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オリゴ糖の味がする野菜を栽培
カタログ2016年6月3週号
農薬、化学肥料は一切使用していません。
◆オリゴ糖の味(柿の味)がする野菜
 高知県佐川町のソエル 田村 雄一代表は、無農薬、無化学肥料の環境保全型農業で安全な野菜作りをし、オルターへは野菜セットやニラなどを出荷しています。
 田村さんの野菜の最大の特徴は、虫や病気に負けない、繊維質の多さです。野菜個々の細胞は、繊維質に囲まれた箱の中に細胞液が入っている形をしています。虫は針のような口ばしで、病原菌は根っこのような菌糸で、その細胞壁を破って細胞液を吸いとります。この細胞壁がしっかりしていて、硬くて、十分な厚みがあれば、虫の口ばしや病原菌の菌糸が貫くことはできません。だから病虫害に負けない健康な野菜ができます。
 繊維質がしっかりしている野菜はオリゴ糖の味(柿のような味)がします。野菜を生のまま口に入れて、2〜3度噛むと、まず柿の味がします。さらに口の中で噛みつぶしていくと、繊維質の壁が壊れ、その野菜独特の香りや味がにじみ出てきます。香りや味は本来強いのですが、柿の甘い味と混ざることで、マイルドでやさしい味になります。

◆繊維質が豊かな野菜作り
 田村さんは、そんな繊維質の多い野菜を作るために、植物質肥料と、動物質肥料を作物の要求に合わせて使い分けています。植物質肥料としては落ち葉や川原のヨシを使います。乳酸菌を活用し、土中にアルコールを作る土中アルコール貯蔵農法ともいうべき方法を行い、そのアルコールが酢酸菌によって酢になったものです。それを吸収した植物体はよい繊維質ができると考えています。繊維質を増やすために、Mg、Ca、Feなどミネラルも与えています。動物質肥料として、自家製の牛糞堆肥を控えめに使います。牛は自給粗飼料をたっぷりと与える健康的な飼い方で乳牛が20頭ほど飼われています。その良質な牛糞を、強力な乳酸菌と酵母菌の発酵資材を使ってほとんど土といえる、硝酸イオンの心配のないレベルの堆肥にしています。

◆硝酸イオンが少なくなるよう夕どり
 雑草を生やさないよう、太陽熱養生処理で草の種や病原菌を死滅させた、植物が生息しやすい、ふかふかの土を作ります。
 乾燥は植物の根に大きなストレスとなることから、畑の土が乾かないよう注意し、水を与える設備を備えています。
 収穫のタイミングも工夫しています。朝どりは硝酸イオンが多くなるので、窒素が抜けた夕どりを基本にしています。
 こうして育てられた田村さんの野菜は、緑色が濃すぎず、葉が波打っていません。葉ものは、柄を持ったときしっかりと立ちます。実は真っすぐに伸びています。
 乾燥や大雨、高低温などの異常な気象災害による影響を除けば、虫が食べた痕や、病気はほとんどありません。鼻を近づけても無臭です。味は先述した通りオリゴ糖の味(柿の味)がします。ビタミンやミネラルの豊富な健康野菜です。腐敗のもとになる硝酸態窒素が少ないため、冷蔵庫内でも日持ちします。

◆元はコンピュータが専門
 ソエル 田村代表は、愛媛大学で電気工学を学び、1990年コンピュータの講師になりました。自然が好きで、カヌーも趣味でした。
 1994年、石垣や柳などを活用する近自然河川工法、自然護岸に取り組む土建業の会社に就職しました。その会社の向かいに、高知県で有機農作物を扱うオルターの提携団体、高生連の事務所がありました。高生連には松村代表などワンゲル経験者が何人もいて、自然をテーマに共通の趣味を持つ両者が近づくのは時間の問題でした。

◆慣行栽培からの脱却
 1996年、田村さんは病気がちの父を支えるため、実家で農業を始めることになりました。そのお父さまは2000年に亡くなられました。
 当初の農業は慣行栽培で、JAのもと、ニラ部会のリーダーを務めていました。しかし、JAの指導では多収穫を目指すため病気が出る作り方だと反発し、農薬を使わない方向をめざしました。
 植物繊維の大切さを教えてくれたのは、ジャパンバイオファームの小祝さんでした。しかし、当初は失敗続きで、苦土(マグネシウム)の過剰症や粗悪な堆肥にも苦しみました。
 高生連でニラを無農薬で栽培している達人、島岡 幹夫さん(元警察官で、窪川原発の立地を白紙撤回させた立役者)にも学びました。奥様の早智さんは新規就農をめざす若者を支援する「素人を励ます会」を立ち上げました。
 そんな折、JAの3つの支部が統合され、栽培技術の統制が強化されることになるのをきっかけに、JAから離れ、1999年から無農薬の農業に取り組み始めました。以前は多くの種類の肥料や資材を使っていましたが、2004年には現在のようなシンプルな農業技術に達し、2011年には「ソエル」を立ち上げました。
 「ソエル」と名付けたのは、「Sakawa Organic & Ecology Laboratory」(佐川町 有機農業 環境保全型農業 研究所)の頭文字をとっており、有機農業を志す仲間に支援の手を「添える」という思いも込められています。
 すでに新規就農した仲間がいます。現在も西森 啓二、坂本 陽子、川合 里奈、栗田 茂樹など、近隣の農地で研修生が一緒に働いています。新規就農した仲間が育っていくためには、オルターのようなほんものを理解する消費者の仲間がもっと増えていかねばなりません。

◆高知県の有機農業の若きホープ
 オルターへの出荷は 2012年から、冬雪に閉ざされる京丹後の梅本、青木さんらの代替野菜セットをお願いしてきました。2016年4月には難関の土壌医検定試験1級を取得、仲間への土づくりの指導も万全です。田村代表には、高知県におけるこれからの有機農業の若き担い手として、オルターとして大いに期待しているところです。

◆多様な土壌で適地適作
 高知県佐川町は日本地質学発祥の地で、灰色低地土、赤色土、黒ぼく土など多様な土の種類が狭いエリアに混在しています。田村さんは、この豊富な種類の土壌の特性を活かし、それぞれ適地適作のおいしい多品目の作物を私たちに届けてくれることでしょう。


ソエルの 農薬・化学肥料不使用野菜(オルター基準 ☆☆☆ )
■出荷実績のある野菜
佐川地大根、青首大根、インゲン豆、エンドウ、わけぎ、にんにく菜、春菊、ニラ、生姜、コマツナ、ミズナ、ほうれん草、ターサイ、キャベツ、白菜、ブロッコリー、グリーンボール、菜花、カラシ菜、レタス、ナス、カブ、よしひろかぼちゃ、ゴボウ、サトイモ、つくね芋、じゃがいも、さつまいも、玉ねぎ、金時人参、洋人参

■防除
農薬不使用

■肥料  化学肥料不使用
●落ち葉 (米ぬかと混ぜて)
●川原のヨシ
●モミガラ
●米酢
●トウモロコシ浸漬液肥
●牛糞堆肥  ND
自家乳牛の牛糞ともみがら、少々のおがくずに強力な乳酸菌・酵母菌を使って作った牛糞堆肥
●なっとく有機(肥料)  ND
鶏糞とオガ粉の発酵資材
●キーゼライト(Mg)
有機JAS適合資材
●アイアンパワー(Fe)
有機JAS適合資材
●ハーモニーシェル(石灰分)
有機JAS適合資材



―文責 西川榮郎(NPO 安全な食べものネットワーク  オルター代表)―



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