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本場よりおいしい野迫川村在来種わさび本場よりおいしい野迫川村在来種わさび
カタログ“2006年5月2週”
本場よりおいしい野迫川村在来種わさび
自生の在来種を代々自家採種して栽培した、
香り高くおいしい2年もののわさび。
本場静岡の味をしのいでいます。

 わさび栽培の適地は、標高1000m以上の山の北側で、夏冬の温度差のない湧き水があるところです。砂地が適しており、泥地ではだめです。国内では伊豆天城山系など静岡県が産地として知られていますが、現在ではバイオ技術やF1交配種を栽培しています。見かけはきれいなわさびとして出荷されていますが、それら最新品種が天城山系の火山灰地の環境に合っていないのか、必ずしも味がよいとはいえません。
 柏谷義美さんは、奥高野とも呼ばれる奈良県吉野郡野迫川村で、関西ではたいへん珍しくわさびを栽培なさっています。標高1340mの伯母子岳の渓流の水質は、たいへんよくわさびに合っていて、本場静岡県より品質は上質だといえます。
 柏谷さんのわさびがおいしい最大の理由は、この地域で古来大切に守ってきた在来種の親株から種を自家採種していることです。わさびは自家受粉のほうがよい品質が保てます。他のものと交配受粉するのはよくないとのことです。もともと自生していた在来種のわさびを代々その環境に合わせて育てていることが、おいしい味の秘密なのです。種採りが大切なだけでなく、種を採る親株の選別も大切です。
 野迫川村や護麻檀山では、戦前(昭和初期)からわさび作りが行われてきましたが、戦争で中断しました。戦後、柏谷さんらは野迫川村の十数人の仲間と村おこしを考えてわさび作りを復興させたのです。現在わさび作りを続けているのは4軒。ご多分に漏れず野迫川村も過疎の山村で、わさび作りの後継者も野迫川村林業研究会の若者などに頼っていかなければならない状況となっています。
 オルターへのご紹介は、しいたけなどきのこの生産者、川崎昌助さんです。
◎柏谷義美さんの在来種わさび
●栽培方法
 標高1340mの伯母子岳の北側の中腹800〜900mほどの渓流が栽培地です。ひとつの渓流で50〜60mのわさび田を作っています(ちなみに静岡県ではひとつの渓流で300mものわさび田をまかないます)。砂の深さは約15cmくらいです。柏谷さんのわさび田は3ヶ所で合計約2反の面積です。広葉樹林に囲まれ、良質な水が流れています。渓流は湧き水で冬でも凍ることはありません。わさびはこの清流に含まれる豊富な酸素やミネラルに育てられます。
 種子は毎年自家採種しています。もともと自生していた在来種をこの地区で古来、代々大切に育ててきています。その環境に慣れ、合っている苗だからこそ、香りの高いおいしいわさびができているのです。
 種子の採取は6月半ばに行います。採った種子を網の中に入れて水中に保管しておくと、サヤがなくなり種子ばかりになります。その種子に種子の3倍量の川砂を入れて土中に保管し、種をまく1ヶ月前に砂の中のままの種を冷蔵庫に保管します。
 種まきは10月にハウス内の土へ直まきします。すなわち実生で苗を作ります。7〜10日で発芽し、本葉が2〜3枚でてきたところでハウス内でもう1回苗を移植します。根が分株するほうがよいからです。苗用のハウスの土には牛糞堆肥(農協より購入)と付近にあるカヤを肥料として使っています。土壌燻蒸や農薬は使っていません。
 渓流にある本圃場への苗の定植は、翌年の4月〜6月に行います。連作障害を避けるため、よく洗って真新しく準備された砂地のわさび田へ植えるのです。本圃場では農薬はもちろん、肥料も使いません。冬期にはビニールで覆いをして苗の冷え傷みを防ぎ、夏期には寒冷紗を使います。害虫としては飛んできて葉っぱを食害する黒くて小さい虫、カブラババチがいます。これは防虫網を使って対応しています。
 収穫は苗を本圃場に定植してから2年後の4月〜10月に行います。種まきから3年目の収穫になります。この間、仕事は水の中の労働になります。市販のバイオ苗を化学肥料で太くした1年もののわさび根と比べて、2年ものの柏谷さんのわさびは少しスマートですが、身が引き締まっていて香りがよく、食べておいしいものです。収穫した根の「大」はオルターや料理屋へ、「中」はそば屋へ、「小」はすりおろしてわさび漬に使います。
 わさびの花芽の収穫は4月のごく一時期しか行いません。わさび漬に使う茎は花芽のあとに伸びてくるやわらかい時期の茎を使います。4月20日頃から6月〜7月頃まで収穫し、あとは芯の部分の柔らかいところを収穫します。
●市販のわさびの問題点
 香りの高い在来種ではなく、形が見かけのよい促成栽培用バイオ苗になっています。苗の段階で除草剤や化学肥料を使っています。化学肥料は生育によくありません。土壌燻蒸も行われることがあり、昔はフロンガスや強い農薬が使われていました。市販のわさびはほとんどが化学肥料で太くした1年物で、そのため香りが弱いのです。
 市販のわさび漬の一例。茎わさびは少ししか使わず、ほとんどは野沢菜や大根など他の野菜でごまかしています。還元水飴、発酵調味料、醸造酢、わさび粉、酒精(アルコール)など粗悪な調味料が使用され、香料、増粘多糖類、着色料など食品添加物も使われています。


   

   ー文責 西川栄郎ー


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