって、魅力的な産地なのです。
 出雲茶の産地は、茶葉の生育環境としては必ずしも恵まれていませんが、新茶の時期には比較的気温が低く害虫の発生が少ないため、農薬に頼らなくてもよいという利点があります。すなわち「無農薬」栽培を実践するにはよい環境です。
 さらに出雲茶の産地では、国内生産量の約8割を占める「やぶきた」種ではなく、昔からこの地にある在来種がまだまだ多く栽培されています。しかも実から発芽してその風土の中で生き残ってきた実生(みしょう)の木から作られているだけに、より野生に近く、病虫害や干ばつにも強い生命力があります。品種改良され、苗の状態から植えられ、化学肥料で過保護に育てられている「やぶきた」の茶の木と比べて、はるかに根がしっかりしています。
●自給の延長の小さな茶園の茶葉を加工
西製茶所は大正12年創業で、西保夫さんは3代目です。大阪での8年間のサラリーマン生活を経てUターンし、製茶業を継がれました。今日のような「無農薬」「無添加」「無着色」などにこだわるようになったきっかけは、地元紙でオルターの菜種油生産者でもある影山製油所の記事をみたのをきっかけにその影響を受け、日本有機農業研究会の会員になったりしたことからでした。
 私の徳島時代の会員の紹介で提携が始まった頃は、茶畑から加工までの一貫生産をなさっていましたが、その茶畑の大半を公共道路の用地にとられてしまったため、現在は5アールほどの茶畑で栽培されています。西さんの無農薬栽培の取り組みは地元行政からも評価され、島根県持続農業法による環境保全型農業に取り組むエコロジーファーマーに認定されています。
 現在、西製茶所が加工しているお茶の大半は、初代の頃からお付き合いのある100名を超える近在の農家から持ち込まれるものです。それらの農家の茶畑の規模は最大でも8アール(8畝)で、ほとんどは2〜3アールの小規模なものです。すなわち自給の延長線上にあるもので、農薬をかけたりする必要性のない茶畑です。
 西さんは買い上げの条件として「無農薬」の指導を行っていますが、実際にはまだトレーサビリティーがきちんと整っておらず、ごく一部には悪気なく化学肥料を使っている農家もあります。これらの農家の栽培履歴の管理は早急な課題です。
 オルターとしては、このような自給の延長上で営まれている茶畑は、これからも保全に値するたいへん貴重なものだと考えています。構造的に農薬に頼らなくてもよい小規模な畑は有機農業の原点でもあり、そして何よりも地域の人々が助け合って生きる絆、日本の農村の原風景がそこにあるからです。しかし一方、生産ー加工ー流通ー消費の顔のみえる関係、トレーサビリティーも重要になってきています。オルターとしては西さんに、栽培履歴がより明らかな生産者のものだけを特定して扱うようにしていただきます。
●「野なるものを上とし、園なるものこれに次ぐ」
西さんは「水のようにすっと飲めて、体に負担が少なく、変な自己主張をしない。そんなお茶を目指しています」と語っておられます。中国唐代の茶聖・陸羽がお茶のバイブルともいわれる「茶経」の中で述べている「野なるもの(野生のもの)を上とし、園なるもの(畑のもの)これに次ぐ」という言葉との出会いが啓示となったそうです。
 お茶の起源は薬として始まったといわれています。そのお茶は自然のものであって、過度に肥培管理したものではありませんでした。自然の摂理に委ね、茶樹本来の生命力を引き出せる茶作りを理想とされています。
 2005年からは4代目の龍介さんが家業に就かれました。西さんの出雲茶が茶どころで果たすべき役割は、ますます大きくなっていくことでしょう。
●市販のお茶の問題点
 一般には茶葉の収量を上げるために化学肥料が多投されています。そのため、茶葉が緑濃くなり、亜硝酸窒素を多く含んだ苦みのあるものになっています。有機肥料といえども多投は悪い茶の味につながります。また、肥培管理が過保護になった茶樹は病虫害に弱くなり、農薬が必要となります。お茶に使用された農薬はそのまま口にすることになるのですが、一般には十数回も農薬が使用されています。
 製茶工程で化学調味料を噴霧しているものがあります。駅の売店などで売っているお茶の納入業者の最大手が某大手調味料メーカーであることがそれを如実に現しています。ティーバッグのお茶をいれたとき、色はたいへん鮮やかなのに全く風味がないという経験がありますが、このような品は着色剤の使用が疑われます。
 お茶にとってよい栽培環境は朝霧の出る場所という話があります。お茶の味はそのような栽培環境、畑の土の状態でも決まります。もちろん適切な「お茶のいれ方」も味の決め手のひとつです。
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